「今年の夏は異常気象だった」
気象学者たちが認めたのをテレビのニュースで知った。
皮膚感覚を頼りに生きているフツーの人々にとっては何を今さら…の感は否めないが、学問的に様々な検証が必要だったのだろう。
しかし、理由として挙げられていたのが「地球温暖化」で、これだって何を今さら…の感大ありだが、具体的な現象を添えての結論に今後を憂えずにはいられない。
このブログは昨日アップするはずだったが、「さぁ、一丁上がり!」とEnterボタンを押した途端、画面が瞬きして文章部分だけが消えてしまっていた。
キツネにつままれたようだとはまさにこのこと。
そんな馬鹿なっ! と思って「返せっ!」「戻せっ!」と叫んでみても、時すでに遅し。
船は出ていく 煙は出ない 出ないはずだよ無煙炭…!?
腹が立つったらありゃしない。
で、気を取り直して文章を書き直しているのでゴザリマスル。
こんなものに2日掛かり……たまたま止んでいるけど、低く垂れこめた雲から今にも雨が落ちてきそうな空模様同様、まったくもってヤレヤレな気分でゴザリマスルな。
まっ、なにはともあれ…
一昨日のパトロールは海辺を止めて街中へ
臨済宗建長寺派・海蔵寺、天台宗・宝戒寺、真言宗泉涌寺派・覚園寺を巡る
まずはハギが揺れる海蔵寺から
本堂への手前に赤い和傘が立っている 拝観料300円ナリは傘の下に置かれている小箱に勝手に入れる仕組み
本堂裏手の庭園
この大きくて平たい岩の上を湧水が流れ、池に注いでいる
仏殿(観音堂)の屋根
大きくて堂々たる庫裏の茅葺屋根
鎌倉の諸寺を巡っての感想だが、何気なく、しかし見事に花を咲かせているのは禅宗の寺が多く、やはり自然観と結びついてのものらしい
そういう意味でも期待して行ったのだが、残念ながらこの時期は寂しかった
ムラサキシキブ?
2mを超すヒョロヒョロ伸びた茎の先にたくさんのツボミを付けている植物があったが、名前は分からなかった
続いて白いハギで名高い宝戒寺 かつての参道は人の背丈を超える白萩の花が出迎えてくれたが、株を更新したのか小さい株ばかりで往時の面影はどこへやら
本堂の前の背丈ほどの株ではチラホラ咲き出している
この寺のマンジュシャゲはほとんど白だった
この木もお目当ての一つ
銘木 無患子
これは2年前にここの境内で拾ってきたムクロジの実 最初の状態がどうだったか忘れたが、今ではすっかり濃いあめ色になってきて、少ししわっぽくなったが触るとカチンカチンに硬い
昔はこれを羽根つきの羽の〝玉〟として使ったらしい
今は正月でも羽根つきなんかついぞ見かけないけど…
鎌倉宮を正面に見て左に伸びる1本道を突き当りまで歩く(ちなみに右に曲がると瑞泉寺方面)
鎌倉宮からゆるいが長い上り坂を延々とたどると目的の真言宗泉涌寺派・覚園寺に到着する
今から57年前の高校1年生の6月の事だった。
学校の創立記念日の休みを利用して友人2人と散在ヶ池の崖をよじ登り獣道のような尾根筋の細い道に出た
今思うと鎌倉散策の人気コースの一つになっている鎌倉の外周を取り巻く屏風のような山の尾根をたどる天園ハイキングコースの原形のような道だった
今はあちこちに道案内の標識が建てられ、道に迷うことはないが、当時は建長寺か瑞泉寺に行けるはずだくらいの認識しかなかったが、なんとかなるだろうという気持ちだった
若さというものは時に無鉄砲な行動に出るものだと今更ながら思う
しかし行けども行けども下界さえ見えず、尾根道とは言え深い森の中を進むうちに日が傾き始める それでなくとも梅雨時の曇り空の下の森の中は薄暗い
心細くなりかけた時に藪の中に見つけたか細い道のような所を恐る恐る降りていくが、途中で道が消えてしまう
道が消えている先は急斜面と崖になっていてこれ以上進むのは無理かと思われる 進退窮まるとはこのことで、途方に暮れかかるが、目を凝らすと森の続きと思われたさらに下の方が平らになっていて、庭のように整備されているようにも見えた
「あれはきっとどこかの庭の一部だぜ」「あそこに下りれば人がいるはず」「道に迷ったので降りて来たと謝ればいいじゃん」とかなんとか言い合って急斜面を降り始めたのだ
そして3人が足を滑らせてドスンと転がり落ちたのが、ここ覚園寺の境内だったという訳である
しかし、寺の敷地の最奥部だったらしく、建物はないし、薄暗くなり始めた境内に人影があるはずもない
木々の間からかすかにのぞく建物を頼りに恐る恐る建物に近づいても人の気配はなく、ボクら3人はとがめだてをされることも無く山門から抜け出て、無事にシャバに舞い戻ることができたのだった
以来、この寺を訪れるたびにアノ時の情景が浮かんできて懐かしさとともに心が躍るのである
57年も前のことだというのが一層、感慨深さを際立たせる
少年易老學難成 一寸光陰不可軽 未覚池塘春草夢 階前梧葉已秋聲……今まさに人生の秋聲
この寺の本堂(薬師堂)は大きな茅葺屋根の堂々たる建物で、内部の薬師三尊像はじめ十二神将像が並ぶ堂内は時が止まったようでもあり、その空気感は素晴らしいものがある
このほか境内の森閑とした佇まいや雰囲気は他では味わえないものだけに、せめて写真だけでもと思うが、ここは境内すべての撮影が禁止されているので敵わない
この写真は山門の外からちょこっと〝盗み撮り〟したものだが、木々が生い茂り奥は見通せないようになっている
時期外れ? の大きなハスの花が咲いている
まだ訪れたことがないなら、ぜひ一度足を運ばれんことを
土日祝祭日は毎正時にお坊さんが案内してあれこれ説明してもらえる 平日は参拝客が少ないせいか、順路に沿って勝手に回るだけなので、一度説明を聞きながら回るのがいいと思う
帰り道は海辺の国道に出た 稲村ケ崎の切り通しを抜けた途端、目の前に富士山が見えたので意表を突かれた
晴れ渡っていても姿を隠している時があるのに、時々薄日が漏れるだけの冴えない天気の時に姿を現すなんて…実に気まぐれ
先日確認されたばかりの初冠雪が目を凝らすとかすかに残っているように見える
帰りがけに見えた洗濯板のような雲
それにつけても「洗濯板」を知っている人が今、どれだけいるだろう…