ケセランパサラン読書記 ーそして私の日々ー

◆『17かいのおんなのこ』 後藤竜二 文 福田岩緒 絵 童心社  

  

幼年童話。
幼稚園児の話しである。
とにかく、笑ってしまう。
大好きな物語のひとつ。
後藤竜二の描く女の子は、みな、強い!
凛々しくて、かっこいい。
読んでいてスカッとする。
子どもを描かせたら、やっぱり、すごい後藤竜二である。

女の子が、幼稚園ばら組に転校(転園?)して来た。
ボクが、「やあ」と言っても、その女の子は「ふん」と言って、そっぽを向いたまま。
業を煮やしたボクが、髪の毛をひっぱると、いきなり、木琴の棒で、ボクの頭をポコンと叩いたのだ。
なんで、女の子が木琴の棒を持っていたかということが、もう、最高!!
17階に引っ越して来たからなのである。
まだ幼稚園児の小さな彼女は、エレベーターの階数ボタンまで手が届かなかったのだった。
この、"ほそかわやすこ"という、つわもの女の子と、心やさしいボクのやり取りは、ツッコミどころ満載で、ほのぼの感を漂わせながら、笑える。

『17かいのおんなのこ』は、2013年に、出版された『後藤竜二童話集 5』(ポプラ社 表紙とさし絵は、小泉るみ子)に収録されており、その巻末の文を、あさのあつこが書いている。引用する。
「ちょっとなまいきで、気が強い女の子たちは、周りををまきこみ、周りを変えながら。自分たちのペースをくずさない。ある意味、豪快で愉快で、思わず拍手をおくりたくなる。
 でも、彼女たちには芯がある。ゆれはしても、ぶれない芯だ。」
まったく、同感だ。
後藤竜二の、子どもによせる眼差しは、いつもまっすぐで、温かくて、優しい。
懐かしい。

童心社版は、現在は絶版になっている。

因みに、『後藤竜二童話集 5』収録作品は、下記の四作品。
『17かいのおんなのこ』童心社(1991年)絵 福田岩緒
『おつかいへっちゃら』童心社(1992年)絵 福田岩緒
『てんこうせいのてんとう虫』講談社(1990年)絵 小泉るみ子
『じてんしゃデンちゃん』講談社(1980年)絵 小泉るみ子
後藤竜二の幼年童話、不朽の名作。

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