たまたま同期の友人がインド駐在に決まった。昔から、みんなの余り知らない所へ駐在になった場合、その国の料理で送別会を開く習慣があった。タイ駐在になった奴の送別会は吉祥寺の某レストラン。確かに客はかの国の人が多かったように思う。従って料理の味付けは現地風で甘い、辛い、酸っぱいが極めてはっきりしており、正直に言って我々の口には合わなかった。
これまた口に合わない現地のビールを飲みながら『うーん、こんな飯毎日食うの大変だな』と送り出したのが始まりだ。そいつは『お前らの、たまらん友情に厚く感謝する』と言いながら赴任して行った。タイ料理の名誉のため一言付け加えると、フランクフルトにあったタイ人の経営するタイ料理屋はとても美味しかったので、単にこの店の味に我々が同意できなかっただけだと思う。
当然今回はインド料理である。Kに良かったらちょっとでも出て来れないかと打診した。縁起ではないと思いつつも、その中の何人かは最後になるかもしれないと思わないでもなかったが、それよりもKの頑張っている姿をみんなに見て欲しかったのだ。
残念ながらその案はKに断られた。抗がん剤の影響で腹の具合が良くないから今回は見送らせてもらうということであった。『最期にみんなの顔を見るのはもう少し先だろうな』と笑うKだった。その週末、銀座のナイルレストランに集合。辛いものが苦手の駐在予定者に向かって『美味いじゃん。これなら毎日食えるぞ』とみなが無責任にはやし立てる中でKの容態はとても言えなかった。
帰りのタクシーでたまたま、若い頃はいつもKとつるんで遊んでいた2人と一緒になった。やっと彼らには現状を話すことが出来た。あの翌週にでもそいつらを誘って見舞いにでも行っていたらどんな話をしたのだろう・・・とつい考えてしまう。きっと昔の馬鹿話に花が咲いたことだろう。
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