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平方録

季節外れのバラが教えてくれている

本来なら秋に妍を競うはずのわが家のバラだが、その肝心の秋にはまったく音沙汰がなく、冬に入った今の時期になって元気を取り戻し、次々に花を咲かせている。

特に2階のベランダで鉢植えにしている「空蝉」と「ノリコ」はそれが顕著で、一時は葉が黄変して散ってしまったり、如何にも青息吐息だなぁと思わせるほどに元気がなかったのが嘘のよう。
9月から10月にかけての秋バラシーズンに葉が散り始めた時は驚いたが、症状を観察する限り病害虫によるものではないと踏んで、多分、天候不順による生理障害が出たんだろうと結論付けた。
生理障害は病気とは違うから下手にあれこれ手当ての真似事をしてみるより自然本来が持つであろう自然治癒力に期待することにして放りっぱなしにしておいたのだ。

こういう時にヒトの病人なら栄養をつけさせるために精力の付くものをドンドン食べさせたりするので、バラにも肥料を沢山あげようかとも考えたが、それはほんの少しの気付け薬程度にしておいた。
弱っている病人に無理強いは禁物だと思ったのだ。
別に確信があったわけではないが、今思えば「知らんぷり」が最善の薬だったなと思う。

「空蝉」然り、「ノリコ」然り。
そして庭のアーチで育てているつるバラの「伽羅奢」もまた葉をすっかり落としてしまった時には蒼くなったが、今また新しい葉が出そろいつつあって、冬の太陽にあの照りのある葉を向けて光合成に余念がない。
同じ庭の一角に計4本植わっている「ブラッシング・アイスバーグ」と「バーガンディー・アイスバーグ」の2種も、一時落としてしまった葉に代わって瑞々しく広げた〝新緑〟が太陽と談笑中だ。
その株が咲かせている季節外れの花が初夏のそれに負けない立派な花なのを見たボクは自然の回復力、自然の持つ治癒力というものを改めて心に刻み、自然の持つ強さに感心しきりなのである。

ただ心にとどめておかなければいけないことが一つある。
生理障害の原因が何かということ。
直接的な第一原因かどうかは分からないが、夏から秋にかけての異常気象はテークノートしておく必要があると思っている。
動き回れない植物、特にデリケートなバラはそういう地球規模の天候不順を敏感に感じ取ったのではないか、影響をもろに受けてしまったのではないかという点だ。
これは自然界が発する明らかな警告だろうと思う。

さて、”新緑〟も年が明けたらすべてそぎ落とす。
そしてきっちり剪定作業をした後、今度は寒肥をたっぷり施して初夏のシーズンに盛大に花を咲かせてくれることを願い、ゆっくりと養生の眠りについてもらう。
それまでの約ひと月、正月を挟んでしっかり光合成して英気を養ってもらうのだ。
来年のバラは多分大復活を遂げるだろう ♪


季節外れながらようやく咲いた「ブラッシング・アイスバーグ」(見出し写真も)

こちらは「空蝉」


同じく「空蝉」
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