FF7リメイクの影響か、伊藤 歩さんの出てる映画が見たくなって、真っ先に連想した『関ヶ原』と言う映画のDVDを買ったよ
『関ヶ原』は前から聞いた事があるんだけど、伊藤 歩さんの演じる蛇白/阿茶役がどんな人物かと気になって、ネットで調べて後で伊賀忍者のくノ一である事が分かった。
硬派で大河映画の『関ヶ原』で、武士同士が戦いあう中で忍者が入ると胡散臭くなると言う声が聞かれる訳ですが、しかし、『関ヶ原』に出てくる忍者は、周りに何の違和感も無く溶け込んで、そして連想した映画が『スパイ・ゾルゲ』。
史実を基にした映画なんで、バッド・エンドは必然なんですが、これはソビエト連邦のスパイであるリヒャルト・ゾルゲを主人公にした映画で、敵地日本に潜入したゾルゲが、仲間達と共に如何に相手に気付かれずに情報をソビエトにリークしたかが良く分かる作品ですね。
敵地で重大な情報を盗み、そして如何に国を操っていくか、スパイの役割はまさに重大。
『関ヶ原』と『スパイ・ゾルゲ』の、何か関係が?と思うでしょう。
忍者の本来の役割は、敵側の動向をうかがうスパイであり、リヒャルト・ゾルゲのように上手く正体を隠して敵側の陣地に乗り込んで、その情報を自分の陣営に伝えるのが、忍者の主な仕事と言うわけです。
蛇白も石田 光成側の動向を伺って、それを忍者仲間を通じて徳川 家康に報告していきますが、ゾルゲも同じで、敵地日本に自ら乗り込んで、日本やドイツの動向をソビエト連邦に報告していきました。
赤耳と言うのが出てきて、「わしの耳は特別でな、一里先の声も聞こうと思えば聞ける」と言いますが、これもスパイ行為で必然的に行われる盗聴というものにも通じますね。昔、敵側の大使館とかに盗聴器を仕掛けて、動向を伺おうとするって言うのがありましたが、戦国時代にはマイクなんてものがなかったから、聴覚が優れている程遠い場所に入れて見つかりづらくなるわけですよねぇ
そのスパイ対策として特高警察と言うのがありましたが、「影に潜む者を討ちし影の者」として設立され、自分の国の情勢を探るスパイを討伐する役割を担っていました。残酷な取調べは後に社会問題になりますが、戦国時代で言う忍者同士の戦いにも匹敵し、影の中での戦いは第二次世界大戦時も繰り広げられました(最も拷問と言っていいほどの取調べの仕方から問題になって姿を消した特高警察ですが、アメリカやソビエトもやっていたし、存在が明かされた特高は戦後名前を変えて公安調査庁として現在も存続しています)
『関ヶ原』を見た後でゾルゲを見ると、まさに忍者と言っても過言ではないでしょう。蛇のように隙をうかがい、情報を瞬時に盗んで、それを敵国に渡す、ゾルゲはまさに蛇白だ
『関ヶ原』の役割を、『スパイ・ゾルゲ』にキャスティングしなおすと……
蛇白/阿茶=リヒャルト・ゾルゲ
直政=宮城 与徳
松平 忠吉=尾崎 秀実
赤耳=ヤン・ベルジン
徳川 家康=ヨシフ・スターリン
初芽=吉河 光貞
石田 光成=近衛 文麿
と言うことですかね?
ただ、蛇白とゾルゲの違いは、主に恵まれたかどうかの事。
蛇白は卓越した密偵力と美貌から徳川 家康に大きく買われ、かつて愛した女性の名前の「阿茶」の名前を授かって(ここから「阿茶」と表記)家康の政治にも加わって重宝してもらったのですが、ゾルゲは命かけて日本に乗り込んで来たと言うのに、ヨシフ・スターリンから全く相手にされず、上司のベルジンも逮捕されて、折角命がけで手に入れてきた日独の機密情報をスターリンは「チャーチルが仕掛けた罠」と片付けられて握りつぶされてしまった、と言う所です。
ここだけ見ると、主の人間性が伺えますね。徳川 家康は部下を丁重に扱う名君なんだけど、ヨシフ・スターリンは部下を粗末に扱う暴君と、人間性がぜんぜん違う。もっともスターリンは人間不信が強いので有名で、信じれる人が殆どいなかったと言う訳ですが。
『関ヶ原』は司馬遼太郎作の小説が原作で、徳川 家康や石田 光成などの実在する武将は出てくるものの、殆どが架空らしい。しかし、リアリティは感じられて、わざとらしかったりするのが無いんですよね
まだ見てない人の為にネタバレは防いでおきますが、実際のスパイの殆どは天寿を全う出来ておらず、関ヶ原の戦国時代や第二次世界大戦時が特に死んだといいます。
『スパイ・ゾルゲ』の評価は良くないそうですが、『関ヶ原』と一緒に見る事をお勧めする。4時間も重い映画を見せる事になりますが、『関ヶ原』と『スパイ・ゾルゲ』を合わせて見ると、スパイの本質が見えるはずです
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