新年早々の新刊。
いとうみくさんの『よそんちの子』。
タイトルから、よそんちの子って、主人公になんらかの事情が生じたのかと想像したが、全然、違っていた。
いとうみくさんは、なさぬ仲の姉妹を描いた『おねえちゃんって、たいへん!』シリーズや『唐木田さんちの物語』で、おとうさんが北海道から孤児になった男の子を連れ帰るという物語を書いているけれど、それと『天使のにもつ』のしおん君、微妙にそれぞれの立ち位置はちがうけれど、それぞれの子どもの、堪え詰まった感情の、その描写がとてもうまい。
読んでいて切なくなる。
そして、そのような立ち位置の子どもを巡る出会う子どもたちの、心にひっかかる思いや、複雑な屈折感、ここのところなんとも秀逸な描写力なのだ。
ある時、デビュー前だったか、いとうみくさんが、「物語はストーリー展開に工夫をこらすのではなく、ひとえに人を描くことに気付いた」(私なりに理解した言語化ですが)と言ったことを覚えているが、ほんとうにみくさんは、その“人を描く”ことを、ひたすら追求しつづけている作家だと思う。
いとうみくさんの作品を読む度に、その主人公が置かれているシチュエーションは様々だけれども、彼女はそこに生きる人たちを、描き切るという、そこに注がれる「心血」を感じる。
すごい作家だ。
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