頭に赤いタオルのねじり鉢巻きをし、道路工事のおっさんが身に付けているような蛍光反射体のようなものがくっついた黄色のベストを着込んだ姿がユニークだ。
テレビは音声を消しているので何が語られているのか分からないが、画面を流れるテロップを見ていると山口県の瀬戸内海の島で行方不明になった2歳の男の子を、この爺さんが3日ぶりに見つけて助け出したんだという。
幼児が行方不明になっていることを知り、大分県から捜索ボランティアとして駆け付けた78歳だという。
驚くのは幼児はきっと沢にいると狙いをつけ、行方不明になった曽祖父の家の近くの沢に分け入って捜索を始めてからものの30分で見つけてしまったことだ。
行方不明になった子の名前を大きな声で呼びながら沢筋を上っていくと「ぼく、ここぉ~」という声が返ってきて、沢の苔むした岩に腰かけていた幼児を発見したのだという。
これまで何十人何百人と捜索に参加してきたはずの人たちはいったいどこを、どうやって探していたんだ?
何せ流れるテロップをチラチラと見ただけの断片情報しかないが、この爺さんは65歳まで大分で魚屋をやっていて、65歳まで生きてこられたことに感謝してボランティアに転じ、これまでに東日本大震災や広島の豪雨被災地に入ってボランティア活動を続けている人なんだそうである。
第一線を退いたら社会のお役に立てるようなボランティア活動でもできたらいいな――とチラッと思う人はたくさんいても、実際に行動に移せる人となると数はぐっと減るに違いない。
そういう意味からしても大した爺さんである。
恥ずかしながらボクとは明らかに人種が違うようで、ボクなんかとても真似は出来ない。
インタビューを受けて身振り手振りで説明する表情が屈託ない顔で、その顔がとても良かった。
後光が射してもいた。
後光が射すのもすごいことだが、身振り手振りで説明する爺さんの右手の(…多分右手で間違いない)薬指にムギワラトンボが止まったことにもびっくりさせられた。
あれはたしか実景のはずで、夢や幻ではなかったように思う。
爺さんを取り囲んで報道陣の人垣ができているところに、上空からトンボがわざわざ舞い降りてきて止まること自体が不思議な出来事というほかない。
トンボが指に止まった瞬間、爺さんのクリクリした眼が一瞬トンボを見たように感じたが(気のせいかもしれない)、すぐに視線は報道陣の方に戻りトンボを気にするそぶりもなく話を続けたのだった。
……‼
助け出された幼児もこのムギワラトンボも爺さんに吸い寄せられたってわけか?
驚かされることばかりである。
天から一条の光が射しかけてくるのを見た=15日15:20 江ノ島湘南港防波堤のボードウォーク
時を移してこちらの方角にも
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heihoroku
高麗の犬
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