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★年金カウンセリング → アメリカ帰り

2017年07月30日 | 年金

2006.02.11.

年金カウンセリング  アメリカ

 

Q アメリカに年居まして、日本に帰ってきた三十九歳(男性)ですが、当面、国民年金に入っておこうと思うのですが、……
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A 住民登録は移してありますか? それに、アメリカでは向こうの年金に入っていました? Social Securityカードを持っていますか?
Q いいえ、ありませんでした。住民票の手続きもまだです。
A でしたら、まず市役所に行かれて、その手続きをされたうえで、国民年金の加入手続きをされたらどうでしょう。
Q そうですか。パスポートで足りますかねぇ。
A さて、どうでしょうか? まず、行ってみてくださいよ。
Q そうしましょう。で、この年金手帳で、私の年金加入状況、わかりますか?
A ええ、すぐ出来ますよ。ちょっと、見てみましょう。
Q アメリカに行く前に三つの会社に勤めていたのですが、……
A そのようですねぇ。自動車会社ですね、うち二つには厚生年金基金の加入もありますねぇ。それと、国民年金の加入も少しありますね、でも、今は日本の年金には加入していない状態になっています。全体の加入月数は、一六八ヶ月になりますよ。十四年ですか……。
Q それが三〇〇ヶ月(二十五年)にならないと、年金にならないのですか?
A ええ、アメリカは一〇年ですねぇ。
Q う~ん、そうですよね、人生半ばにきて、老後が心配になってきて……。
A そうですねぇ。あなたの年齢でしたら、ここでしっかり、老後のイメージを作ることで、充分間に合いますねぇ。
Q 大丈夫でしょうかね。
A 老後に最低限、国民年金があるようにしたいですねぇ。それが、長くなっている老後に対する最低限のリスク・ヘッジです。若いときの認識不足とか、その他もろもろの事情で、国民年金さえない悲惨な老後を迎えられる人もたくさんおりますからねぇ。国民皆年金とは名ばかりで、無年金者が増大していますねぇ。
Q そういう人が多いのですか?
A ええ、さまざまな理由でリスク・ヘッジが出来ないままの人がいます。そういう人は、生活保護に行かざるを得ないわけです。
Q そうですか。でも、なかなか国民年金保険料さえ払えない、払わない人も多いのでしょう。
A そうですねぇ。役所の不祥事があったり、制度不信が増幅したり、就職もままならない若い人も増えていますから……、難しい局面を迎えています。
Q 世代間扶養で年寄りが余計年金を受けて、若い者ほど年金が少なくなりつつあるそうですねぇ。
A 確かに、そういう現実もありますねぇ。月三〇万円の年金世代と月二〇万円の年金世代がありますからねぇ。
Q そうなんですか、じゃあ、われわれの世代はもっと少なくなるんですか?
A そう、推察できますねぇ。政府はそういう世代間格差解消の一手段としてなのでしょうか、平成十七年度から六十五歳以上の年金の税金を高くとって、格差を均そうとしているようです。
Q 政府も認識はしているのですねぇ、世代間格差を。それにしても、アメリカから帰って特に感じるのですが、日本は全ての面において、間口を狭めるというか、チャンスを与えないですねぇ。
A 閉鎖的ということでしょうか、鎖国的、島国的な気質、そこから派生するシステム、経済インフラ等もそのようになってしまうのでしょうね。
Q いったん道を外れると二度と戻れないんですね。そんなわけで、再就職が難しいんですねぇ。
A オープン・システムではなく、クローズですか?

A クローズ・システム故でしょうねぇ、大企業の定年退職者がここに来て言うセリフに「聞いてない!」というのがあります。社内のことは承知でも、社外のこと、世間のことを知らない無知蒙昧な人が多いですねぇ。そういうセリフを吐く人って、何様のつもりなんでしょうか。
Q そうですか、「聞いてない!」と言うのですか。たいしたものですねぇ、その顔の厚さは。そういう人たちだから、組織が不祥事を起こしても、誰も責任取らないのでしょうね。
A それだけではないでしょうが、それもひとつでしょうね。
Q いっそのこと、今の年金制度を廃止することは出来ないですか?
A それは、あまりに非現実的でしょう。仮に、そういう提案を政治家が国会に提出したとしたら、その議員は二度と国会に出られなくなってしまうでしょう。
そうであっても、年金改革案については、いろいろ議論はされています税方式とか、共済・厚生年金の一元化とか、なかには厚生年金を廃止して民間に移して、政府はナショナル・ミニマムとして国民年金の充実を図るとか……。そお、いつの世にもアホな御用学者というのは後を絶たないもので、百年安心年金とか言っているひともいますが……。
Q そういう既得権益集団がおおいのですねぇ。
A まだまだですねぇ。しかし、少しずつ動いているのも現実です。例えば、企業年金の厚生年金基金というのが在りますが、この制度は四〇年かけてようよう立ち行かないインフラだと認識され始めたようです。代行返上とか基金解散が進んでおり、新しいフレーム・ワークの確定拠出年金に衣替えしつつあります。ということは、ひとつの制度変更には大変長い時間がかかり、大変な忍耐が必要ということなのでしょう。
Q そうですか……。
A それに、日本人の気質というか、性格、国民性がそのような意識状態にならないと制度変更は無理ですよねぇ。
Q それが変わるのは、
A ええ、一〇年じゃなく、一〇〇年の話でしょう。それに、更に言えば、日本の戦後経済は、共産主義国家よりきつい統制計画経済でしたから、そこから脱出するのは困難を極めます。
Q 日本は社会主義国家なんですか?
A 実態はねぇ、形を変えた、ということです。
Q そうであれば、アメリカ流の観念は日本で通じないのは当然ですねぇ。
A そうですね。でも、通じなくていいのかも知れません。西欧風の合理主義、論理は胡散臭いですから。それよりも、日本の年金制度は三種の神器を構造化した計画経済インフラなのです。これを支えているのが、数理計算による計画主義なのです。年金とは、そもそも「数理が不要な制度」であるべきものだと考えます。数理を使うから、政官財の恣意が入ることになって、年金が弄繰り回されるのです。「五年ごとの財政再計算」というのはまやかしの最たるものです。
Q 大変なことになっているのですねぇ。
A 生半可ではないですよ、こういう風土を形成しているのですから、国民意識が形成しなおされるには時間がかかりますよね。
Q 短兵急にはいかないんですねぇ。
A ええ、不平・不満は多々あるでしょうが、全部懐にしまいこんで、なお日々の改革の積み重ねをプラス思考していくしか、処方箋はないのだろうと思います。
Q そうなんでしょうね。……思わず長時間(一.五時間)になってしまい、ごめんなさい。刺激的なお話が伺えてよかったです。
A とんでもない、こちらがしゃべりすぎました。
Q ありがとうございました。国民年金の手続きをしておいて、再就職できるようやってみます。
A 雇われるのもいいのですが、出来ましたら、この際、ご自分で起業することも視野にいれてくださいね。チャンスは与えられるものではなく、自分で掴むものでしょう。

 

 


 

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当方、そろそろ隠居の時となり、このブログの投稿を終りにします。

尚、ブログは閉鎖せず、このままにしときます。

今後もお楽しみいただけましたら幸いです。

最後に、皆さまのご多幸をお祈りしつつ、これまでのご愛顧に感謝申し上げます。

ありがとうございました。

 

2017.07.30

年金カウンセラ- 高野義博





 


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