介護の技術・知識のまとめ

研修で学んだこと、職場で経験したことなどをまとめた場所です

急性疾患と慢性疾患

2021-03-21 13:45:08 | 高齢化による体の変化

急性疾患

  • 薬物療法など、医療機関での治療が中心
  • 患者自らが治療に関与できる部分が少ない
  • 完治が十分期待できる

慢性疾患

  • 生活習慣の改善が治療のカギであり、患者自らが治療の中心となる
  • 治療の効果が限定的
  • 完治が難しい
  • 高齢者に多い

 


高齢者の症状・疾患の特徴

2021-03-21 13:41:00 | 高齢化による体の変化

高齢者の症状・疾患の特徴

  1. 複数疾患の合併が多い
  2. 症状が非定型的で現れ方が教科書通りでない
  3. 症状が長引き慢性化することが多い
  4. 寝たきり状態につながることが多い
  5. 身体機能は個別性が高く、各種の検査成績の個人差が大きい
  6. 身体疾患に、うつ症状等の精神・神経症状が伴ったり途中から加わったりする
  7. 薬剤の反応性が若年者と異なり、薬剤の効果が強く出ることがあり、副作用も出やすい
  8. 疾患の予後が医学・生物学的な面とともに、環境・社会的な面によって支配されやすい

非定型的症状でよく見られるパターン

  • 無熱性の肺炎
  • 無痛性の心筋梗塞

感覚機能の低下、常にどこかが痛く新しい痛みに鈍感になる、神経障害、熱が出るほど免疫機能が働かない、熱を出す元気がそもそもない、などの理由による

 

既往歴を把握することで、複数疾患の合併の理解に役立つ。また、今後出てくるかもしれない症状の予測・分析にも役立つ

 


老年期の生き方

2021-03-21 13:34:43 | 高齢化による体の変化

サクセスフル・エイジング

  • 老化に適応した幸せな老年期の生き方
  • 身体的健康、精神的健康、社会的機能や生産性が関係している
  • 生活全般に対する幸福感である「主観的幸福感」を指標とすることが提案されている。幸せの感じ方は個人差があるため、本人が幸せを感じる主観的指標を重視しようという考え方

プロダクティブ・エイジング

  • 高齢者であっても、生産的・創造的な生き方をすべきであるという考え方
  • 生産的な活動には、セルフケア(自分の健康を維持しようとする活動)が含まれる

 

無力感

  • 要介護状態で、それまで可能だった日常の様々なことが困難になり、無力感が生じやすく、本来できることまであきらめてしまう
  • その人ができることに目を向ける支援を心がける

依存心

  • 心身機能の低下のために依存心を持ちやすくなり、要介護状態になるとなおさら依存的になりやすい
  • 安全に配慮しながら、本人が自分で行動できる環境を工夫することで、防いでいく

 


老年期の発達課題

2021-03-21 13:26:06 | 高齢化による体の変化

発達課題とは、それぞれの発達段階において達成することが期待される課題のこと。発達課題が未達成の場合、危機に陥る

エリクソンは、老年期の発達課題を「自我の統合」と定義した。これまでの自分の人生の意味や価値、そして新たな方向性を見出す段階であり、課題未達の場合の危機は「絶望」である

ハヴィガーストによる老年期の発達課題

  1. 肉体的衰弱への適応
  2. 退職生活と収入減少への適応
  3. 同年齢集団との親密な関係の確立
  4. 配偶者の死に対する適応
  5. 社会的責任への関与
  6. 満足な生活空間の確保

 


認知機能の変化

2021-03-21 13:13:00 | 高齢化による体の変化

認知機能とは、身体各部からの情報の認識、感覚機能を通じて外部から取り入れる情報の認識や、話す、計算する、判断する、記憶する、思考するなど、脳における知的機能を総称したもの

 

流動性知能

  • 新しいものを覚える能力、計算・暗記などの学習能力、新しい環境に適応する時に働くなど、生まれながらに持っている機能。
  • 加齢とともに低下する

結晶性知能

  • 判断力や理解力など、経験や学習で獲得された知能。これまでの学びや経験の積み重ねにより、知識、教養が結晶となりできあがった知能
  • 加齢によってもほとんど変化しない

大脳皮質は感覚や知覚、想像などの高度な知的活動をつかさどる。五感を通じて外部から入手した情報は、必要に応じて過去に記憶されている経験や知識と一緒に集められ、全体を統合する前頭葉で判断される。前頭葉が加齢に伴い萎縮したり障害を受けたりすると人格が変わったり適切な行動を選択できなかったりするなど、どうすればよいか判断が下せなくなる

 

加齢に伴い、脳の萎縮が始まり、脳の神経細胞約140億個から1日に10万個死滅している

脳の機能を維持するために安定した血流が必要。心臓が送り出す血流量のうち15%を脳が受け取っている(安静時)
加齢にともない、動脈硬化など血管に変化が起こり、血流障害が生じると、脳の働きにも支障が出る

 

失認

  • 日常よく知っている物品を、感覚(視覚、触覚、固有感覚、聴覚など)を通して認知できなくなる障害
  • 脳血管障害のある人にしばしば見られる
  • 身体失認や病態失認がある
  • 半側空間無視が代表的(脳梗塞患者の6割ほどいるとされる)
    意識を向けさせると認識できる範囲が広がる可能性もあるので、介護の工夫で様々な支援ができる

失行

  • 筋力、感覚、協応(目と手の同時使用など)に障害がないのに、特定の熟練した目的行動が遂行できない症状
  • 大脳半球の損傷によって起こる
  • 高次脳機能障害でも見られることが多い。また、発達障害など、先天性のものもある

失認・失行とも、本人もどうしてできないのか、分からない苦しみがあるため、利用者本人と介助者の間に溝ができないように注意する。分かっていてもできない、などの状態が見られたら失認・失行の可能性が高い