つむじまがりの神経科学講義 小倉明彦 (著)
神経科学というとっつきにくい世界をエンタメ化することにトライした本。中身は神経科学の一般的な知識を解説しながら筆者の研究および記憶に関連する異常・疾患 の研究の最前線について記されています。筆者は神経科学の分野で記憶の研究をしているのでざっくり記憶について脳科学でなく神経科学の分野として何がわかってきているかがつかめる内容です。エンタメ化ということで文体は専門が異なる自分でも非常に読みやすく興味惹かれる内容でした。 人間が作った機械とは異なり人間自身これだけまだまだ記憶のメカニズムについてわかっていないこともあるというのはなんだか不思議な気もしますがそれだけ人体というのは良く考えられていて複雑なのか・・・
記憶自体は神経回路が可塑性をもって信号が強化される=LTPというのが基本になっていてその強化(繰り返して刺激を与えるなど)は新たな神経回路の形成が行われていることがわかっているそうです(RISE)特に刺激が3回以上必要でこの記憶強化には睡眠時間が使われるとのこと(特にREM睡眠時)菊を定着させるのに寝る前+良く練ることが効果あること良く知られてますが神経科学的にも証明された事項とは言えそうです。
記憶障害の大きなものとしては認知症とPTSD、幼若期のストレスなど。これからは治療のためにもう少し進んで記憶が操れるようになるのかもしれません。そして1時期はやった「脳トレ」ですが基本的にはそのやった項目に対する能力向上はみられるそうですが脳の全体の機能を改善するような研究結果は
殆どなしというのが現状のようです。唯一の効果があることが証明=コンセンサスとれているのが運動で理由はBDNF(脳由来の神経栄養因子) の生合成、分泌促進とシナプスの維持、新生が理由とのこと。ひとまずアスリートにとっては朗報です。
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