ろぐろぐ音楽ブログ

a-kiという人間の手による、J-POPあたりをメインに色々好き勝手書いてる適当ブログ。

アルバム感想。⇒水樹奈々「IMPACT EXCITER」

2010年08月04日 00時09分15秒 | 感想・レビュー(アルバム)


ここまで難産だったアルバム感想、久しぶりだなぁ・・・w

水樹奈々「IMPACT EXCITER」(★10点)
1. TIME TO IMPACT EXCITER(inst)   2. NEXT ARCADIA   3. ミュステリオン   4. Silent Bible   5. Young Alive!   6. SCOOP SCOPE   7. DRAGONIA   8. 夢幻   9. 夏恋模様   10. 恋の抑止力 -type EXCITER-   11. PHANTOM MINDS   12. ストロボシネマ   13. 囚われのBabel   14. アルビレオ   15. Don’t be long   16. 7月7日
青文字はお気に入り楽曲、青太文字は超お気に入りの楽曲
公式サイト    全曲試聴はこちら(YouTube)

オリコン1位を獲得した前作「ULTIMATE DIAMOND」から1年1ヶ月ぶりとなるアルバム。水樹奈々音楽活動10周年を記念して、7月7日の奈々の日リリース。

前作はすごーく、攻めて攻めてアップテンポだらけ!という作風で しかも各曲完成度高し、といういろいろな意味で凄いアルバムになっていましたが、今作も作りとしては似た傾向。今作も300曲近いデモテープから選び抜いた楽曲たちで、水樹奈々自身も「攻める!をテーマに気合満点」と語っているんですが、攻めるベクトルがちょっと変わったかなーという感じ。

前作は、押して押して押して押して押す!という作風で良かったんだけれども、その反面、押していない楽曲がイマイチ、という弱点があって。惜しいなぁと思っていたら今作であっさり改善。
今作、ちゃんと「押し」と「引き」が上手く出来ていて、それでいて「引き」の楽曲もスゴク良く出来ていて。バランスが良くなったって感じ。それでも、全体的には攻めの姿勢になっている、ってのが流石かなと。

あとサウンド面でいうと、生音サウンドの曲とデジタルサウンドの曲とのバランスが取れているのも前作からの進化点。前作はデジタルサウンドの曲が「Gimmick Game」と「Astrogation」くらいしかなくて、この2曲が若干浮いていましたが、今作ではそんなこともなく、ちょうどいいバランスに仕上がっております。

各曲のパワーでいうと前作>今作、だけど、アルバムとして考えると前作<今作、かな。甲乙つけ難いです。

しかし、これだけ幅広い楽曲を歌っているのに「迷走」という感じが全くしないのが凄いなー。これは各曲のクオリティが高いってことはもちろん、演歌から始まった水樹奈々の歌がしっかりしているから、でしょうね。


というわけで、個性あふれる全16曲、全曲感想いきたいと思います。各曲タイトルクリックで試聴先へ飛んでいきますー。

1. TIME TO IMPACT EXCITER
(作曲・編曲:上松範康(Elements Garden))
アルバムのイントロダクション、そして次曲へとつながるインスト曲。

2. NEXT ARCADIA
(作詞:Hibiki 作曲・編曲:上松範康(Elements Garden))
「Tears'Night」あたりを彷彿とさせる壮大ファンタジックナンバー。上松さんが久しぶりに上松さんらしい曲を書いてくれました!6thアルバムの「Orchestral Fantasia」以来かな? これまでの上松さん曲と大きく違うのはバンドサウンドとピアノ音が目立っている所。上松さんにしてはストリングス隊もそんなに前に出てきていないし。特にこのピアノを惜しげもなく弾きまくっている感じが凄くいい!実質1曲目に相応しいインパクト大のアップテンポナンバーです。ちなみに水樹奈々史上最速のBPMだそうです。

3. ミュステリオン
(作詞・作曲:しほり 編曲:中山真斗(Elements Garden))
今作の中でも一番「攻め」の方向に振り切ったメタル調ナンバー。というか振りきりすぎです!w 「NEXT ARCADIA」に続く水樹奈々史上2番目に早いというBPMということもさることながら、しほりさんのメロディがなんだかとんでもないことになっている。このメロディ、常人には歌えないくらいの難易度じゃないだろうかw しかも最後転調するし!鬼だ!w
編曲はエレガの中山真斗さんですが、エレガっぽさが全くありませんw ロックというか、メタルとかメロスピとかそういう域に入っていますよコレはw
こんな難しくて激しい曲をアルバムリード楽曲にしたのも「攻め」の姿勢を崩さない水樹奈々らしいです。普通なら「NEXT ARCADIA」がリード曲だよなぁw

4. Silent Bible

(作詞:水樹奈々 作曲:母里治樹(Elements Garden) 編曲:菊田大介(Elements Garden))
22ndシングル。ここまで名曲で押しまくる感覚は凄いなぁ。詳しくはシングル感想の時に書いたのでそちらを見ていただけるといいかなと思います。「ETERNAL BLAZE」から続いているファンタジックデジタルポップ路線の究極とも言える楽曲。

5. Young Alive!
(作詞:水樹奈々 作曲:三宅博文 編曲:藤田淳平(Elements Garden))
シリアスめな楽曲が続いたので、ここで陽性ポップロックナンバーをドロップ。サビの終わり方にフックが効いていていい感じ。メロはポップで軽快なんですが終始ギターが効いたアレンジなんで結構ロックな感じもあったりで面白いです。
そしてさらに面白いのが歌詞。Aメロの歌詞が「無理難題 多岐亡羊(>_<) 規矩準縄 旗幟鮮明」なんてことになってますw どうもタイアップ先の方から「歌詞に故事成語を使って欲しい」というオファーがあったらしく、水樹奈々は必死で辞書を見て、メロディとのかみ合わせがいいものを選んでいって、それでいて小難しくならないように顔文字を入れたり・・・とかなり作詞には苦労した模様(笑)。でもそれだけあって、故事成語を使っているのに重苦しくなくって 語呂がいい歌詞になっていると思います。

6. SCOOP SCOPE

(作詞:ゆうまお 作曲・編曲:齋藤真也)
ついに水樹奈々もテクノポップにチャレンジ!という曲ですw ボーカルエフェクトはかかってないですけどね。他のテクノポップ系アーティストの楽曲と比べると、サウンドがデジタリーなんだけどソフトタッチな雰囲気なのが良いです。とにかくデジタルなサウンドとメロディ、そして軽快に歌う水樹奈々のボーカルが心地良い作品です。

歌詞に「ツイート」って単語が出てくるんですが、数年後に聞いたとき、この単語が「ポケベル」のような感覚になるのか、それとも「ケータイ」みたいに定着しているのかなー・・・なんて所が少し気になったりw

7. DRAGONIA
(作詞:Hibiki 作曲:俊龍 編曲:藤田淳平(Elements Garden))
ロック、メタル、テクノポップと どんどん新境地に挑戦する水樹奈々が次に挑んだのは、島谷ひとみ風の異国情緒あふれる、アツいナンバー。もともと水樹奈々と島谷ひとみって実は音楽的に立ち位置近いよなーと思っていましたが(最初のデビューは演歌って所も一緒だし)、今作は製作中のコードネームが「和中華」だったということもあってか、過去に島谷ひとみが得意としていた楽曲をかなーり彷彿とさせますw
二胡の音色やデジタルビートが融合したサウンドに、「生命(いのち)さえ 賭けてもいい」とか「龍が昇る光の如く…逆鱗が煌めく…」とかいうHibikiさんのトンデモ非日常な歌詞によって異国情緒っぽさがさらにプラス。そして水樹奈々の演歌仕込みの歌唱が融合した結果、島谷さん以上に異国っぽさが強調されたナンバーに仕上がっております。

水樹奈々の中でも異色の楽曲だけれども、アルバムの中で浮いたりしていないのがこのアルバムらしさ。

8. 夢幻
(作詞:水樹奈々 作曲:上松範康(Elements Garden) 編曲:藤田淳平(Elements Garden))
20thシングル。これがアニメのオープニング曲とは思えないくらいに歌謡曲っぽい香りがする、個性の強いナンバー。上松さんのやたら上下の激しいメロディに、藤田さんによる情熱的にギターが絡む素晴らしいアレンジ、そんな楽曲を艶っぽい歌唱でリスナーを魅了する水樹奈々。特にラストサビの「何もかも捨てたっていいわ」のファルセット部分の表現力といったら半端無いです。詳しくは当時のシングル感想でも語ってるので、そっちでも。

繰り返しになりますが、こんな濃い曲が浮いていないアルバムって本当凄いと思うw 

9. 夏恋模様
(作詞:藤林聖子 作曲・編曲:斎藤悠弥)
密かに個人的イチオシなのがこの楽曲。立ち位置的には「DRAGONIA」「夢幻」と続いた濃い楽曲の後に一息入れましょうという感じの優しいミディアムバラードなんですが、そういう曲でも手を抜かないのが今の水樹奈々で、このアルバムが名盤である理由でもあります。この曲、とにかくメロディアスで。サビの旋律とかがもう、ホントに素晴らしいんですよー。夏ならではの重くなりすぎない切なさと悲しさといいますか。そういった懐古的な雰囲気がとても良いです。水樹奈々の優しい歌声も◎。

水樹奈々といえば その歌唱力を生かしたアップテンポナンバーが定番になっていますが、こういう曲聞くと、しっとりしたバラード系も もっと歌ってほしいなぁって思っちゃいますね。やっぱり。

10. 恋の抑止力 -type EXCITER-
(作詞:“METALGEAR SOLID PEACE WALKER”Sound Team 作曲:本田晃弘 編曲:菊田大介(Elements Garden))
PSPゲーム『メタルギアソリッド ピースウォーカー』のキャラソンとしてリリースされた曲のセルフカバー。この曲はデジタル全開トランシーサウンド+ストリングスという菊田大介さん王道のアレンジが聴き所。まぁ、ぶっちゃけて言えば茅原さんっぽいんですけど(爆)、水樹奈々でこういうアレンジをしたのは何気に初めてですよね、菊田さん(「Chronicle~」は菊田さんにしてはギターが効いてたから除外で)。キャラソンから使いまわすだけあってメロディもキャッチーだし、展開も上手いし、アレンジもカッコイイしでいい感じ。

ただコレ、曲がカッコイイのに歌詞がやたら乙女ちっくなのと、あと全体的に譜割りが少し変なのが惜しい。元がキャラソンだからとはいえこの歌詞は曲とミスマッチすぎるのでは・・・w

11. PHANTOM MINDS
(作詞:水樹奈々 作曲:吉木絵里子 編曲:陶山隼)
21stシングル。ふんだんにストリングスが使用されている爽快アップテンポナンバー。このアルバムの中では一番正しくJ-POPしている曲と言えるかも。この曲もシングル感想の時にたっぷり感想書いたので、詳しくはそっちを見ていただければと。思います。

12. ストロボシネマ
(作詞:SAYURI 作曲・編曲:大西省吾)
ふわふわした清涼感が心地良いアップナンバー。優しいバイオリンの音色がイイ感じ。そしてこの曲のキモはなんといっても水樹奈々の歌唱。大人な女性の魅力が出ていると言えばいいのかなぁ。って、別にエロいとかそういうわけではなくってw、大人ならではの余裕のあるかわいさ、って感じの歌い方が新境地。
ここ数作のアルバムで いきなり歌い方が幅広くなった水樹奈々ですが、まだまだ広がりますか。既にヴォーカリストとしての魅力・能力を全開にしているけれど、可能性はまだまだ隠されていそう。そう思わせてくれた曲です。たぶん数年前の水樹奈々が歌ってたら普通のキュートポップになっていただろうなぁ。

13. 囚われのBabel
(作詞:松井五郎 作曲・編曲:藤田淳平(Elements Garden))
「SCOOP SCOPE」とはまた違う意味でデジタル全開のアップテンポナンバー。このアルバムの中では一番いい意味でアニソンっぽい。TWO-MIX的な感じとでも言えばいいのかな。デジタルビートがビシバシ効いていて、キャッチーで格好いい楽曲。サウンド的にはアルバムの中ではいちばん僕好みですw

作詞は80年代にはアイドルへの提供でおなじみだった松井五郎さん。松井さんなりにアニソンっぽい歌詞を書いているなぁと感じますが、サビ終わりの「だめ だめ だめ」って所は松井さんらしいというか、今までの水樹チームの作詞家にはないセンスですよね。Hibikiさんならファンタジックに描くだろうし、SAYURIさんならもう少し抽象的に描くだろうし。

14. アルビレオ
(作詞・作曲:水樹奈々 編曲:藤間仁(Elements Garden))
水樹奈々の作曲5作目となる楽曲。メロディは6/8拍子で、なんて言うんでしょうか、やたら大陸的なイメージというか、壮大というか、ゲーム音楽ちっくというか、叙情的なメロディになっていまして。歌詞のほうもそれに合わせて「螺旋の夜の調べ 星屑が踊る」って感じになっております。
ぶっちゃけて言うと、アレンジに助けられているというか雰囲気勝ち?という感じも少しありますが(爆)、水樹奈々自身からこういうゲームのオープニングテーマのような壮大メロディが紡ぎだされたって所が大きいかも(笑)。水樹奈々には演歌だけでなくゲーソンの血もしっかりと流れているんだということが改めて確認できたのでw

15. Don't be long
(作詞・作曲・編曲:矢吹俊郎)
21stシングルのC/W。1アルバム1矢吹さん曲。初期からのファンにはおなじみの矢吹さんによる、矢吹さんらしさ全開の矢吹ロックナンバー。矢吹さんの手によるギターソロがやたらとカックイイです。曲のデキとしては凄くいいけど、曲数多いんだしC/Wは入れなくても・・・って思ってましたが、アルバムで通して聞くとこの曲があったほうがバランスいいなと思ったりした。「アルビレオ」→「7月7日」って流れだとちょっとファンタジックでふわふわしちゃうし、最後にもう一度気を引き締める、ってイメージ。

16. 7月7日
(作詞:水樹奈々 作曲:上松美香 編曲:藤間仁(Elements Garden))
水樹奈々の親友であり、上松範康さんの妹でもあり、藤間仁さんの奥さんでもある、アルパ奏者の上松美香さんが作曲、そのメロディに水樹奈々が歌詞を乗せた楽曲。とにかくやさしいメロディラインとアルパの音色、そしてオペラチックな水樹奈々の歌声。このハーモニーが美しい楽曲。レコーディングは「せーの」で一発録りという形で行われたみたいです。シンプルな中に優しさと強さがあって、心に染み渡っていくような感触。アルバムのラストに相応しい楽曲ですね。

上松美香さんはクラシック畑の人なので、ポップスとして聞くと若干メロディは地味かなぁ、という気はしますが、この曲がラストであることや、10周年の記念すべきアルバム、しかも7月7日リリースのアルバムにこの曲が収録されている、ってことが重要な気がします。存在すること自体にも意義があるというか。そんな曲。

 


・・・・・というわけで、やたらと長文になってしまった所からも察していただけると思いますがw、このアルバム、かなり素晴らしいです。前作があまりにもパワフルで振り幅の広い傑作だったので、次どうなるの?という不安があったんですがそんな心配全く不要だったみたいです(笑)。前作とはまた違うベクトルで振り幅を広げつつ、かつバランス良く進化した感じです。いやぁ参りました。前作に引き続き名盤っ!

 

・・・なんだけど、この路線(アップテンポメインで押していく作風)いつまで続けるの?という思いも少しあったりする。あと数作はこの路線で大丈夫だとしても、このまま続け続けてもマンネリになりそうなんだよなぁ。そこが不安。

個人的には、アコースティックリアレンジアルバム(ELTのACOUSTIC:LATTEのようなの)とか、出してくれたらいいなと思うんですけど、どうでしょ。



最新の画像もっと見る

5 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
Unknown (ゆう)
2010-08-13 11:23:35
お久しぶりです。 毎度ats-さん情報です。

8/11 上木彩矢「Gloriosa」
05.Lost in the world 作曲:伊橋成哉 編曲:ats-

8/18 AAA "負けない心" カップリング曲 "WOW WAR TONIGHT~時には起こせよムーヴメント~" 作曲;Tetsuya Komuro 編曲:ats-
返信する
Unknown (a-ki)
2010-08-15 16:23:33
いつもどうもです。上木さんはフルアルバムに引き続き参加ですね。AAAはTK×ats-さんという夢のコラボ!dream「寒い夜だから…」以来ですかね。そのうちTKの新曲でats-さんアレンジとかやって欲しいなぁー。
返信する
Unknown (a-ki)
2010-08-15 23:29:00
「そのうちTKの新曲で~」って書きましたけど、新曲の「負けない心」もats-さん編曲なんですね、今気づきました(大汗
いやしかしこれはワクワクするなぁ。
返信する
Unknown (えむけー)
2010-08-31 00:04:40
お久しぶりでございます。遅くなってしまいましたがこのアルバム聴きました。
個人的には「DRAGONIA」が最高です。もちろん他の曲もさすがの出来でした。
こういう、ドラマチックなJ-POPとでもいうべき感じの音楽をやっている歌手ってのは、
有名アーティストでは他には意外と思い浮かばないので、多少マンネリになってもこの路線をメインに続けていけばいいと思いますね。

あと最後に宣伝みたいで申し訳ないですが、私のホームページにて現在こんな企画をやってます。
http://d.hatena.ne.jp/sihan-mk/20100820
もし良ければ、参加をお待ちしております!
返信する
Unknown (a-ki)
2010-09-01 21:29:15
こういう装飾華美(?)なくらいにドラマティックなJ-POPって今のJ-POPシーンでは意外と無いんですよねー。今のJ-POPはなんだか素朴というか素直なタイプが主流な感じなので、水樹奈々のこの路線は個性が出ていてまだまだイケるかなと思います。果たしてどこまで行けるか。


空想アワード、投票させていただきました!10組に絞るのが相当大変でしたw
返信する

コメントを投稿