ハイドンやビバルディの「四季」とか、ベートーベンの「田園」などを掛ける手もあったのだが、珍しくジャズにした。
別に誰でも良かったが、最初に手にしたのはコルトレーンのCD。
掘りごたつにもぐりこみ、庭のテラスや庭土に激しくたたきつける雨を眺めるるバックグラウンドミュージックにはちょうど良かったかもしれない。
まさに「春の嵐」だった。
わが家の2階のベランダで1輪だけ咲いて長いこと頑張っていた赤いアネモネの6枚の大きな花びらは、ついに地面に落ちてしまった。
落花狼藉…花に嵐… (この場合の「花」はサクラだろうけどね)
花びらと書いたが正確にはガク片。
バラバラになったガク片を眺めるのは、それが自然の当たり前の摂理だと分かっていても寂しい。
強風が吹き荒れてもどこにも飛ばされないでいるのは、雨に打たれて床にへばりつけられているから…
雨が小降りになったのを見計らってガク片を拾い集め、パンジーなどの花柄を入れているゴミ袋に捨てた。
雨が上がった後で踏んづけたりするのが忍びないから。
手に取ったガク片はしおれてふにゃっとするのかと思ったら、咲いていた時の何とも言えない美しい曲線と微妙な湾曲を保ちながら、ピンと往時のままを保っている。
それだけ厚みもあるのだが、それにしても役目を終えた後でも姿勢を崩さないでいるその姿には「へぇ~」と感心させられる。
武士道精神ここにありってところだろうか。言い過ぎかしらん。
ついでに、落下したガク片の写真を掲げないのは武士の情けってことにしておきたい。
関東地方では午後3時過ぎころから青空が広がり始め、現れた青空に大きな虹が架かったところもあったらしい。
今朝、パソコンを立ち上げたら、そんな見事な虹の写真を掲げたブログを幾つか見つけたが、ボクは気が付かなかった。
もっとも、外にも出られず、仕方なくコタツに入ってジャズを流し、活字を追ってじっとしていた。その後、もぞもぞ這い出してテレビの前に行き、録画しておいたエンニオ・モリコーネの音楽が素晴らしい3時間超のマカロニウエスタンを見ていたのだから分かるはずがない。
そして今朝の夜明け前、ベランダに出てみると肌に感じる空気は和らいでいて、この時点でいうなら春の嵐は確実に春の空気を連れてやってきた、ということができる。
この調子で春が積み重なって行ってくれると嬉しい。
北鎌倉・浄智寺の龍珍荘前の苔庭に咲くフクジュソウ
こちらは同寺書院前庭の苔の庭にこぼれ落ちて咲くツバキ