「篭口」(ろうぐち)という洒落た名前を与えられたクレマチスが夏の日差しを浴びて咲いておりました。
と言いましてもたったの1輪。他にツボミが一つでございます。
玄関アプローチのアーチで「伽羅奢」(がらしゃ)というつるバラと一緒に妍を競っていたのですから、盛りは5月の事でございました。
それがこの盛夏の時期に再び咲くということは戻り咲きでございましょうか。
珍しいことなので写真に撮ろうとしたのでございます。
ただ、この日も風が強うございました。
ゆらゆらと、あるいは激しく左右に揺さぶられ、スマホのレンズを向けてもピントがなかなか合いません。仕方なく、だらりと伸びて風に揺れるつるを指でつかんだのでございます。
揺れないようにすることと、どの角度から撮るのが一番美人に写るかを探ろうとしたのでございます。そんな最中の事でございました…
指先に近い花の外側を何か「得体の知れない白いもの」が動いたような気がした。
何だろう?
摘まんだままの花の向きを反対側にしてみると、また「白いもの」がサッと動く。
しかし目を凝らしても、動きが素早すぎて正体が分からない。
何度も為つすがめつするうちに、花がぶら下がっているつるに素早く移動したかと思ったらサッと葉影に消えてしまった。
それから20~30分後、再び篭口の花のところに戻ってみるが、もう、あの「白いもの」はどこにもいない。
あのままどこか別の場所に移動したのだろうか。
…と、待てよ、という気になってつるをつかんで花をひっくり返し、花芯を覗いたところ…あの「白いもの」がこちらに顔を向けて花芯の内側にへばりついている!
ネットであれこれ調べてみると、どうも「ヒメハナグモ」というクモに近いような気がする。
蜜を吸いに来た虫を捕まえて食べる肉食のクモのようだ。
しかし、別のネット情報によれば神奈川県のレッドデータブックには絶滅危惧種で登録されていて、箱根仙石原の湿原のみでしか生息が確認されていないうえに、個体数も少ないという。
そんな貴重な生き物がわが庭にいるものだろうか…
だとすると単なる「ハナグモ」で真っ白な個体も存在するってことなのかもしれない。
それにしても、ルンルンと蜜を吸いに出かけたらいきなり絡みつかれて食べられてしまうなんて…コワイデスネ、オソロシイデスネ、ハイ、それではサイナラ、サイナラ。
真夏の火を浴びて咲く篭口
何か白いものが動いたっ!の正体はコ・イ・ツ
こいつ、横に動くんじゃなくてまっすぐ前進できる
ちょっとピントが甘いけど…
カメラを花の下に差し込んで適当にシャッターを押したら何とか写っていた