介護の技術・知識のまとめ

研修で学んだこと、職場で経験したことなどをまとめた場所です

記憶の仕組みと記憶機能の変化

2021-03-21 12:52:36 | 高齢化による体の変化

記憶の過程

  1. 記銘(情報をおぼえる)
  2. 保持(情報を保存する)
  3. 再生(情報を想起する)

 

記憶の分類

  • 感覚記憶
    視覚や聴覚などの感覚器官で知覚した非常に短い記憶、一瞬で消えてしまう
    注意を向けないと感覚記憶に入らない
    膨大な情報量を持つ
  • 短期記憶
    ほんの数秒程度、限られた内容を覚えておくもの
    一度に5~9個しか覚えられない
    反復やまとまりを与えると長期記憶に移りやすい
    長期記憶に移行しないと数秒から数分で消えてしまう
  • 長期記憶
    ほぼ無限の容量を持ち、ほぼ永久に貯蔵されている安定した記憶。知識が貯蔵され意味的関係の構造をなしている
    組織化されたり有意味の時、増強される

加齢に伴う低下が小さい記憶

  • 単純なことを短時間で覚える短期記憶
  • 言葉の意味や様々な知識に関する意味記憶(長期記憶)
  • 技能の記憶(自動車の運転、スポーツ、ものづくりなど経験によって習得した技能)(長期記憶)

加齢によって低下する記憶

  • 複雑な知的活動の途中において使われるワーキングメモリ(作業記憶)(計算しながら途中の結果を覚えておく、文章を読みながらその前の内容を覚えておく、など)(短期記憶)
  • 経験した出来事や情報に関するエピソード記憶(昨日の出来事など個人的経験として思い出される記憶)(長期記憶)

 


体温維持機能の変化

2021-03-21 10:48:56 | 高齢化による体の変化

体温調節の仕組み

  1. 身体内・外部の温度受容器からの情報が脳に伝達される
  2. 大脳や間脳の視床下部が指令を出す
  3. 大脳は、衣服や室温の調節など、随意運動による調整を行う
  4. 視床下部は自律神経系や内分泌系の中枢であり、産熱や放熱の指令を出す。内分泌系は主に代謝促進による熱産生を行い、自律神経系は主に発汗、血管拡張による熱放散を行う(血管収縮による熱放散防止も行う)
  5. 熱の産生は、主に骨格筋で行われ、血管を収縮させて血流量を減らし熱の放散を防いだり、シバリングにより筋肉を動かし熱を産生する
  6. 熱の放散は、皮膚の末梢血管を拡張させて体熱を放散したり、発汗により放散する

 

高齢期の体温の特徴

  • 高齢になると基礎代謝が低下し、30~40台と比べると男性で20%、女性で15%前後、熱産生量の低下が見られる
  • 筋肉量が減少し、熱産生が減少する
  • 末梢血管の収縮反応が遅くなり、熱の放散が起きやすく低体温になる
  • 骨量や筋肉量が減少し、活動の低下につながり、骨格筋による熱産生が減少する
  • 暑さ、寒さを感じにくく、反応するにも時間がかかるようになる

以上、高齢者が低体温になりやすい特徴

  • 加齢とともに、動脈の壁は弾力を失い、硬くなり、血流が衰える
  • 体温調節中枢の機能が低下し、発汗を促す自律神経からの汗腺への指令が遅れる
  • 成人の体の総水分量は約60%であるが、男女ともに10%減少し、水分不足が起こりやすくなる
  • 腎機能の低下により、尿の濃縮機能低下が起こり、尿量が増し、体の水分が減少する
  • 口渇感が減り、水分摂取量が減少する
  • 高温の環境に置かれた場合の核心温(身体深部の温度)の上昇度が若い人より大きくなり、熱中症にかかりやすくなる

以上、高齢者が脱水や熱中症になりやすい特徴

 


尿失禁の種類

2021-03-21 10:34:32 | 高齢化による体の変化

腹圧性尿失禁

  • 尿道、膣、肛門を閉める役割を持つ骨盤底筋群の張力が低下して起こりやすい
  • 男性の場合、前立腺摘出により尿道口周囲の括約筋も消失して、失禁しやすくなる
  • 咳、くしゃみ、走る、跳ぶ、階段を下りるなどの日常生活で腹圧がかかった時に起こる。安静臥床時は通常もれないのが特徴
  • 骨盤底筋群を鍛えることで改善できるほか、出産の影響でも治療できる

切迫性尿失禁

  • 急に起こる我慢のできない強い尿意(尿意切迫感)と共にもれる。過活動膀胱の中核的症状。頻尿、夜間頻尿が見られる
  • 廃用症候群を防ぎ日常生活を送れるようにするために、おむつの使用が効果的なことが多い

溢流性尿失禁

  • 排尿障害に伴い、膀胱内の残尿がダラダラと漏れてくる。前立腺肥大症による下部尿路閉塞や、神経因性膀胱による排尿障害などが原因となる。神経因性膀胱は、脳梗塞・脳出血・認知症などの脳疾患、脊髄損傷などの脊髄疾患、糖尿病などの末梢神経障害などの、排尿に関係するすべての神経の病気が原因となる

機能性尿失禁

  • 関節の痛みや脳血管障害の後遺症などによる歩行障害、認知症による認知機能障害などにより、間に合わずに漏れる
  • 適切な排泄誘導など、介護の力で防ぐことができる

 


泌尿器の変化

2021-03-21 10:18:17 | 高齢化による体の変化

腎臓機能の変化とその影響

  • 糸球体の減少、腎血流量の減少→血液ろ過率の低下→老廃物が排泄されにくい
  • 夜間腎血流量増加→尿量増加→夜間頻尿
  • 尿細管の機能低下→再吸収機能の低下、尿濃縮力の低下→糖尿、タンパク尿、多尿

膀胱機能の変化とその影響

  • 膀胱壁伸縮力の低下、膀胱の萎縮→容量減少、畜尿機能の低下→頻尿
  • 括約筋の弛緩→排尿機能の低下→尿失禁

前立腺の変化とその影響

  • 前立腺肥大→尿道圧迫→排尿開始に時間がかかる、排尿時間の延長、排尿の勢い減少、残尿感、頻尿、尿失禁、尿閉、夜間頻尿

 


筋肉、骨、関節の機能の変化

2021-03-21 10:11:24 | 高齢化による体の変化

筋肉の変化

  • 加齢とともに筋繊維の萎縮が進み、筋量に比例した筋力を発揮できなくなる
  • 上肢の筋量はそれほど変化がない
  • 下肢の筋量は加齢とともに減少し、70歳代では、20歳代の60%程度にまで減少する
  • 高齢になっても筋肉を鍛えることはできるので、適度な運動で筋機能の維持向上が重要

骨の変化

  • 高齢になると骨を破壊する破骨細胞の働きが活発になり、骨密度が低下する
  • 特に女性は、閉経により、女性ホルモンが減少し、破骨細胞を抑制する働きが低下し、男性よりも骨密度の低下が早く進む
  • 骨密度の低下は、海綿骨(骨の内部のスポンジのような構造をした部分)に空洞が増え、もろくなる「骨粗鬆症」を引き起こす
  • 骨がもろくなると、座っただけでも圧迫骨折を起こすことがある。圧迫骨折は発症しても分かりにくいので、状況に応じて骨折を疑うことが大切。安静時に痛みがなくても、動いた時に痛みが出る時には骨折を疑う
  • 骨を強くするには、骨に負荷をかける必要がある。立位のみならず、座位で足ふみをして衝撃をかけるだけでも効果がある(かかと落とし運動)

関節の変化

  • 加齢により軟骨が硬くなる。関節軟骨のコラーゲン繊維が増加し、軟骨基質の水分が減少する
  • 軟骨がすり減って変形する。関節軟骨に負荷が集中するため
  • 関節を動かすと痛みが発生すると同時に、関節可動域も制限される