![]() | 大前流心理経済学 貯めるな使え!大前 研一講談社このアイテムの詳細を見る |
大前研一さんの本を読むのはこれが初めてでした。
日本人の抱えている個人資産は1500兆円という膨大な額でそのお金を少しでも運用といった形で市場に戻すことが出来れば大きな経済効果があるのではないかというのが大筋。
■日本の特異性として
超低金利でもまったく効果が出ていない
⇒そもそも個人に資金のニーズがない
経済、資金調達のボーダレス化が進んだ
企業の生産性が高まり在庫が発生しなくなった
日本の国債は日本人しか買っておらずいかに「見捨てられた」国であるかを物語っている。あまりにも安定性重視の資産管理で正確な金融情報が消費者に伝わっていない。また資産管理について勉強しようとしない。
住宅の資産としても価値が低い。アメリカでは住宅そのものの流動性が高く自分で手を加えたりして資産として活用でき一生で数軒に住むことも珍しくない。日本の住宅は買ってからの価値は下がる一方のことが多い。
■集団IQの低さ
日本人はそもそも集団IQが低いというのを指摘。高度成長の時代は社会全体が一つの目的に進んでいたのでまだ良かったが80年半ばから世の中の変化、経済構造の変化に国家の運営が追いついていない。自治体単位で競い合っている無駄な公共工事は良い例。個人も国に頼りきる心理がいまだ残っているのであまり不満があっても根本的な解決には至らず小手先でいじっているだけ。年金とか道路政策は良い例。 逆に集団として賢い選択が出来ている国はシンガポールや北欧の3国など小さな国が多いとのこと。
この集団IQの低さを打開するには政府が余計に干渉するのでなくなるべく民間の活力に任せていくということ。日本でもひとりのカリスマ的なリーダーによって構造がガラッと変わってしまうことは少なくないしそういった活力は国主導の政策からは出てこない。
■今後は
政府としては
金利を上げる、贈与を早める、住宅の立替を増加させる、ライフプランの提示などで国民が心理的に安心できる政策お打ち出していくことを求めている。
個人としては国に資産を奪われてしまう前に資産の運用を身につけること、積極的に海外から日本を見ることによって日本の特異性に気づき「おかしい」状態に敏感になることが勧められている。
結局は自分の身を守るのは自分でしかないとのこと。本当にダメになったときに嘆いても遅いわけで防衛策を身につけるのは重要だと思います。
でもこれだけ不況の中で生きていると個人的にはどうも気持ちよくお金を使うということが出来ません。どこかで消費に対し罪悪感のようなものを感じてしまいます。(社会人になって急にですが)
若いうちは使いたいけどお金がない、社会人になるとお金はあっても使いたくないとなるのでしょうか。
うーん、著者の主張はよくわかるが、ある程度ゆとりがないと実践は難しいですね。
いずれにせよためていても巡り巡って銀行に使われているわけなので損をしない程度で最大限に運用をする必要はあると思います。