ABC(朝日放送)ラジオの人気番組「NMB48学園~こちらモンスターエンジン組~」がリニューアルすることになった。番組開始以来、2年半にわたってメーンパーソナリティーを務めてきたNMB48の山本彩さん(20)が28日放送回で番組を卒業し、後任のメンバーにバトンタッチすることになった。25日に行われた収録の現場にお邪魔し、リニューアルにあたってのそれぞれのメンバーの思いを聞いた。
「NMB48学園」は、NMB48が劇場デビューを果たした3カ月後の2011年4月にスタート。NMB48の山本さんと山田菜々さん(21)の2人がお笑いコンビ「千鳥」(昨年4月からは「モンスターエンジン」)とともにパーソナリティーを務めた。学校の授業形式で、NMB48の2人が暮らしの中の身近な疑問を解決したり、抜き打ち課題をこなしたりするスタイルでリスナーの人気を博している。
山本さんの「卒業スペシャル」と銘打たれた28日放送回の収録では、ファンに根強い支持のある「討論コーナー」が3カ月ぶりに復活。さらに、司法試験に落ちて落胆しているリスナーや、失恋して傷心中のリスナーたちから寄せられたお悩みメールに対し、山本さんが一言アドバイスとともに激しく「活」を入れるという今回限りの特設企画も盛り込まれた。
そして収録の最後に山本さんの卒業式があり、出演者が一言ずつ区切られた送辞を読み上げ、2年半の奮闘への感謝を寄せた。山本さんは答辞で、パーソナリティーとして学んだもの、印象深い思い出などを語り、「(卒業は)すごく寂しいけど、ラジオで学んだこと、感じたことをこれからの活動や人生に生かしていきたいです」と述べた。山本さんの後任メンバーは10月5日放送回で明らかにされる。
「NMB48学園」の江渕潤一ディレクター(32)は、「山本さんは、一言一言が持つパワーや破壊力がものすごく、さらにラジオを愛してもくれていた。とても尊敬できる出演者で、今はただ『ありがとうございました』と申し上げたい」と述べ、リニューアル後の番組については「山田さんと新しいメンバーとのコンビでまた新しい魅力を作り出していきたい。山本さんをゲストに迎えることもあるかもしれない」と話した。
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■山本彩さん「充実感でいっぱい」
収録を終えての思いを山本さんにインタビューした。
――最後の収録を終えた感想は?
最後まであまり実感がわかなかったです。ファンの方にも言われたのですが、寂しい感じにならなかったらいいなと思って。今までと変わらずに最後までできたらいいなと思っていたので、充実感でいっぱいです。
――2年半にわたってパーソナリティーを務めましたね
NMB48に入ってから一番長く続けている仕事です。出演者のみなさんと肩ひじの張らない話をして、1日を楽しく終わることができた。お互いのことをよくわかっている山田(菜々さん)とコンビを組めてリラックスできたところもあるし、抜き打ち課題も奇想天外なものが多く、ワクワクが尽きませんでした。特に、その時々旬なネタを採り入れてくれたり、私たちのキャラが生きるような課題を出したりしてくれていたので、私たちも伸び伸び楽しくできました。
――特にラジオは、アドリブで話さないといけない部分が大きいですね
そうですね。どんな「振り」があるのかわからないので、反射神経が鍛えられ、臨機応変に動けるようにはなりました。特に、メンバー同士で完結するのではなく、場数を踏んだ芸人さんたちと一緒に仕事させていただくことで世界も広がり、刺激も受けました。でも、芸人さんたちからは、私たちがとても打ち返せないような難しいボールは飛んでこなくて、どこかで安心できている部分はありました。この点、メンバー同士の会話では「どうしたらええねん」というようなボールもどんどん飛んでくるので(笑)。
――リスナーからのおたよりは東日本からも多く寄せられています
不思議ですね。関西エリア限定の放送なので……。でもなんとかして聴こうという気持ちで放送を聴いてくださっている方が多いことがうれしい。全国のファンのみなさんに聞いて頂いていると実感し始めたことで、今までとは違う感じというか、より多くの方に声を届けているという自覚を持たなくてはいけないなと気持ちが強くなりました。
――ラジオの経験が、アイドルとしての自分に役立った部分は?
私たちNMB48は必ずしも「アイドルアイドル」していないですよね。AKB48さんやSKE48さんとも少し違ったカラーがある。話の面白さとか、切り返しのうまさなどをファンの方からも期待されている部分がある。そうした点ではかなり鍛えられましたね。
――リスナーのメールを読むと、番組の熱心なファンも多いですね
メールやおたよりを読んでいると、番組を愛してくれている人が多いなと思います。とにかく細かいところを聴いてくれている人が多い。ジングルの後の「そうです、ラジコです」という私のフレーズが好きだといってくれるファンの方もいました。言われないと気づかなかったようなポイントを見つけてくれるというか、ラジオでのやりとりをくまなく聞いてくれているというか。ありがたいことです。
――この2年半でもっとも印象深かった出来事は?
当初、一緒に番組をやらせていただいていた千鳥さん(の2人)が番組を卒業することを収録中に知らされたときですね。自分でもびっくりするくらい泣いてしまいました。私は、メンバー卒業の時もあまり泣かないようにしているんです。最後は笑顔で送り出してあげたい気持ちもあるし、「主役は卒業するメンバーであって、私が泣くタイミングじゃない」という思いもあるので。でも、そのときは急に(千鳥さんの卒業が)発表されたので、こらえきれないものがありましたね。そのときに、私はこのラジオが本当に好きなんだなと思いました。
――山田菜々さんとのコンビはどうでした?
私は山田とキャラが正反対なので、逆にやりやすかったです。それぞれの役割分担があるというか。私がやるべきことの道筋が見えやすかった。
――ラジオというメディアならではの良さは?
声だけで伝えるというメディアの特性だと思いますが、声の調子やトーンで、そのときの感情や思いがより直接的に伝わると感じます。それに、私たちのファンの方だけではなく、本当にいろんな世代、職業の方々が聴いてくれている。番組に届いたお便りの中には、ラジオで私たちを知って興味を持ってくださり、(NMB48の)サイトを見て初めて私たちの顔を知ったというものもありました。何かを伝えるときには、もちろん表情も大事なのですが、話し方なども人をひきつけるには大事な要素なんだなと実感しました。それに、番組の中でちょっとした劇や小芝居などもあり、勉強になる部分が大きかったです。
スケジュールが大変な日もありましたが、何よりも楽しかった。そして、番組の感想をお便りにしてくれたり、握手会などで話題にしてくださる方が多かったです。
――引き続き番組に残る山田菜々さんへの一言を
山田にはちょっと心配なところもあります(笑)。公私ともに絆が深く、私と山田のコンビだからこそ、お互いすごくリラックスして番組をすることができた面があるし、山田の「良さ」を存分に引き出せたところもある。環境が変わっても、引き続き山田の魅力がうまく前に出たらいいなと思います。
――リスナーへのメッセージを
自分たちが想像するより、はるかに多くの方が聴いてくれている番組。それを実感する機会が数多くありました。卒業は寂しいですが、このラジオで私たちNMB48の新しい一面を知ったり、いっそう好きになってもらえたりするところがあると思うので、ぜひこれからも聴き続けてほしいですね。
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■山田菜々さん「一層頑張る」
また、引き続き番組を担う山田菜々さんにも、番組リニューアルに際しての思いを聞いた。
――番組リニューアルに際して
ずっとさや姉(山本さん)と二人三脚でやってきたので、ちょっと寂しさもあります。
何を言っても、ピントのずれた答えをしてもしっかりカバーしてくれて、しくじったときもすぐフォローしてくれて。すごく安心できて、素でしゃべり続けることができたのはさや姉のおかげです。新メンバーを迎え、自分としてもさらなる成長の機会を与えてもらったなと思います。いっそう頑張りたいです。
――山本さんとの思い出は
もともと同じ1期生どうしで、同じチーム(NMB48のチームN)に所属していたのですが、本当に親しくなったのはラジオを始めてからです。コンビを組んでのレギュラー仕事を頂いたおかげで、何でも自然に話せる間柄になったと思います。さや姉は一般にクールなイメージを持たれていると思いますが、ラジオでのさや姉は実に感情豊かで、時にムキになって反論することもあれば、とても乙女な一面を見せてくれたりすることもあります。そういう意味では私たちの「普通の女の子」の面が出ている番組だなあと思います。
お互い20歳になったので、ラジオを離れてもこれからはお酒を一緒に飲んだりしながらさらに絆を深めたいなあと思います(笑)。
――ラジオの良さは
開放感をもって仕事できるところですね。とても楽しいです。それにスタッフさんも、とても温かい雰囲気をつくってくれるので、素の自分でいられる。これからも頑張って続けていきたいです。