平方録

ブランドものvs無名戦士

前にも書いたことがあるのだが、ボクの知る限り日本を代表する種苗メーカー2社から出ているカタログの編集が「花」中心から「野菜」に移って久しい。

これは〝花咲じじい”を自任する人間にとって釈然としない部分なのだが、さりとて、では時流に従って野菜作りにシフトしましょうか、とはいかないんである。
一寸の虫にも五分の魂。一寸の光陰軽んずべからず……ん? 2つ目の一寸の方は関係ありませんでしたナ。
強いて書くとすれば〝五分の魂軽んずべからず”ってところかも知らないけど、最初のとほとんど同じような意味になっちゃうしね、ほとんど意味ありませんです、ハイ。

何を言いたいかというと、花作りには来し方30年もの間、精を出し、今も変わらぬ情熱をもって取り組んでいるところではありますが、不肖ワタクシ、実を言いますと、ここ5、6年はミニトマトとかコリアンダーとかルッコラ、バジル、イタリアンパセリなどをプランターで育ててもいるんです。
妻がキッチンガーデンがほしいなんぞと申しますものですから、ハイ、仕方なくというか、料理を提供してもらている手前、できることは協力しようという配慮からで、時流に乗ったわけでも、宗旨替えして花からのシフトをもくろんでいるわけでもありません。

そもそも「花より団子」などという軽佻浮薄さとは一線を引いているのである。「団子より花」の人生を選んでいるのだ。武士は食わねど何とやらでもあるのだ。それを柱に据えて生きてきたんである。
それを今更「花より団子」なんぞと、どの顔していえますかってんだ。
あの人のように「不器用ですから」とボクもぼそりと言ってみたい。

前書きが随分長くなりました。ミニトマトの話に移りましょう。
ここ数年は種苗メーカーのカタログから通信販売で苗を購入していたのだが、今年はホームセンターで気に入った苗を買おうと決めたんである。
配送を待つ必要がないし、気が向いた時に買いに行けばよいというのが最大の理由。
で、ホームセンターを覗いてみて驚いた。
「濃密トマト」「デザート感覚の甘さ」「甘くて割れにくい、たくさん収穫できるミニトマト」などと実に多彩な能書きが付けられている。

名前に至っては、これまでなじみだった「プラム型でバランスの良い味」の「アイコ」だって驚いたのだが、加えて「ペペ」だ「ココ」だ「千果(ちか)」「ピッコラルージュ」「イエローミミ」「オレンジキャロル」「トスカーナバイオレット」「ブラックチェリー」などなど。
名前だけ見ていたんではミニトマトなんて想像もできないものばかりである。
で、ボクの選んだお嫁さんは…もとい、選んだ苗は「アイコ」「フラガール」「純あま」「サンチェリー250」。それにブランドに飛びつくミーハーぶりをちょっぴり反省すると同時に、無名戦士に敬意を表して〝名無し”を加えた6苗。サンチェリー250だけ2本にしてみた。理由? 忘れた。

毎年2階のベランダのプランターで育てているのだが、すでにアイコと無名戦士は定植した。
ネットで調べた育て方によれば、一番花を咲かせて着果させてから定植するのがコツだそうで、順次それを待っているところなのだ。
そんなこと知らなかった。今までは手に入ればすぐに植えていたのだ。ただし、原産地が南米の乾燥した高地のため、水やりは控えめにした方が良いというこは薄々知っていたのだ。
これについてもネットでは葉がしおれるくらいまで水はやるな、と書かれている。
放りっぱなしにしておきなさいってことじゃないの。しめしめですナ。

ちなみにミニトマトのうたい文句の一つになっている「フルーツトマト」という言い方は「一般的なトマトの栽培の際に水やりを控えて糖度を高くしたものをいう」と農水省が定義しているんだって。
と言うことは、78円の無名戦士の水管理をしっかりやれば、350円とか278円もするブランド物を買わなくても甘いトマトが口に入ることになる…⁉

不精の勧めじゃぁ! 実験開始じゃぁ‼



一番花を待っているミニトマトの苗
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