江戸東京たてもの園 に行ってきました。
古い建物の中で、感じて考えたい事があって行きました。
何回かにわけて感想や感じた事を書いてみます。あくまでも住宅設計の視点です。
はじめは、「八王子千人同心組頭の家」
(写真は建物の裏側・・)
先日友人に「古民家にはあまり興味ない」って言ってしまったのですが、やっぱり、、いいですね。
古民家に住みたいとか欲しいとか、そういう欲求はないですけどね。
ひと言で言ってなにがいいかと言えば、シンプルである事。
家を作っている材料・素材が、シンプルです。
木、土、紙、草(かや)、石
基本的にこれだけです。時代が進めば、銅板など金属が出て来ますが、そんな程度です。
素材がシンプルという事は、「持続可能」という事。
現実的にはそれを扱える職人がいなくなれば持続できなくなりますが。
まだ今はなんとかできる。
もちろん工業製品などはないので職人の手作り。
工事の内容を言葉にすれば、
自然の材料と手作りの仕事。
いたってシンプルです。
どこを見ても「誠実」で「たくましく」て「控え目」で「美しい」。
信頼感や安心感があります。そして「自然」な感じがします。
江戸時代の建物なので、当時は電灯などなく、夜はろうそくの火の灯りだけ。
暗かったですね。今は各部屋に基本的に照明が一つ。でも昭和30年代くらいまでは、白熱灯1灯の照明だったかもしれません。
そうするとやっぱり、暗かったです。
でも、なんだか、それでいいんじゃないか、という気がします。
現在の暮らしで「そのまま」というわけにはいかないけれど、そんなに明るい部屋である必要はないな、と思うのです。
暮らさがあると、陰影が強くなります。陰影は奥行を出します。その奥行を人は無意識に感じます。そういう感覚が発達していると「感じられる能力」が高まります。場合によっては「警戒心」も強くなるでしょう。
つまり、暮しの時間が豊かになるのです。豊かに感じられる。・・・すごく感覚を働かせようになるから、感じる事が増えるという事です。
そして・・・
誠実な自然の素材に反射する光は、穏やかで美しく、人を優しく包みます。
それも、豊かさ です。
現代の暮らしは、物質的には、たくさん持っていて豊かかもしれないけど、決して心が満たされる豊かさとは違います。
家を・・ 部屋の照明を少し暗くししてみましょう。部屋の雰囲気がグレードアップします。なんだか気持ちも穏やかになります。