Takekida's log

千里の道も一歩から

人体特許

2014-01-25 22:26:44 | Books
雨を前にして寒さは少しゆるんだ週末。明日は駅伝大会の予定です。

人体特許: 狙われる遺伝子情報 (PHPサイエンス・ワールド新書 75)
クリエーター情報なし
PHP研究所


かつて12年前にNHKスペシャルにて放送された「人体特許」のプロデューサーがその後の状況を踏まえつつiPS細胞といった最新の動向も踏まえて遺伝子戦争の現場を俯瞰した本です。2013年は遺伝子に関連するニュースでは
・アメリカ大手の遺伝子解析サービス(SNP)が99ドルに値下げ その後、FDAより出荷停止命令
・アンジェリーナジョリーさんの遺伝子解析による遺伝子解析による乳がん予防のための乳房切除
・乳がん遺伝子特許の無効化
など大きな動きがありました。
 とにかく病気の遺伝子というのはビジネスチャンスになるということでアメリカを中心に激しい特許取得合戦が繰り広げられています。そもそも生まれながらにして自然にある遺伝子の特許が認められるのは少しおかしいという気もしなくはないのだが体外に抽出され機能が明らかになったり利用法が見つかったりすれば特許にはなるという思想で1999年の日米欧の会合で基本的方針は決定しています。
 2011年この遺伝子の特許化に対する競争にたいして波紋を呼ぶ判決が下されました。前述した乳がん遺伝子=ミリアド特許の無効判決です。遺伝子は特別な組成物ではない、分析法にも新規性がないというもので最終的には発見した遺伝子そのものには認められず、人工的に合成したDNAに関しては認めるという内容に落ち着きました。逆に言えば遺伝子を取り出して人工的に操作し、何らかの効果を得たものはたものは特許としては認められるということがいえるかと思います。今回に関しては研究機関や病院に対して研究差し止めや多額のライセンス料を要求したことも背景にあり、制裁的な意味合いもあったようです。
 病気に対して役立つ特許に対して独占権が与えられることは一般人に対しては公平な研究が進まないというデメリット。
このためiPS細胞では独占させないために…京大が特許を取得しライセンスを無償で付与するということを行っています。
特に研究機関での発見では今後似たような事例が進んでいくことが予想されます。

 DNAの塩基配列の1個の違いに着目して解析を行うのがSNP=Single Nucleotide Polymorphismと言われるもので病気や体質にかかわる情報が明らかになるということで着目されています。特に上述したように2013年には23andMeというGoogleが出資する会社で遺伝子解析の普及が進んだのですがそのあと、FDAより診断情報に誤りが多いとの理由で出荷停止の命令が下っています。
中国では上海バイオチップコーポレーションという会社で子供の遺伝子解析を行うビジネスを行ってます。ただこれらは完全に様々な人種に対して適用できるものではないとか様々な問題を抱えています。理想論で言えばオーダーメード治療への一歩なのですが根拠データが薄い、誤判定などもあるとすると逆に間違った判断をするリスクも考えられます。

 バイオ産業はこれからも成長を期待されている分野ですがなにせ倫理的な問題が絡むだけに問題はまだまだあります。
DNAだけで全てが判断されてしまうと怖いものがあります。個人的には環境という面も人間には大きく影響しているとは思うので稚拙な判断だけはされないようにしてもらいたいものです。
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