父の靴

父は、とてもお洒落だった。

仕入れなどで名古屋に行き、
時間があると、デパートへ行ったり
服も靴もそこら辺で売っている物で無い物を見つけて 着ていた。

今は、一人では 一歩も家から出られなくなっている。

勿論靴も 自分で履けない。

下駄箱にある、革靴やスリッポンなど、片付け、履ける物は持ち帰っていた。

サイズは夫より少し大きめ。

夫は、父とは違い、服装には無頓着。
まして靴など選ぶ事さえ、一人で出かけない。

最近、近く履きの靴が欲しそうにしていたから、
持ち帰ってある父の靴を見せた。

早速、今日から履き始めるそうだ。

きっと、靴も、捨てられるより
喜んでいるよね！？