「自分の書いた詩を“どうだ?”と言って人に見せるんじゃない!そういうのは、ランボーに失礼だろ!」
この言葉にオレは自分の胸にぐさりと刺さり、軽率なことをしてしまったと後悔した。
それと同時に、ジム・モリソンが何をしたかったのかが、すぐに分った。
ジム・モリソンと言えば、The Doorsで有名なシンガーソングライターで、アルチュール・ランボーに深く傾倒しているのでも有名な詩人の一人だ。
ジムの書いた詩は、読んでみてかなり文学的で、ランボーのテイストが十分に引き立てられている。「ジ・エンド」なんかがまさにそれだ。
The Doors - The End (Toronto, 1967)
しかし、ヒット曲を出したいロビー・クリーガーのスタイルにジムは着いていけず、「ハートに火をつけて」や「タッチ・ミー」とかも歌わなければならない苦痛(実はジムは「ハートに火をつけて」をやりたくなく、商業的な成功も実は得たくなかったようだ)から、次第にフラストレーションが蓄積されていって、最早自制が効かなくなってしまったのであった。
The Doors - Light my fire (Ed Sullivan Show 1967)
The Doors - Hello, I Love You
「ハートに火をつけて」のコンサート演奏がやらなくなったというが、最初は「ヒットしたのに何で!?」と思っていたのが叔父さんに注意された後、「あぁ、やりたくなかった歌なんだなぁ」と分った(後で対訳詩を読んだが、モリソンが書いたのが暗く、しかし挑発的なのに対し、クリーガーが書いたのはありきたりのポップと分った)。現にマイアミ事件の際、曲のリストに「タッチ・ミー」も入っていたが、すぐに歌うのをやめた。
the doors - touch me live miami
1969年のマイアミ事件も有名だが……売れ線狙いの『ソフト・パレード』を作らされた事から、ジムのバンドに対する軽蔑の感情が最大限に高まって、そしてマイアミでそのフラストレーションは一気に爆発し、性器まで露出して警察に捕まってしまった(ニューヘイヴンでも逮捕されていたが、実はジム、バンド結成前にも一回逮捕されていたのだった)。
The Doors Five To One Live at Miami "Dinner Key Auditorium" 1969
自分の歌が売れるようにひたすら集中したロビー・クリーガー、レイ・マンザレク、ジョン・デンズモアは事件後になってようやくジムに気を使うようになり、『ソフト・パレード』から一転し、『モリソン・ホテル』をレコーディング。オレもジム・モリソン在籍時のドアーズのアルバム全作持っているが、やはり『ソフト・パレード』より『モリソン・ホテル』の方が聴きやすい。『ソフト・パレード』はダメ。
オレも詩を書いているが、人様に見せれるような内容じゃない。
自分で書いてて思うが、ツイッターでバカな事を書いて人様をコケにした某アラシックのと言ってることと同じだ。見せたら先ず不快になるだろうよ。
しかし、オリバー・ストーン監督の映画も見て見たけど、幾らなんでも大げさだわぁ!正直、アルチュール・ランボー読んでないとすら思えてきた。