近頃つくづく感じることは、高齢者の財産管理の重要性です。
高齢者の平穏な生活を維持するために「高齢者の財産管理」が必要です。
私が「高齢者の財産管理」の重要性を強く感じるのは、高齢者の財産が大きく侵害される事件に最近しばしば接するからです。
多くの場合、高齢者に対する虐待を伴います。
虐待を伴い財産を奪われると、「終活」などと悠長なことを考える余裕はありません。
私の接した事件の加害者は、すべて身内です。
実際、世の中には相当数の事件が隠れていると思います。
身内の問題なので外に出にくい側面があります。
高齢者が我慢をしたり、どう対処して良いのか判断できないまま時が経過してしまうようです。
今年7月に、私は「相続」と「高齢者の財産管理」をテーマに、それぞれセミナーを開催しました。
事前の予想通り、「相続」の方が反応は多かったのですが、私は「高齢者の財産管理」にもっと関心を持って欲しいと思います。
まずは高齢者自身がもっと認識すべきです。
上記のような事件以外に、特殊詐欺や訪問販売被害なども考えられます。
自分には無関係と思う人が多いと思いますが、実際はそうではありません。
高齢者人口の95%超は、高齢者の1人世帯と高齢者の夫婦2人世帯です。
高齢者の夫婦世帯も、いずれは高齢者1人世帯になります。
そして、人間の体力・判断力は徐々に衰えていきます。
ですから、いつかは自分の財産を誰かに管理してもらう必要が出てきます。
自分の財産を管理してくれる人が聖人君子なら良いのですが、実際はそうではありません。
財産を奪われ虐待を受けて、悲惨な老後を過ごすことになる可能性は誰にもあります。
ですから「高齢者の財産管理」は大きな問題だということです。
よくよく検討し準備しなければなりません。
なにより高齢者本人が、しっかりした認識を持つことが大切です。
ちなみに、「高齢者の財産管理」の代表的な制度としては成年後見制度がありますが、利用は未だに低調です。
また、本人の能力が低下していない状態では利用できません。
成年後見制度以外にも、財産管理委任契約など対策はありますが、様々な条件をクリアーする必要がありハードルは高いと感じます。
いま話題の映画『老後の資金がありません』が近々公開されます。
老後の資金が2000万円不足すると言われている現在では、老後資金の不足が心配の種で、そんな事情をコミカルに描いた作品のようです。
ただでさえ老後資金の不足が懸念される昨今、上記したように虎の子の財産を奪われたら目も当てられません。
老後資金に余裕のある人でも、身内などから奪われたら瞬く間に無くなってしまいます。死後の心配よりも、まずは自分の老後の生活を心配すべきです。
つまり、自分の財産の管理を優先して考えるべきだと思います。
司法書士・行政書士 平瀬清文
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