なぜ働いていると本が読めなくなるのか (集英社新書) 三宅香帆 (著)
ドキッとするタイトルですが明治時代から現代にいたるまで大きく4つの区間に分けて労働者と読書の関係性、歴史を振り返りながらなかなか働くことと読書の両立が難しくなってきてしまった背景に迫った本でこの歴史的なところ含めて興味深い本でした。
本離れというのは決して今に始まった話ではなく出版のピークが自分がちょうど生まれた1980年付近くらいであり、そのころから活字離れというのは言われ始めていたようです。特にこのスマホの普及も読書離れには影響はあるのでしょうが筆者の分析としてはバブル以降に好きを仕事にする、仕事は自己実現の手段、自助努力で実現するのが正しいという空気が出来上がり、そのための情報を得る手段としてノイズが少ないものが求められて行ってしまったからではないかという分析がされています。読書は偶然的な要素も多いので手っ取り早いInputとしては役不足=ノイズなので避けられること、そしてこのように自分のための行動へ全身全霊に駆り立てる社会こそが本離れの要因になっているのではとの分析でした。ということで半身で本ぐらい読む余裕のある人生にしようよというのが筆者の主張。
自身を振り返ると本を最も読めなかったのは大学生のころであるように思います。その時は今より自由に時間が使えていたのですが逆にスキマ時間のようなものが無くあえて読書の時間を作るモチベーションがなぜか低かったようです。ということで自分の中では本を読む読まないも生活の中の優先度にかかわるところなのかなとは思います。 個人的には読書時間はあまりあっても持て余すので正直スキマ時間で読む方がしっくりきますのであえて偶然性や自身の知らない世界を開拓することが出来るように本選びをしていきたいと思います。
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