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年金=「人様のお金」→第4章 厚生年金基金経営上の諸問題 (1)

2008年10月23日 | 厚生年金基金

『人様のお金』
Other People‘s Money
厚生年金基金って、何んだ?

平成12年8月脱稿
高野 義博

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第4章 厚生年金基金経営上の諸問題

(1)基金運営から基金経営へ

①代行故の官依存
厚生年金基金制度の目的は加入員の<老後生活安定の一助>です。これを達成するために、厚生年金の一部代行という形の民間活力活用で制度が発足し、確定給付システムによる事前積立方式で事業展開されているところです。

この日本の「厚生年金基金」は、世界にも例の無い公的年金の一部代行を行う制度のため行政による多様な介入・制約が生じ、事業はほとんど行政により取り仕切られていました。この結果、民間活力活用という制度発足の趣旨とは逆に厚生年金基金にとって裁量の余地が無い統制経済そのものの事業となってしまいました。全てが行政の手のうちで行われるということは、民間の創意工夫など必要とせず、基金は言われるがままに事業運営を展開していれば足りるという官僚依存の運命共同体的体質を作りだしてしまったのです。

②ビルトインされていたものの浮上
そこに、制度発足の時点ですでにビルトインされてはいましたが、その矛盾が表面化していなかっただけの<反統制経済的行為である資産運用>という問題が積立金不足による解散基金の続出により浮上してきたのです。

ところが、厚生省の資産運用に関する規制緩和は平成9年12月の5.3.3.2規制撤廃によりほぼ完了したと言えるでしょうし、制度が発足して30年、資産運用が問題になってからでも10年は経過しているのですが、それでも、年金基金の事業展開において官僚統制の裁量行政がやまず、順法精神あふれる整合性維持の事業<運営>をしていればよいというのでは、制度発足の趣旨、本体代行による民間活力の活用は未達成のままです。

とは言え、余りに時間がかかり過ぎるとだけ言い置く訳にもいかない。というのも、この問題──官僚統制の世界に反統制経済的行為がなされるようになってきたということは、フレームワークを単に替えるだけではすまない人心一新のために多くの議論の積み上げが必要であり、既得権益集団の血塗れの退場が不可欠であり、人々の哲学の更新が求められるような大きな問題であって、とても一朝一夕で事業は成就しやしないからです。

しかし、それも、当初から年金基金制度に仕掛けられていました<資産運用>という反統制経済的行為が起爆剤となり、<運営>からの脱皮が強要されることになってきたのです。というのも、<資産運用>は三種の神器などというピラミッド型組織人間が<運営>するものとはまったく異質の世界観のもとに行われるものであり、農耕民族風統制経済の<運営>から商工民族風自由経済の<経営>へ、基金事業は変わらざるをえないと考えられますし、変わるでしょう。
このことは、何も年金基金だけの問題ではなく、日本全般を被っている問題でもあります。外貨不足に呻吟していた時代から世界一の債権保持国に成り上がり、手持ちの札を如何に取り扱って言いものやら右往左往しているのが日本の今の現実です。つまり、金融資産を中心にした商工業経済で生きていかざるを得ないのであって、今更、農耕民族面しておれないのです。「しんどいから統制経済のぬるま湯でいいよ」と言うのは既得権益集団内だけのこと、日本の将来を切り開くのはそういう消え行く保守集団ではなく、もつとエネルギッシュな反組織的な猛烈な切磋琢磨を試行錯誤するイノヴェーター逹でしょう。

そう考えていくと、大蔵省は「母性」のかたまりのようであるし、年功序列も終
身雇用も全て「母性」によってつくられ守られてきたのだろう。つまり、金融ビッ
グバンなるものは「母性」によって堅く保護されてきた殻を破って「父性」を発揮
せよ、ということだと考えてみるのもいい。

有澤沙徒志『日本人はウォ-ル街の狼たちに学べ』


現今の統制・規制方式から民営化への流れは歴史の必然でありましょう。そのうえ、基金事業に資産運用がインストール、内蔵されているのですから、基金事業は、<運営>から<経営>へ切り替わざるを得ないということになりましょうし、基金業務は社会保険マタ-ではなく、金融ビジネスなのだという認識が一般的なことになりましょう。


③グローバリゼーションの力学
この流れをさらに促進するためには、現今、次のような点が課題となりましょう。


①行政の関与を最小限に制限すること
②受給権確保のため年金法の施行
③財政基盤確立のためインフラ整備
④明確な年金基金の経営理念の確立
⑤年金基金従事者の金融専門家・プロ化
⑥資本の生産性向上のため徹底した合理化追求


旧体制を新体制に切り替えていくについては、非革命的に、つまり漸進主義で変えていくのが一般的な従来手法(統治・統制手法)ではありますが、それでは変革スピードが遅いということ、資本の生産性が低いということ、規制を嫌って規制の無いところへ国家を捨てて起業する人が増えてきている中(ボ-ダレス現象)で、既得権益集団の人々の恣意・意図とは別の分野で、資本の論理という強権(例えば、年金の資産運用利回りが5.5%以上必要と要請されている世界で金融ド素人の社会保険行政出身者でも金融の研究をして稼がざるを得ないとか、外資系金融機関が進出して来れば商品特性の比較が当然発生し消え行く金融機関も出てくるとか、スワップ市場での円金利が低コストで調達できるのですから大蔵省の長・短分離政策が無意味になってしまいましたとか、神の見えざる手が機能する市場の力による円高圧力・統制経済破壊等々)が、拒んでも拒みきれない力(グローバル化)で旧体制の強固に仕組まれていた既得権益集団組織を切り崩してしまうのです。








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●ここまで、お読みいただきまして、誠にありがとうございました。

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惚けた遊び! No.265


端的に私と環境との最初の結びつきは気分である。良質の、ためにするのではない閑雅な観察とはこの意味での気分的な結びつきにほかならない。   (大室幹雄)



【出所】高野 義博著『情緒の力業』第7章 瞑想的感応
chikara
情緒の力業:ご案内 


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