ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆『逝きし世の面影』 渡辺京二 著 平凡社ライブラリー

                

 
 ヨーロッパ中世から近代にかけて、こどもはからだが小さいということで、そのために、労働力として徴用された。
 
 エンゲルスは、産業革命によって、機械化された工場で、こどもの労働力は重要な役割をなしたと著作に書いている。大人の体で手に届かぬ作業を、なんと五才、六才のこどもが担っていたという。

 産業革命以後の欧米人が、江戸末期から明治初期にかけて日本に訪れ、おしなべて驚いたのは、日本の幼児、こどもが労働しておらず、地域の大人なたち愛され、甘やかされ、軒下や路地で、楽しく生きていることだった。

 『逝きし世の面影』に綴られるのは、当時に日本に訪れた外国人たちの日記や手紙や、祖国への報告書を基に、いかに、日本人の市井の人々の大らかさ、いい加減さ、好奇心の強さ、そしてなによりも、その懐の深い生き様に感嘆している様の記録である。

 あらためて、TVドラマって、「水戸黄門」とか、影響力があるんだなぁって、つくづく思う。
 あやまった日本人イメージを、自ら日本人に植えつけてしまっている。
 江戸時代の庶民の識字率は、国際的にトップだったんです。
 農民百姓を、無学文盲のように描くのは、許されない!!
 

 まずは、『逝きし世の面影』を読んでみてもらいたいものだ。
 知らなかったこと、気付かなかったことを、気づき知る面白さを味わえること、これは、もう、しっかりと、請け合う。
 

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