著者のリチャード=ゴードン=スミス(Richard Gordon Smith、1858年 - 1918年11月6日)は、イギリスの富豪で旅行者、狩猟家。日本に数年滞在したのをはじめ、多くの国を見聞した博物学者でもある。初来日は1898年と言うから今から100年以上前の写真やスケッチなど興味深い資料が満載の本となっている。
このスミス氏、東京・横浜・神戸という所謂大都市だけでなく、僕の住む西宮にも足を延ばしており、近所の記述もあった。狩猟家なので、日本人ガイドを連れて六甲山にも分け入っている。同じ趣味の外国人も多く、ウィルキンソン氏が連れた猟犬が宝塚山中で炭酸泉を見つけたのも単なる偶然ではなさそうだ。(これが今のウィルキンソン炭酸水になった)
文中の六甲にあったという六地蔵は聞いたことは無いが、ネテトテコイ池(ニテコ池らしい)にまつわる話は初めて聞いた。昔は、なんと許されぬ仲の恋人達がここで心中したというのだ。これとは別に30Kg前後もある巨大な悪霊付きのスッポンが人間を引き摺り込んで食べたなんてヨタ話も(笑)。悪いがゾウガメ程の大きさでも人間は食えんと思う。
とはいえ、法界聖霊塔と彫られた慰霊碑は今でも残っており、子供の頃は戦没者の慰霊碑だと思っていた。まさか心中したカップル用とは知らなかったなぁ。建立した辰馬悦蔵氏とは銘酒白鷹を起した人。白鷹は大手でありながらも他蔵から一切の桶買いをせず、僕は“灘の良心”と呼び愛飲してきた。
白鷹は1992年まで辰馬悦蔵商店と名乗り、創業以来3代までが名を継いでいる。石碑には明治22年(1889年)7月建立とあるので初代の悦蔵氏によるものだろう。日記には碑が出来たのは16年前と記載されていることから1905年に聞いたと言う事か。当時は夙川の水も飲めて、池は水源ではなかったのかもしれないが、飲み水への入水自殺は止めてもらいたいもんだ。碑は南にあるニテコ池の西南端に今でも残っている。
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