平方録

完成車検査不正リコール異聞

資格のない従業員に出来上がった車の完成検査をさせていたことが発覚したのが10月27日。
30年も続いていたというのだから何をかいわんやなのだが、その詫び状とリコールの案内が郵送で届いたのがひと月を過ぎた先月29日のことである。

相手に一方的に迷惑をかけてしまったような場合のボクの採ってきたスタンダードは何はともあれ事実が起きてしまったことに対する謝罪である。
直ちに足を運んできちんと面と向かって謝らなくてはいけない。
で、原因もそのリカバリー策についてもその時に説明できればベストだが、原因の究明や対応策の一部には調整が必要なこともあるだろうから、そこはきちんと状況を説明して理解と納得を得なくてはならない。
それがまず最低限の初動の振舞だと思う。
すべてが整った後、今度は正式に謝罪に赴いて事案が起きた原因と構築した防止策や対応悪を説明し、2度とこのようなことのないようにしますと誓ってこなければならないのだ。

今回のリコール騒ぎに関しては報道で知っていたが、ディーラーからは何のアナウンスもなかった。
書状が届くまでなしのつぶてだったわけで、これにはボクはいささか呆れると同時に憤慨もしていたのだ。
普段ユーザーに対応している社員が一体何人を担当しているというのか。
千の単位ではなくて、せいぜい百の単位、それも若い数のはずである。一人当たり多くたって2~300人だろう。

フェイストゥーフェイスが難しいなら、せめて電話でもかけて事案が起きてしまったことを詫び、リカバリー策が整い次第案内をするのでしばらく待ってほしい、というぐらいの対応はあってしかるべきなのだ。
2~300人くらいなら2日もあればひととおり電話は掛けられるだろう。不在者には留守電にカクカクシカジカと残しておくだけでもとりあえずの対応にはなるだろう。
そういう観点からしても、今回の対応は落第である。はっきり言って危機管理がなっちゃいない。
しかも、売りつけた商品はもし重大な不具合が起きれば生命に直結するかもしれない自動車なのである。

そして郵送で届いた書状の後を追うようにかかってきたディーラーの担当者の言葉がまた意味不明なものだったのだ。
曰く、〇〇さんの場合は来年3月が12か月点検ですからあと4か月そのまま乗っていただいて、そこでリーコールの検査をすれば5万円をお渡しします、と。
この電話を受けた時、最初は何のことか意味が分からなかった。
リコールというのは安全を確認するために行うものであって、それは直ちに行うのが筋というものだろう。
しかも、問題発覚からはすでにひと月以上が経過しているのだ。なのに、さらに4か月先まで待てというのか。
しかも、そうしてくれれば5万円出しまっせ、というんである。

ディーラーの担当者はいつも舌足らずというか、きちんとした説明のできない男なのだ。
それを感じてきたので、その場は一端保留にして電話を切り、メーカーのこの問題に対応している窓口に電話をしてみたら、メーカーからも同じ返答が返ってきたのだ。
ディーラーの担当者と違っていたのは、こちらは最初から再検査の必要な車が殺到するのでとても手が回り切れません、出来ることなら車検時や定期点検時に合わせて実施されるようにお願いしています、というのだ。
金を払う理由についても何か言っていたが、要は迷惑料を払うが、そういう名目だと税務署が見逃してくれないので屁理屈をつけているだけのように聞こえたが、直ちにリコールに応じるための体制を整えて実施していくための費用に比べれば、一人当たり5万円支払ってでも先送りしてもらった方が安く済むと踏んだのではあるまいか。
それくらいに底が浅くて虫のいい話であるように聞こえたのである。

車のリコールなんて初めての経験だけれど、どこも似たような対応なんだろうか。
車メーカーではもう1社で無資格者による完成車検査の不正が発覚している。やっぱり迷惑料を払って先延ばし作戦を実施しているんだろうか。
自分たちがしでかしてしまったこと、信頼を裏切るようなことを引き起こしてしまったという事実に即しても、そのことにおののくようなことはないんだろうか。
まぁ、どっちにせよ、不正をしでかし、その不正のリカバリーのために行う安全確認のための作業がかくも緊張感を伴わないものなんだという現実を見せつけられたボクは今とても切なく悲しい気分である。
足元を、そして首筋を冬の冷たい風が吹きすさんでいくのを地団駄を踏み、首をすくめてやり過ごさなければならない。












おすそ分けの干し柿をカツラの木の枝に吊るしたらさっそくメジロがついばみに来た。小枝が邪魔でヒヨドリなどは近寄れないのだ
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