京都中央信用金庫(中信)被害者の会

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大阪高裁で勝訴判決をもらいました!②

2021年11月01日 15時37分41秒 | 日記

前回の記事では,「預金等払戻請求権の帰属(争点①)について」の判断について検討しました。

 

今回は,「預金元帳(COM)の実質的証拠力」についてです。過去に,このブログ

京都地裁6民訴訟判決のおかしさについて(その⑪・「知っていた」論のおかしさ・その4)

という記事で紹介をした論点です。

 

預金元帳(COM)というのは,中信側が提出してきた取引に関する電算記録のことです。

 

 

しかし,金融機関が作成した電算記録については,東京スター銀行に関する最高裁平成19年4月24日判決という判例があります。

 

その原審である東京高裁平成17年1月19日判決では,「金融機関が定期預金払戻等(債務の弁済)をした旨の取引明細表等,当該金融機関の取引に関する電算記録は,当該定期預金の払戻しをうかがわせる記録があっても,当該金融機関において作成されたものであるから,これのみによっては、弁済の事実を認めることはできない。」とされています。

 

 

したがって,そもそも預金元帳(COM)自体は,払戻が有効になされたことを証する資料でもなければ,ましてや,預金者本人に対して払い戻されたことを示すものでもないのです。

 

また,私たちは,預金元帳(COM)の記載内容自体が中信に都合のよいように改ざんをしたとも考えています。

 

にもかかわらず,中信は,本件各預金の預金元帳・定期積金元帳(乙12,57)に本件各預金が払い戻されたことが記録されていることから,これにより,本件各預金が有効に弁済されたことが認められる旨主張していました。

 

そして,大阪高裁3民判決は,以下のように判断して,中信の主張を排斥しました。

 

「しかしながら,同預金元帳が正確に事実を記録したものであるとしても,同預金元帳上の払戻しの記録は,第1審被告中信が当該預金の払戻しの手続を行った事実を証明するにとどまり,その払戻しが当該預金の真の預金者又は同人から払戻しの授権を受けた者に対してなされた事実までを証明するものとはいえない。」「よって,第1審被告中信の上記主張を採用することはできない。」

 

こう判断したのです。

 

「中信が払戻しの手続を行った事実を証明するにとどまり,その払戻しが当該預金の真の預金者又は同人から払戻しの授権を受けた者に対してなされた事実までを証明するものとはいえない」という箇所は,東京スター銀行の裁判例と同様の判断を示しました。このように,預金元帳(COM)の記載から客観的に読み取れるごくごく当たり前の判断を示したのです。

 

また,「同預金元帳が正確に事実を記録したものであるとしても」ということもしめされており,預金元帳(COM)が改ざんされた可能性がありうるということも,認めています。

 

次の記事では,「本人の意思確認がなされていなかったこと,Aさんへの授権もなかったこと」について見ていきます。


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