春の彼岸の頃というと、例年寒の戻りがあって薄着になって浮かれ気味の身体に寒さがひときわ身に沁みたり、雨が降って墓参りの出ばなをくじかれたりすることがままあるように感じる。
ボクだけの個人的な感想ではなく、正岡子規にお母さんの口癖をそのまんま俳句にしちゃった「毎年よ彼岸の入りに寒いのは」という句がある事でもそれは証明できる。
雪深く、春の訪れが遅い北国を除けば日本全国どこでも共通の感覚なんだろうと思う。
しかし、今年ばかりは少し趣を異にしていて気温も高めの好天が続いている。
ボクの暮らす南関東の海辺の町は20℃を超えるか、超えないまでも迫る日々が続いて、サクラは咲き出すし、極暖の下着とも数日前にサヨナラした。
惜しむらくは南や西寄りの風が強いことで、特に海辺の自転車道でのエクササイズを好むボクとしては、道路は海砂で埋まるし、顔に当たる砂つぶてに行く手を阻まれるのが癪に障る。
余談だが、春の強風に関してはいくつか思い出があるが、わけてもボクが10歳だった時、横浜港から出港しようとしたイギリスの世界一周途中の豪華客船カロニア号が強風にあおられて港内内防波堤の白灯台に激突した事故は、なぜか今でもよく覚えている。
この事故でミナトのシンボルともいうべき赤と白2つあった灯台の白灯台は海中に没したまま、いまだに復旧されていないのだ。
大英帝国もそのころ一緒に海の底に沈んだのかもしれない。
1957年4月14日の事である。
ヒトの記憶のヒダって言うのは時々、とんでもないものを呼び覚ましてくれるもので、次はどんなものが突如として蘇って来るのか、楽しみでもある。
さて本題。
暇人なので回りくどいのだ…残りの人生、別に急いでいるわけじゃないから、寄り道大好き ♪
昨日も強風が吹いたので自転車でのエクササイズはあきらめ、ジジイらしく植物の世話をしていて気が付き、思わず「えぇ~っ !? 」とビックリ仰天させられた。
大事に育てている鉢植えのバラの「空蝉」にいくつもツボミがついているのを見つけたのだ。
確かにわが家のバラの中でも空蝉の開花は一番早い。
例年だと4月の下旬から5月の初旬にかけて、他のバラに先駆けて咲くのだが、ツボミがもう膨らみ始めているなんて…
鉢を置いてあるのが2階のベランダで、北風は遮るし、日中晴れていさえすれば日当たり抜群の場所だから、環境的にはあり得るのかもしれないが、何てったってまだ彼岸の最中だぜ。驚いた。
他のバラを点検してみたら他にもう一つだけ、「セント・オブ・ヨコハマ」という香りの良いバラにも、空蝉ほど大きくなってはいなかったがツボミが出来始めていた。
山から採ってきたミツバアケビにも花が咲き始めているし、ニリンソウだって元気よく咲いている。
ウグイスの初音は例年よりずっと早く、2月18日だった。
改めて言うまでもなく、自然界の生き物たちが今年の暖冬振りを証明していると言って間違いない。
そうそう、彼岸の中日、気温が20℃まで上がった日、ボクはそれまで短パンの下にはいていたタイツを脱いで太ももをさらして自転車を漕いできた。
そして太ももには薄っすらと日焼けの後まで…
嬉しいなぁ~ 太陽の季節が巡ってきたね ♪ いささか早すぎるとは思うけれど。
「空蝉」のツボミがこんなに膨らんでいる
あと2週間とか3週間、遅くとも4月中旬には花が開くかも
尾根道沿いから苗木を引っこ抜いてきたミツバアケビ
少量だが毎年実を付ける
こちらも道端に咲いていた株を一株抜いてきて移植したらだいぶ増え、毎年楽しませてくれている
このタチスボスミレも尾根道に生えていた1株から増えた
こちらは何処かより現れ、大谷石の擁壁とコンクリートの間から顔をのぞかせて花を咲かせる〝ド根性ユキヤナギ〟