HIRO伝説

乃木坂46&欅坂46のこれからを見届けます!

乃木坂46 橋本奈々未&松村沙友理が考える変化の必要性「そろそろ乃木坂らしさに固執しなくても」!

2016年06月13日 11時40分23秒 | Weblog
20160609-hashimatsu5.jpg

松村沙友理

ユニットの組み合わせは遊び心満載(松村)

──昨年1月リリースの1stアルバム『透明な色』は、デビューから3年間の集大成という内容だったと思いますが、続く2ndアルバム『それぞれの椅子』がそこから1年5カ月というインターバルで発表されたことに正直驚きました。しかも今回は全仕様含めると新曲が11曲。いざ完成したアルバムを聴いて、皆さんはどう感じましたか?

松村沙友理(以下、松村):そんなに早いスパンで出すんだなと正直驚きました。しかも新曲がたくさん入っていますし。AKB48さんは劇場公演でいろんなタイプの楽曲に挑戦できるけど、乃木坂はシングルが主な挑戦の場なので、こうやって新しい曲がたくさん増えたのは嬉しかったです。ハッピーです、うふふ(笑)。

橋本奈々未(以下、橋本):今は1枚目のアルバムが出たときに比べて、私たち自身が置かれている状況も変わっていて。昨年はグループとしてもメンバー個人としてもいろいろなことを経験させてもらって、紅白にも出ることができたので、今は乃木坂46が目標にしていたものをひとつ実現した段階だと思うんです。で、これからもっといろいろな人に見てもらいたい、知ってもらいたいということを自分たち自身も考えていて、ファンの人たちもきっとここからもう一段ステップアップしていくんだろうとワクワクしてくれている中で、新曲がたくさん詰まったアルバムを出すということが、後から振り返ったときに何か大きな意味があるものになればいいなと思っています。

──1stアルバムはどちらかというとベストアルバム的な作風で、それまでの活動の区切りのような意味合いも強かったですよね。一方で今作はシングル表題曲やカップリング曲も多いとはいえ、新曲メインのオリジナルアルバムという側面が強いのかなと。しかも新曲の多くは今までの乃木坂46にはなかったタイプの楽曲ですし、乃木坂46の新たな面を打ち出していきたいのかなという印象を受けました。

松村:確かに、ユニットにしても新しい組み合わせが多いですよね。(秋元)真夏たちの女子高出身ユニットだったり、生駒(里奈)ちゃんも(伊藤)万理華やさゆにゃん(井上小百合)との新しいユニットだったりと、今までになかった面白い組み合わせもあれば、ここ(松村と橋本)のお姉さんチームや(星野)みなみたちのように、見慣れた組み合わせもあって面白いなと。そういう意味では遊び心満載だと感じました。

橋本:リード曲の「きっかけ」は、乃木坂のことを好きでいてくれる人が聴いたらきっと「乃木坂っぽいな」と感じてもらえる素晴らしい曲です。

20160609-hashimatsu6.jpg

橋本奈々未

世の中的に「ヒット曲」と言える1曲が欲しい(橋本)

──確かに「きっかけ」はすごくいい曲だと思いますし、聴いていて「乃木坂46らしいな」と実感できる1曲です。と同時に、ここ最近のシングル表題曲が同系統のタイプの楽曲が続いていることで、これから乃木坂46がどこに進んでいくべきなのかも考える時期に入ってきたとも思うんです。あえてAKB48を比較対象に出しますが、例えば「ヘビーローテーション」や「恋するフォーチュンクッキー」みたいに万人が知ってる曲、「乃木坂46といえばこの曲」という1曲にまだ出会えてないのかなと。

橋本:世の中的に“ヒット曲”と言えるような1曲が持てたらいいよねって話は、メンバーとも常々していて。今はピアノを軸にしたミディアムテンポの、いわゆる「乃木坂46らしい曲」に票が多く集まると思うんです。でも、「乃木坂46のことはあまり知らないけどこの曲は知ってるよ」という曲は、「制服のマネキン」や「おいでシャンプー」くらい。従来の路線で現在応援してくれているファンの方から「確実に支持されるもの」を提供し続けるのか、ハマるかどうかわからないけどギャップを狙って新しいことにチャレンジするのかということなんですよね。でも、それにはまず私たちが確固たる地盤を固めないと、どっちつかずになってしまうと思うんです。

──それは、リリースするタイミングも関係してくるとは思います。例えば「君の名は希望」を今このタイミングに発表していたらどういうリアクションがあるのかなという気もしますし。

松村:「君の名は希望」はあの時代の乃木坂46にしかないオーラがあったからこそ、生まれた曲なんだと思います。歴史とともに曲は生み出されていくと私は考えているので、あのタイミングじゃなくちゃダメだったのかなと。

20160609-hashimatsu4.jpg

 

“いい人止まり”を超えるインパクトの強い曲を(松村)

──だから本当にタイミングって大事なんだなと思うし、あのタイミングだったから乃木坂46のカラーをひとつ作り上げる重要な役割を果たしたんですよね。と同時に、今のように知名度があるタイミングにあの曲を出していたら、今まで知らなかった人にもより広まるんじゃないかという考え方もあるんですよ。

橋本:「君の名は希望」が私たちの中で一番いい曲と言われることは、確かに多いですし、昨年の『紅白歌合戦』でも披露させていただきました。でも、あの曲はインパクトの強さを重視したものではなくて、じっくり聴いて歌詞やメロディの良さに気づいてもらえるような曲だからとも思うんですが、難しいですよね。

松村:乃木坂46の曲は恋でいうと“いい人止まり”みたいな印象があって。いい人ってみんなから好かれはするけど、結局付き合うまでには至らないというか。その“いい人止まり”を超えるインパクトの強い曲が必要なんじゃないかな。

──なるほど。

松村:だから、そろそろ“乃木坂らしさ”に固執する必要はないのかなという思いもあって。今回のアルバムだと「太陽に口説かれて」は今までの乃木坂とはちょっと路線が違うじゃないですか。私、この曲大好きですよ。

橋本:わかるわかる、私も好き。「太陽に口説かれて」はいい曲ですし、早くライブで披露したいですね。

松村:ライブでやりたい!

──確かにライブを想定して作った曲なのかなと感じました。

松村:振付がどんなふうになるのか、今から楽しみ。歌ってるときもめっちゃ楽しくて、みんなで車の中で歌ってます(笑)。

──これまでもシングルのカップリング曲で実験的な作品はいくつかありましたけど、それがいよいよアルバムで本格的に取り組まれ始めたのかなと。ユニット曲といえば、2人が参加している「空気感」は、他に白石麻衣さん、高山一実さん、衛藤美彩さんが参加しています。橋本さん、松村さん、白石さん、高山さんという組み合わせは過去にもありましたが、そこに衛藤さんが入るとまた新鮮で。この曲だけに限らず、少人数ユニットだと今まで以上に個々の歌声がはっきり認識できるのが興味深いですね。

松村:ファンの皆さんは、私たち個々の声ってわかりますかね?

──わかると思いますよ。特に松村さんはわかりやすいのではないかと。

松村:本当ですか? めっちゃ恥ずかしい(笑)。

──逆に個々の声を判別できない人が「あれ、この声いいな」と思って調べたら、実はこのメンバーだったという驚きもあるでしょうし。

橋本:そうだったら嬉しいですね。

20160609-hashimatsu7.jpg

 

個として見てもらえるようになった成果が表されているのかな(橋本)

──アルバムで他に気になった曲はありますか?

松村:新曲以外の話になっちゃうんですけど、カップリングから選ばれたユニット曲にめっちゃいい曲が多いなと思いました。

──例えば?

松村:例えばと言われると困っちゃうんですけど(笑)。

──(笑)。

橋本:仕様によって収録曲が異なるんですよね。(2人、資料で収録曲を確認)Type-Aはちょっとふわふわした印象で、Type-Bはライブの盛り上げ曲、Type-Cはアンダーライブのイメージで、Type-Dはライブのアンコールみたいな。

松村:あ、本当だ!(笑) 「ハウス!」もこのタイミングで収録してくれていますが、ファンの皆さんはすごく好きなライブ曲だと思うんで、こうやって改めて収録されるのは嬉しいですね。あと個人的には(生田絵梨花とのユニット曲)「無表情」が入ってるのが嬉しい。やったぜ!(笑)

橋本:私、アンダー1期生の新曲(「欲望のリインカーネーション」)がすごく気になっていて。この曲、アンダーの子たちがレコーディングを終えて帰ってきたとき、「この曲が一番好き」とか「今まで歌ってきた中で一番カッコいい」とかみんな喜んでました。

──そしてどの仕様も、ラストは「乃木坂の詩」で締めくくられます。

松村:曲の流れをライブっぽくしてるんですかね。

橋本:そうだね。どの仕様を聴いても、ライブの流れを楽しめるような曲順だし。

──もしかしたら夏のツアーへの布石なのかな、という気もしますし。

松村:このままのセットリストでもいけそうですもんね。これだけでセットリストが4種類できた(笑)。ちょっと話題が変わっちゃうんですけど、このジャケット写真、すごくキレイですよね。赤と青で目を惹くし、店頭に並んでたら目立ちますし。

橋本:大人数グループだからこそできるデザインですよね。

──しかも乃木坂46というと紫のイメージが強いので、あえて赤と青に分けるというアイデアは斬新だと思います。

松村:タイトルが『それぞれの椅子』で、メンバーの衣装も赤と青で別々なので、メンバーそれぞれの個性を見てほしいアルバムなのかなって。

──新曲に少人数ユニット曲が多いぶん、そこに目が行きますしね。メンバー個々のことを知ってもらうという意味では、乃木坂46が次のフェーズに突入したということなのかもしれませんね。

松村:ああ、なるほど!

橋本:タイトルからしてもそうですし。1枚目の『透明な色』は「まだ何にでもなれる」という意味合いだし、『それぞれの椅子』はメンバーそれぞれが個として見てもらえるようになった成果が表されているのかなって。私はこのタイトルをもらったとき、秋元(康)先生がそう感じてくれたのかなと思って、すごく嬉しかったですね。

 

20160609-hashimatsu8.jpg

橋本奈々未

好きなものについてもっと勉強したい(橋本)

──橋本さんと松村さんは去年から特に個々の活動が増えてきましたよね。2人ともファッション誌『CanCam』専属モデルとしての活動もスタートしましたし、橋本さんはラジオ番組『SCHOOL OF LOCK!』内『GIRLS LOCKS!』でパーソナリティを担当、松村さんは『じょしらく』『すべての犬は天国へ行く』といった舞台にも出演しました。昨年1年、そういう新たな経験を経た手応えはいかがですか?

松村:個人活動に限らずなんですけど、2015年は舞台や主演ドラマ(昨年7〜9月に放送されたテレビ東京系ドラマ『初森ベマーズ』)など、演技のお仕事をたくさん経験させていただいて、先日も『じょしらく弐〜時かけそば〜』に出演して、場を重ねるのが大事だなと感じました。『16人のプリンシパル』を除くと舞台は3回経験したんですけど、演技が苦手なまま3年ぐらい過ごしてきてしまって「私はこのまま一生下手なんだ」と思っていたんです。でも、自分の中でちょっとできるようになったんじゃないかと思う瞬間が出てきて。今回の『じょしらく』でも「あそこ、すごく良かったよ」と褒められることも多かったし、今までそういうことがなかったぶん、活動の中で手応えを感じる瞬間はちょっと増えた気がします。

──『じょしらく弐〜時かけそば〜』での松村さん、実際に楽しそうに演じてましたものね。

松村:うん、楽しいです。『プリンシパル』のときはただ必死でがむしゃらで、何も考えずにセリフを思い出す作業のようだったのに、今はただセリフを言うんじゃなくて、その役を演じる方向にシフトできてきてるのかなとは思います。

──そこが自信につながっている?

松村:そうですね。まだ自信満々とは言い切れないけど、5%ぐらいの自信は持ててると思いますし、「もっとやりたいです!」って自分から言えるようになりました。正直今まではやりたくても自信が持てなくて、「演技の仕事がやりたいです」とは自分から言えなかったんですよ。でも今はこういうインタビューでも「これからも演技系のお仕事をやりたいです」と言えるようになったので、そこは自分の中で自信が付いた証拠だなと思います。

──素晴らしいですね。橋本さんはどうですか?

橋本:昨年1年は、自分が好きなことをさせてもらえた年だったと思っていて。これまで5年くらい活動してきましたけど、2015年までの期間は好きなことをするというよりは目の前に提示されたことに立ち向かっていく感じだったのかな。けど、2015年は乃木坂46という母体が少しずつ認知されるにつれて、今まで好きだと言い続けてきたことが相手に届きやすくなり、ラジオのお仕事や音楽番組のMCのように、自分が望んでいたお仕事を最高の形でやらせてもらうことができて。たぶんそれって他のメンバーも同じだと思うんですけど、だんだんと個人の進みたい道がしっかりできてきてるのかなと思ってます。私自身、仕事でもプライベートでも好きなことをやるってことはすごく大事なことなんだなと、改めて実感した1年でした。と同時に、好きっていうことにもっと自信を持とうという気持ちから、好きなものについてもっと勉強したいなと思うようになった1年だったと思います。

20160609-hashimatsu9.jpg

松村沙友理

3期生は今までの乃木坂っぽくない子がいい(松村)

──糧になるものを得た結果、おふたりとも非常に前向きなのが今のお話から伺えました。そういう経験を経て、2016年夏以降の乃木坂46がどう進化していくのかも非常に気になるところです。そのタイミングで、夏には3期生も新たに加入しますよね。久しぶりに後輩が増えますが、どういう心境でしょうか?

橋本:でも私たち、人見知りだからね(笑)。

松村:ね?(笑)

橋本:この2人は仲良くなるのに一番時間がかかるんじゃないかな(笑)。

松村:本当に、2期生ともやっとすごく喋れるようになったぐらいですから。でも3期生が入る前に2期生と仲良くなれてよかったです。

──どんな子に入ってきてほしいですか?

松村:私は今までの乃木坂っぽくない子がいいな。ちょっと変わった子というか。

橋本:そうだね。うまくいきそう。

松村:えっ、私との関係性が?

橋本:違う違う、乃木坂46との相性が(笑)。乃木坂46っぽい子だと「次期○○」みたいになりそうじゃないですか。

──同じ路線を維持するのではなく、新たな起爆剤として今までにないタイプのメンバーを入れたほうが今後のためにもなると。

松村:そうですね。せっかく新メンバーが入るんだったら、もっと乃木坂46が盛り上がるのに不可欠な、意欲のある子がいいです。1期生、2期生関係なく先輩を倒すぞ!みたいな。って自分で言ってみたけど、そうなったら怖い!(笑)

橋本:(笑)。

──そういう新メンバーのみならず、今の乃木坂46は欅坂46をはじめとした若手グループからも追われる立場になったじゃないですか。乃木坂46を目標にしてますとか、乃木坂46を超えたいと思ってる人たちも多いと思うんです。追われる側になったことは意識しませんか?

橋本:そう言ってもらえるのは嬉しいですけど、追い抜かされたら悲しいですよね。特に乃木坂はAKB48さんの公式ライバルとして誕生して、AKB48さんの背中をずっと追って走ってきたのに、そこから新たに誕生した人たちが後ろから追いかけてきて……まだ前にも追いついてないのに。あまり後ろを意識してばかりはよくないけど、今は追い抜かれないようにメンバー同士で力を合わせて頑張りたいです。


乃木坂46 中元日芽香&能條愛未が明かす、グループの“演劇性”とアンダーライブ革新の理由!

2016年06月13日 08時28分07秒 | Weblog

「乃木團のライブは、アイドルとして立ってるという感じはしなかった」(中元)

――2ndアルバム『それぞれの椅子』がリリースされました。昨年の1stアルバム『透明な色』はデビューからの約3年を経ての制作でしたが、今回は前作から1年余りの期間をおいて発表です。

中元:前回がシングルを10枚リリースしてからのアルバムだったので、2枚目はもうちょっと後ーー20枚目のシングルを出してからかなとか思ってたんですけど(笑)。

能條:スタッフさんからアルバムのリリースを教えてもらったときに、「おお、アルバム出るんだ! 早いな!」と初めて知りました。

20160605-nogizaka8.jpg

 

――アルバムとしての位置付けも前回とは違いますか?

中元:そうですね、『透明な色』に収録されていた10枚目シングルまでの期間と、そこからの一年ちょっとの期間とでは、またずいぶんグループの色が変わったというか、いろいろなことがあったんですよね。タイトルも『それぞれの椅子』。前回が『透明な色』でしたけど、ちょっとずつ色がついてきたというか。

――個々のメンバーの色も強くなってきましたよね。

中元:この一年間ちょっとの間に、モデルに抜擢された子もすごく増えて、舞台出演の声がかかることも増えたり、連載やラジオのレギュラーを持ったり、個人の場所を確立していったんです。すごい濃い一年だったよね。

能條:今回のアルバムは、新しいユニット曲も多いという印象です。新録曲が11曲あって、アルバムとしてはそれが一番見どころというか、前回のアルバムと一番違うのはそこなのかな。

中元:前回とはアルバムとしての印象も違いますし、新録曲はいろんなジャンルに挑戦してたりするので、またちょっと分厚くなったなと思います。

――その新録曲のうち、「失恋したら、顔を洗え!」では、「中元日芽香、能條愛未 from 乃木團」として、お二人がボーカルを担当しています。

能條:曲をもらって聴いた時に、想像以上にサビが、爽やかな印象を受けました。CMとかで流れていそうな、ガールズバンドならではのキャッチーさというか。聴いた瞬間、「いい!」と思って、好きになりました。

中元:今までの乃木團は、氣志團さんの曲をカバーさせていただいたり、乃木坂の曲をカバーしたりという形だったので、カバーの原曲にどの程度寄せようとか、オリジナリティをどう出していけばいいのかと話し合うことが多かったんです。でも今回の曲は、当たり前ですけど私たちがオリジナル。私たちの曲をもらった、ということがすごく大きいというか、嬉しかったですね。

――中元さん、能條さんお二人だけの声で歌うというのは、どんな感覚ですか?

能條:乃木團として、二人の声を音源の形でしっかり聴くっていうのが、初めてだったんだよね。

中元:うん、なかったね。

能條:ライブを映像で見たことはあるけど、音源でちゃんと聴いたことがなくて。「私たちの声のマッチ具合、いいじゃん!」と思いましたね。お互いの声は全然真逆なんですけど、それがぶつかってないというか、調和されて良いハーモニーになったなと感じました。

――「乃木團」でパフォーマンスする際に気を付けていることとは?

中元:乃木團は、西武ドームの『3rd YEAR BIRTHDAY LIVE』で演奏したことはありますが、アイドルとして立ってるという感じはしなかったです。普段だったらアイドルとしての表情や、歌詞のこんなところに気をつけてとか、音程をきちんととか、そういうことの方を強く意識するんです。でも乃木團になると、二人のコンビネーションだったり、どこでは声を張ってどこでは抑えてとか、ここは周りの音を聴いて、というように、意識するところが違いましたね。

――自然にモードが変わってくるんですね。

能條:普段乃木坂46でステージに立ってる時とは、全然違う感覚にはなります。私は普段からあまり細かいことを考えてステージに立つタイプではなくて、その場で感じた雰囲気に合わせてパフォーマンスするタイプなんですけど、乃木團ではさらにその感じが強いです。後ろの楽器隊と私たちの気持ちが一つになってる時って、本当にそれが音に現れるから、すごくわかりやすいんです。逆に、歌いながら「今ちょっと気持ちがばらついてるな」というのもわかる。それがバンドの醍醐味だと思いながらやっています。

――新曲「欲望のリインカーネーション」にもお二人は参加しています。14thシングルの1期生アンダーメンバーによる楽曲ですが、歌うのが難しそうなポイントも多いですね。

中元:英語詞で始まるし、キーもすごく変則的だし。でも、参加メンバーのスペックが存分に活かされている曲だなと思いました。チャレンジングな曲だし、難しいなと思ったんですけど、実際に私たちの声が入った音源を聴いてみたら、「……あっ、歌えてるやん!」って。自分たちの曲として消化できていたので、安心しました。

――英語詞の部分はもう単語レベルじゃなくて結構な長さの文章ですよね。

能條:直前にめっちゃ聴いてました、100回くらい聴きました(笑)。レコーディングのときは全部カタカナで書き出してましたからね(笑)。

中元:あんなにかっこいい感じなのに、実はカタカナを読んでる(笑)。でも、こういうテイストの曲って乃木坂の選抜曲にはないし、アンダー曲ともちょっとまた違いますよね。今のこのメンバーだからいただけた曲なのかなと思います。

20160605-nogizaka11.jpg

 

――今回のアルバムはType-A~D盤および通常盤の5タイプがあって、それぞれ後半の収録曲の構成が異なります。特にType-C盤には、11thシングル以降のアンダー楽曲が詰まっているので、ここだけでもいろいろなことを思い出しそうですね。

中元:これは個人的な思い入れになるんですけども、この一年間でまたいろんなことを学んだなという感じがあります。10枚目シングルまでのアンダーメンバーと、11枚目シングルからではメンバーもまた変わってるじゃないですか。12枚目からは2期生も全員昇格して合流してきたり。

能條:たしかに、11枚目の「君は僕と会わない方がよかったのかな」の時はまだ、2期生が全員昇格してはいないんだよね。

中元:そうそう、アンダーメンバーには、さゆ(井上小百合)がいて(伊藤)万理華はいなくて。カップリングに(当時正規メンバー昇格前の2期研究生メンバーが歌う)「ボーダー」があって。

――そう考えるとこの一年ちょっとの間だけでも、相当変化がありましたよね。

中元:聴きながらもう、泣くんじゃないかって思いました(笑)。この一年でいろんなことあったなーって思って。ずるい選曲ですよねー(笑)。

――今はType-C盤の構成から語ってもらいましたけど、盤のタイプも多いし曲数もあって、いろんな聴き方ができそうなアルバムですよね。

中元:たとえば「Type-A盤がすごく好きです」っていうメンバーもいるだろうし、Type-D盤ならライブで盛り上がるような曲がダダっと入ってるので、「Type-D盤が熱いです」っていうファンの方もいらっしゃると思う。お気に入りの一枚を見つけていただけたら嬉しいです。

 

20160605-nogizaka4.jpg

 

「『そもそも、アンダーライブってなんだっけな?』みたいなことは一回考えた」(中元)

――ここ最近のアンダーメンバーの活動として、4月に『アンダーライブ全国ツアー2016~東北シリーズ~』がありました。これまでのアンダーライブでは、パフォーマンスの力強さや熱量の高さが大きな武器になっていたと思います。東北シリーズではそれとは少し違い、演劇的な一つの流れを持ったステージを、いかに成立させられるかというものに見えました。このコンセプトが決まった時、どんなことを考えましたか?

能條:私は単純に楽しみだなと思いました。ライブの冒頭では、それぞれバラバラに歩いていたメンバーが出会って、足並みが揃い出して、そこから一曲目が始まりますよね。舞台っぽいというか、表現力が試される。それを高めていこうとしているライブなんだなって感じましたね。

中元:みんなそれぞれに感じたことはあると思うんですけど、私は不安だった方の人間で。今までのアンダーライブでは、パフォーマンスをもっともっと良くしていこう、良くしていこうというやり方だったんですけど、今回は表現力を磨くというテーマでした。もちろん、足りない部分だからこそ大事なことだし、それによってまた幅が広がるんだろうなというのは頭にありました。ただ、今までのアンダーライブとはテイストが違いすぎたので、「そもそも、アンダーライブってなんだっけな?」みたいなことは一回考えましたね。

20160605-nogizaka9.jpg

 

――これまでは熱量の高さがアンダーライブのトレードマークだっただけに。

中元:「すごく熱くていいねって言われるのがアンダーライブじゃなかったっけ?」と。ただ、自分たちで消化していくなかで「あ、こっちもできるんだ」と思えるようになりました。グループ全体のライブだったら、この曲は絶対入れようとか、これはマストという要素があるじゃないですか。そういう概念を全部ぶっ壊して、静かに始まっていくライブは初めてだから、正直戸惑った部分もあります。でも、最終的にファンの方へ「このやり方でもありなんだ」と思わせることができたら、今回のライブは“勝ち”なんだと考えたら気合が入りました。

――表現力を高めるという今回のアンダーライブは、リハーサル段階でも考えることや言われることってこれまでと違いましたか?

中元:ダンスを揃えましょう、もっとしっかり歌いましょうという基礎的なことは今まで通りだったんですけど、これまでよりも「表情はお任せします」というスタンスだったよね。ここは自由にどうぞという箇所が多くて、あらかじめ表情を考えるというよりは、ステージに立った時にフラットな気持ちで感じたことを表現する、みたいな。

能條:うん、ここをかっちり決めましょうみたいなのは少なかったです。

――今回のライブのあり方はアンダーライブにとって新しい強みになったと思います。これは、アンダーライブに限らず乃木坂46のライブ全体にとっても、ひとつの強みが発明されたのかなと思ったんですが、いかがでしょう?

能條:アンダーライブでは成功しましたけれど、これが全員で大きなステージになったらどうなるだろう。ちょっとまだ、想像がつかないですね。もちろん、強みになるとは思うんですけど、……どうなんですかね?

――今までのアンダーライブになかった表現を見せていただいたので、またいろんなところでこれを観たいなというのが正直な感想です。

中元:今までは、アンダーライブもグループ全体のライブも、いかにファンの方々に楽しんでもらうかを念頭に置いていて。だからその時の会場の空気を読んで、ここは煽らなきゃとか、ここはもっと自分の気持ちを伝えなきゃという場面があったんですけど、東北シリーズはたぶんそうじゃなくて。「私たちが自由に発信するので、それを受け取ってください」という感じが強かったんですよね。演劇的な要素もあって、最初から最後まで100%熱さだけでできているわけではないこのライブが、アイドルのパフォーマンスを見慣れている方にどう映るのかなっていう不安は、正直ちょっとあるよね。

能條:うん、あるある。

中元:でももちろん、すべて盛り上がるだけがいいライブだとは思わないので、難しいですけどね。

20160605-nogizaka12.jpg

 

――一方で、表現力を高めるというテーマでアンダーライブが成立したのは、これまで回数を重ねて力強いパフォーマンスや基礎的な力を会得したからこそ、演劇的なパフォーマンスも様になったのかなとも思いました。その実感はありますか?

中元:今回は新しいテーマが加わったので、そのことにはすごく集中してたんですけど、既存の曲に関しては、全然心配してなかったですね。「ここにいる理由」や「嫉妬の権利」といった曲にしても、揃えなきゃいけないところは相変わらず揃ってたし、一体感みたいなのは変わらずにちゃんと根底にあって。そうやって今まで築き上げてきたものがあったからこそ、新しいテーマを採り入れても大丈夫だって、スタッフさんも考えてくれたのかな。

――アンダーライブで東北各県のホールを回ってみて、お客さんの反応から感じられる手ごたえはどのようなものでしたか?

能條:空気感がその県ごとで本当に違いました。その会場ならではというか。「今日はこういう感じの空気だな」というのを、メンバー全員が言わなくてもわかるようになっていきましたね。今日は静かな感じだから、いつも以上に盛り上げられるようにとか。

中元:トロッコに乗ってお客さんの近くに行った時の、皆さんのリアクションが新鮮でした。トロッコで私が「来たよー!」って言うと、ハッとした眼差しで見てくださって。本当にはじめましての方が多くて、ちょっと来てみようと思ってくださったんだろうなと。これがきっかけで「乃木坂が好き!」と言ってくれるようになったらいいなと思います。

バラエティと芝居、『両方できる能條』という印象を広げていきたい」(能條)

20160605-nogizaka10.jpg

 

――そのアンダーライブ東北シリーズが終わると、5月には舞台『じょしらく弐~時かけそば~』の公演がありました。能條さんは昨年に続いて2年連続の出演です。去年と今年の違いはどのようなところでしたか?

能條:昨年は『じょしらく』という舞台自体、全員が初めてなので、本当にゼロから作っていった感じでしたが、今回は、前回があった上での「じょしらく弐」です。だから、昨年を超えたものを見せないとわざわざ2年続けてやる意味がない、という強い覚悟を全員が持っていたと思います。それと、アンダーメンバーに関しては、東北シリーズのリハと同時進行だったんです。うーん、なかなか貴重な期間でしたね。

――アンダーライブの方でも新しい試みをしつつ、それと同時に『じょしらく弐』の台本も覚えて。

中元:みんな、『じょしらく』の台本を見たり、動画を見たりしてて。大変だなあ……って、すごい思ってました。頑張ってたよね。

――昨年は空琉美遊亭丸京役を演じた能條さんですが、今回は配役が変わって蕪羅亭魔梨威役、しかも日替わりの創作落語は初日を任されました。能條さんがこんなに安定した芝居をできるんだとファンの方へ見せられる機会だったと思うんです。

中元:前回の時点ですでに上手かったよね、落語。

能條:いやいや、そんな全然……。枝太郎さん(「じょしらく」の落語指導を担当した三代目桂枝太郎)が、すごく褒めてくださってたので、本番が始まる前に「能條の落語がめちゃめちゃ上手いらしい」と噂が独り歩きしていて(笑)。なんとか前回を終えることができての今年なので、昨年よりも成長したという姿を見せたいという気持ちでいました。しかも創作落語は、トップバッターだったし。とにかく今回は「時間のなさを絶対に言い訳にしたくない」という気持ちでやっていました。東北シリーズを回りながら落語や台本も覚えて、本当に稽古期間も少なかったんですけど。

――デビューから3年続いた『16人のプリンシパル』の後、昨年は乃木坂46の舞台演劇として、『じょしらく』と『すべての犬は天国へ行く』を上演して、今年はすでに『じょしらく弐』を終えました。外部の舞台出演も多くなってきて、演技を強みにするグループとしてのイメージが、ここ一年くらいでまた強くなったと思います。

中元:愛未ちゃんは今年の頭に、一人で舞台『「カードファイト!!ヴァンガード」~バーチャル・ステージ~』に出演してたよね。

能條:はい。もうアンダーか選抜かに関係なく、そうした場に呼んでもらえるようになったのは嬉しいなと思いましたし、乃木坂46の外の舞台で一人でやってきたからこそ、今回の『じょしらく弐』は少しでも引っ張りたいというか、チームの役に立てたらと思いました。

――乃木坂46の活動とは違う機会で演技をする時、どんなことを考えますか?

能條:周りは本当に全員、専門で舞台俳優をされている方たちなので、基礎的なものから全然違うんです。今まではグループの中で、メンバーや皆がいる環境でやることがほとんどだったので、孤独感じゃないですけど、そういう感覚を初めて味わいました。これが本当に外の世界なんだなと、ひしひし感じました。

――この先も乃木坂46にいながら、グループ活動とは別の舞台にどんどん出ていきたいですか?

能條:出演していきたいですね。本当に、ちょっとグループの外に出ただけでこんなにも違うのかっていうほど、学んだことがたくさんあって。やっぱり、どうしても身内の中にだけいると慣れてる場所なので、甘えてしまうというか。将来は女優さんになりたいと思っているので、どんどん外の舞台に出ていきたいです。

20160605-nogizaka13.jpg

 

――アルバムリリースの直前期にもアンダーライブ東北シリーズ、『じょしらく弐』などイベントも多かったですし、アルバム発売以降、全国ツアーの季節もやってきます。今年もまだまだ忙しくなりそうですが、2016年後半、そしてこれからについて、目標ややりたいことなどを聞かせてください。

中元:昨年のリアルサウンドさんのインタビューでもお話しさせていただきましたが、ラジオのお仕事が本当に楽しくて。出演している『らじらー!サンデー』(NHKラジオ第1)を聴いてファンになりましたという方も増えましたし、その関連で別のラジオに呼んでいただいたりして、「中元喋れるな、深夜帯でもOKそうだな」と思ってもらえたのか、出演の機会が増えてきました。私の中でこの一年間は、すごくお喋りが鍛えられたなっていう年だったんですね。最近はライブのMCでも回す側に立つことが増えたので、グループに少しでも還元できたらいいなと思いますし、これからも広い意味で、声を使っていろんな表現ができたら嬉しいです。グループにいる以上は、まだまだ高みを目指して頑張っていきたいですね。

能條:メンバーの中にはお芝居ができる子もいて、バラエティで活躍できる子もいて、その中で私の個性ってなんだろうなと考えた時、客観的にみると、バラエティの印象が強いように感じる思うんです。ただ、最近は舞台をやらせていただくようになって、お芝居ができるんだなと感じてもらう機会も少しずつ増えてきて。なので、「両方できる能條」という印象を広げていきたいなという目標は常に持っています。

中元:愛未ちゃんはハイスペックだから大丈夫だよ!

能條:いやいや……(照笑)。お芝居も本当に好きですし、ちょっとずつでも舞台などで女優としての私を見てもらえる機会を増やしていきたいです。バラエティも得意だと感じたことは本当にないんですけど、それでもバラエティで私をおいしい役にしてくださるスタッフさんの期待には応えたいなと思っていて。「バラエティも女優もできる能條愛未」というイメージを広めていきたいです。