Takekida's log

千里の道も一歩から

沖縄読本

2013-08-03 21:19:15 | Books
ここ数日は夜もきちんと気温が下がる上にからっとした暑さなので過ごしやすい日々が続きます。

新書 沖縄読本 (講談社現代新書)
クリエーター情報なし
講談社


沖縄は大会での参加を含め今まで何回か行ってますがやはり目的は観光なのであまり深く掘り下げることが出来ているかというとあくまで他人の視点というところがあると思います。沖縄ブームの一端を担った旅行作家の下川裕治さん、ウチナーンチュ2世である仲村清司さんが記した今の沖縄の姿です。沖縄ブームは映画「ナヴィの恋」、書籍の「沖縄オバァ列伝」、NHKの「ちゅらさん」で決定的となりそんなブームの中で生まれたのが仲村さんの「沖縄ナンクル読本」でした。ただそのブームは沖縄現地の人たちにとっては少し違和感のあるものであったようで移住者の増加はさらなる軋轢を生んでしまったようです。自分を含め本州の多くの人が抱く沖縄というのは癒しの島、楽園ということなのですが、実際には基地の話を含め、問題が山積した島というのが現実です。ブームを担った筆者としては葛藤がありながら足裏の米粒のような思いを持って書いた本なのだと思います。
 いつのまにか長寿日本一でなくなっていたり、肥満日本一になっていたり、多重債務を抱える人の多い所得が最も低い県であるといった事実もありますが基地に対しても一部の地主の人たちは土地を貸すことによる不労所得というのもあり(軍用地主)、県内でも少し気持ちのずれがあるのかと思います。また本土の人たちに対しては一歩距離があるように思わずにはいられませんでした。ただ沖縄の産業は今やほとんどが観光。それ以外では基地があることによる助成金で公共事業が入っている仕事を作っているというのも事実であり、どこかいびつなねじれた社会構造となっているのは事実です。サンゴの保護にしても実際に沖縄の地元の人が感じているというケースは少ないようで保護を叫んでいるのはむしろ外部の人だったりします。
 自分は数年前から三線で沖縄の音楽には少しづつ関わり始めましたが時代背景というものをあまりよくわかっていなかったので参考になる内容でした。沖縄というと有名どころの出身アーティストが多く、歌の島というイメージがあります。ただ多くは本州側での活躍で沖縄をベースに活躍しているアーティストはさほどおらず音楽芸能を発信する場としてはまだ改善する余地はあるのかもしれません。ただ民謡や琉球舞踊、エイサーといった芸能の文化がほかの地域よりも濃く根付いているのは素養として有利なことなのかと感じます。こういった良いところ悪いところも知りながら東京出身で名古屋に住んでいる自分でも沖縄は好きということは変わりません。ファンとして少しでも文化的な理解を深めることや定期的に訪れることで応援していきたいと考えています。
 
 
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2 Comments

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癒しの島 (まっつん)
2013-08-04 22:12:19
 沖縄のイメージに惹かれ、移住してから職を探そうという人が、結局職が見つからず戻ってくる人も多いそうです。あと、教員採用試験の倍率も高いです。やっぱ住みたいけど、求人の足りない県なんでしょうね。

 私も沖縄は好きです。宮古島に出場したとき、スイムで海底の砂浜や泳いでいる魚が見え、バイクではパイナップル街道、サトウキビ畑を見ながら疾走できる。こんな大会は他にはないです。本州とは距離をおいて文化の違う島だから、観光産業が盛んなんでしょうね
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Unknown (たけきだ)
2013-08-04 22:26:42
この本もそういった現実が如実に記されています。Beginの歌の歌詞にもありますね(不景気続きでちゃーからん♪内地でしごとを探そかね~♪)。かといって違う産業を育てるというのも難しいでしょうしやはり沖縄としての魅力を高め、定番観光地としての地位を確固たるものにすることが一つの道なのだと思います。
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