円覚寺での坐禅を終えた後、あまりに咲いている花が少ないのを嘆いて、ならば浄智寺をのぞいて見ようという気になった。
鎌倉五山の第4位にして同じ臨済宗円覚寺派の古刹。
円覚寺からは線路沿いに歩いて7~8分の至近に位置するから、大して汗もかかずに行ける。
この寺の良い所は境内全域が鄙びていて、まるで深山幽谷に分け入ったような趣が感じられることと、醸し出す佇まいや雰囲気にどこも押し付けてくるような「威圧」を感じさせるものも無ければ、庭ひとつとってもまるで手つかずの大自然のままであるかのような、手を入れているに決まっているがそれすら感じさせない奥ゆかしさのような、あるいは飄々とした感じが誠に禅寺らしく、素晴らしい♪
鎌倉で「好きな寺3つを挙げよ」と言われたら、多分真っ先にここを挙げるだろう。
お盆のこの日、鎌倉は空いていた。
というか、普段の休日と比較すると円覚寺に観光客の姿はあまりなく、見かける日本人は花を持った墓参りの人たちくらい。
代わって目立ったのが欧米系と思われる白人。
わけても、すれ違いざまなどに耳に届く言語がフランス語だったので、彼の国の団体客辺りが混じっていたのかもしれない。
ボクの偏見だが、禅寺と言うところには何故かフランス語が似合うような気がする。
コロナ以前、横田南嶺管長の法話とその後の坐禅会に熱心に通ってきていた外国人の母子がいた。
子どもの方は大学生ぐらいで、フランス人形のようなチャーミングな容姿で目を引いた。
母親もやせぎすなきれいな人で美人親子だった。
たどたどしいけれど日本語を話し、母子の間では早口のフランス語で会話していた。
2,3年休むことなく顔を見せていたが、コロナ禍で円覚寺が門を閉ざしてしまい、再開後の坐禅会でも見かけることは無い。
今どうしているのだろう。気になるところではある。
庭の花の話だった。
残念ながら浄智寺にも花はほとんどなかった。
ここの茅葺の書院前の庭が自然そのままを再現したような独特の庭なのだが…
大きなサルスベリのピンクの花が茅葺屋根をわずかに彩っていたのみである。
深山の趣の中に立つ総門
総門を抜け、さらにまっすぐ進むと苔むした階段の奥に鐘楼門がそびえ建つ
本堂裏手、書院前庭園
皆、花を咲かせる植物のようだが、生憎だった
サルスベリの古木が枝を伸ばして咲いているのが唯一と言ってよいくらい
ここのガラス戸のガラスが自然に波打っている古いもので、今時の表現をすると「オシャレ」である♪