たまねこ*古布とmy garden

「繕い裁つ人」その1

先日Sさんと「繕い裁つ人」を見に行きました。

池辺葵さんのコミックを中谷美紀主演で映画化したものだそうです。

服作りに携わる者としてとても興味深く拝見しました。

それに私の実家はまさにテーラー、

(スーツなど紳士服の仕立て屋、洋服屋、)だったのです。

父は来店のお客様だけでなく会社のお昼休みに訪問して、

寸法取りやデザイニング、チャコ引き、型紙起こし、

裁断師でもありました。

その上お弟子さんたちにも教えていました。

映画の中のおじいさんの服の「ハ刺し(はざし)」

(テーラードカラーの表地と芯とをなじませるためなどに行う、

片仮名の「ハ」の字形に細かく刺し縫いする方法)の作業風景など、

「アーこれを父も良くしていたし、私たちも洋裁学校の時やっていた」

と懐かしく思い出しました。

本当に昔は職人芸の仕事だったのです。

実家の遺品整理の時一通のはがきを見つけました。

「数日前、背広の必要」がありまして、昔の背広をタンスから出し、

着服しました。当時新調した時のことを思い出し、

○○さんの面影が出て本当になつかしくてたまりませんでした。

(昭和55年製、25年前)の寸法で今でも全然変わりません。

これからも○○さんを思いつつ着用したいと思っています。

全然型崩れがしなく着心地が良いです」。

とありました。このハガキをもらった嬉しそうな、

仕立て屋を誇りに思った父の笑顔が目に見えるようです。




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