よっしーのやまにっき Vol2

まだまだ行きたい山がある・・・

樹氷のできる条件

2021-03-13 11:49:53 | 語り

近年はほとんど登山をしていなくて、もっぱら動画撮影ばかりしていますが、登山をしていた頃に疑問に思っていたことがあるので、書いてみようと思います。

今回は、『樹氷』についてです。

平成10年代の頃、毎年、年末年始には、日光白根山と八ヶ岳登山をしていました。

日光白根山は、日光湯元温泉から中曽根を登り、国境平上の標高2300m付近にテントを張り1泊、翌日日光白根山を往復してテントを片付けて下山。1拍2日の行程で登っていました。

八ヶ岳登山は、北八ヶ岳ロープウエイを利用して、北横岳や麦草峠、天狗岳までのいわゆる北八ヶ岳といわれる山々を北横ヒュッテや高見石小屋、黒百合ヒュッテといった山小屋を利用して楽しんでいました。また、赤岳や硫黄岳などの南八ヶ岳へ行く場合は、赤岳鉱泉をベースに楽しんでいました。

日光白根山は、自分でテントを担いでいかなくてはならないため重装備でしたが、八ヶ岳は山小屋を利用して酒やつまみを持ち込んで別の意味で重装備で登山を楽しんでいました。

その時に、感じていたのが『樹氷』の出来方でした。

樹氷は、過冷却の水滴(0℃以下でも凍ってない水滴)からなる濃霧や雲が、樹木に衝突したさいに、凍結付着して、白く脆い氷層が出来る現象です。霧氷も同様かと思いますが、樹氷は溶けずにさらに寒気が続くことにより大きく成長して、蔵王のアオモリトドマツなどの針葉樹の樹氷が有名で、モンスターと呼ばれていています。

さて、実は冬の日光白根山と八ヶ岳を登山していたころ、この樹氷の出来方になぜ?だろうと思っていたことがありました。

こちらは、年末の日光白根山登山の時の標高2300m付近の国境平です。積雪は約1m位でした。

 

こちらも年末の北八ヶ岳の標高2400m付近の縞枯山です。積雪は50㎝位でした。

どちらもホントきれいでした。

 

平成10年代に毎年訪れていたのですが、明らかに樹氷の出来方が八ヶ岳のほうが発達していることを感じていました。

八ヶ岳は、日光白根山よりも緯度的に100㎞ほど南にあり、日光白根山よりも八ヶ岳のほうが寒いとは思われません。実際に、日光白根山の登山の時の国境平付近の気温は、経験では-13~-18℃前後でした。もちろん寒気の流入で気温の上下はありますが、基本的に日光白根山に入るときはテント泊ですので、冬型の気圧配置を避けて、天気が安定している時しか入山しませんでした。でも、八ヶ岳は山小屋泊なので、強い冬型の気圧配置の時でも入山しました。さすがに冬型の時の八ヶ岳はめちゃくちゃ寒くて、2300m付近を歩くわけですが、気温は-16℃前後でも北西の強い風の中なので体感的には-30℃近くに感じました。それでも、山小屋で暖かく過ごせるのでホント天国のようです。山小屋の外には温度計があるのですが、-20℃以下は経験はなく、いつも-18℃位までの冷え込みでしたので、日光白根山の国境平と北八ヶ岳の山小屋付近の気温はほとんど同じ程度かと思われました。冬型の気圧配置の時など同じ気象条件であれば、緯度的に北にある日光白根山の方が気温は低いと思われます。

 

樹氷で有名なのは、山形県の蔵王ですが、長野県では志賀高原の横手山、菅平の四阿山や根子岳、八ヶ岳では北横岳や中山が有名です。私は、蔵王の樹氷を見たことがないのですが、見た人から聞いた話では、別格だといいます。

さて、樹氷の出来る条件としては、どうも気温の低さだけではなく、地形的な条件がかなり影響しているようです。

蔵王と志賀高原や八ヶ岳など樹氷ができる山の条件として、一つ同じような地形的なことがあるようです。

それは、これらの山の西側には盆地といったある程度の広さの平野が広がり、さらにその西側には高い山があります。

蔵王 → 西側に山形盆地 → さらに西側に朝日連峰

八ヶ岳、志賀高原、根子岳 → 長野盆地や松本盆地 → さらに西側に北アルプス

 

朝日連峰や北アルプスでは、モンスターなどの樹氷ができる話は聞いたことはありません。

樹氷は、日本海の水分をたっぷりと吸った雪雲が、いったん北アルプスや朝日連峰で雪を降らせ、その山を越えた空気は水分を山に落としているので乾燥していて、いったん盆地に下った乾燥した空気が温まります。そして、再度蔵王や八ヶ岳で上昇気流となって冷やされ過冷却の水蒸気(0℃以下でも凍ってない水滴)となり、針葉樹にぶつかった瞬間に凍って樹氷が発達していくようです。

つまり、日光の西側には盆地はありませんので、過冷却水蒸気ができないんですね。気温が低くても、地形的に樹氷ができる過冷却水蒸気ができる条件には合わないんだろと思います。

でも、近年、白山でモンスターが発見されたという記事を見たことがあります。こちらも興味があります。なぜかというと、白山は、日本海からはじめにぶつかる季節風により降雪があるからです。つまり山形の朝日連峰や北アルプスと同じ条件なのに樹氷ができる点に興味があります。

 

さて、最後に、八ヶ岳と日光白根山の登山の時の写真をご覧ください。

 

北八ヶ岳ロープウエイで登った坪庭にある縞枯山荘と樹氷

 

北八ヶ岳ロープウエイで登った坪庭の樹氷

 

八ヶ岳の天狗岳をバックに撮った写真。中山峠から

 

北八ヶ岳の中山の樹氷

 

日光白根山登山の際の国境平からの燧ケ岳

新潟県から日光までは、高低差はあるものの山々が連なっているので

過冷却水蒸気がの条件に合わず

霧氷はできても樹氷には発達しないんですね。

 

日光白根山登山の際の国境平付近(標高2300m)

霧氷はできているが樹氷には発達しない。

 

 

最後までお付き合いいただきありがとうございました。

 

 

 


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