前回のブログで紹介したJNCラジオ社のアンテナMC-750の特性を測定することができましたので(半分は自分の手持ちデータの整理のために)2章として、記載しておきます。
このアンテナは40mバンド(7MHz帯)と30mバンド(10MHz)を除いてフルサイズの1/4波長バーチカルアンテナになり、ラジアルが必要になります。
今回は、JNCRadioのMC-750について、前報に続き、各バンドごとのラジアルとエレメントの調整例をその時のSWR、インピーダンス特性と共に書き留めておきました。参考にしていただければ幸いです。
最初に前13段あるエレメントにあるマーカー位置を記しておきます。
参考:ホイップアンテナノマーカー位置(全13段)
4段目 28MHz
5段目 24MHz、 10MHz(4段+15cm w/coil マークなし)
6段目 21MHz
7段目 ――
8段目 18MHz
9段目
10段目
11段目 7MHz(w/Coil)
12 段目 14MHz
50MHzはマークなしだがマニュアルによると、1段のみ全長伸ばし
2. MC-750アンテナの特性測定
ベランダでの調整方法を試してみました。
計測はSARK110を使い調整しました。調整にはSWRなどの周波数ごとのデータである上段に示したスカラー図(SWR/|Zs|、Rs/Xs)だけでなくSmith chartも参考になります。各バンドの上段にあるスカラー図では左軸がSWR(青色)で、右軸がインピーダンス(赤色)で示されています。下段のグラフは緑色(左軸)で実数部Rsと、桃色(右軸)で虚数部分を示しました。
ラジアルを動かしたり、減らしたりすることでSmith Chart上のグラフ位置が少しづつ移動するのでSWR1.5の円に近づくようにラジアル位置、本数、形状などを変えて調整しました。スミスチャートの赤い円はSWR=1.5の円です。最終的には上段のスカラー図でSWRの最低点を目的周波数に近づけるようにエレメントを伸ばしたり、縮めたりして調整します。各バンドでの調整結果とその時のラジアルの様子を参考としてを載せました。
1/4λ垂直型アンテナはラジアルの広げる場所の状況(コンクリート、草地、川などの水辺など)、伸ばす量、本数あるいは地上高などいろいろの要因で大きく変わることがあるので最終的には実際に運用する場所で入念な調整をすることをお勧めします。
アンテナは30m,40mバンドを除きフルサイズのアンテナですのでバンド内でほとんどSWR1.5以下に調整が可能です。
我が家の2Fベランダに立てた 67cm高さの三脚の上に設置するためにW1/4“(F)とM10(M)ネジをアルミロッドに加工してアダプターを作成しました。アダプターの詳細は後ほどの章に挙げました。以下の計測結果はアンテナを2階のベランダで、このアダプタ-を介してカメラ用三脚の上に設置して測定しました。ラジアルの位置や必要な本数などは運用する場所の条件によって変化しますので私の調整した条件はあくまで参考程度にお考え下さい。
<参考>7MHzバンドコイル
形状はコイルの長さ約35mm、系はコイルのケース外径で37mm、巻き数は23回でした。短いリードを付けてLCR計DE5000で簡易的に計測してみたところ、10.246μH at100kHzでQは22.9でした。
2-1 40m Band
7MHzコイルを装着後ラジアル 4本を広げた状態でした。最低SWRは7.0996MHzで1.15でした。SWRが1.5以下になる範囲は7.0MHzから7.190MHzでした。
エレメントの伸ばし具合を変更すること(マーク+1.5cm)によりいい状態に追い込むことができました。
2-2 30m Band
7MHzバンドコイルを装着し、先端4段を伸ばし、さらに5段目を15cm伸ばした位置が推奨でした。
7MHzバンドコイルを取り付けた後エレメントを装着します。エレメントは上段から4段+15cmを伸ばします。ラジアルは1本だけをまっすぐに張り、2本を足元に丸めた状態でした。SWR最低となるのは10.130MHzで1.288となりました。バンド内全域にわたってSWRは1.32以下に収まっていました。
2-3 20m Band
これより上のバンドでは追加コイルは使用しない。
エレメントはマークからさらに33cm追加延長しました。、4本のラジアルを広げた状態でSWR 最低周波数は14.216MHz,SWR:1.027でした。バンド全体にわたって十分に低いSWRに収まることができました。
2-4 17m Band
エレメントはマーク通りで、ラジアル2本を伸ばし、あとの2本を丸めた状態でSWR最低になりました。バンド全体が1.4以下に収まったので、これ以上の調整はやめました。SWR最低の周波数は18.139MHzで、SWRは1.2855でした。
2-5 15m Band
エレメントを21MHzのマークより5cm短くしてこのようになりました。ラジアルは1本だけ2階のベランダより垂らし、1本は水平に伸ばし、残2本は丸めて足元に置いたことでこのようになりました。SWR最低点は21.135MHzで1.3088でした。バンドの全範囲でSWRは1.5以下になりました。
2-6 12m Band
エレメントはマーク通りで、ラジアルを1本伸ばし、2本を足元にまいておきました。全バンドを通じてSWR1.5以下になりました。SWR 最低となる周波数は24.839MHzで1.177でしたがこれ以上の調整はやめました。
2-7 10m Band
当初SWRは1.7~2.3までした下げられなかったが、ラジアルをいろいろ工夫してみたら通常SSBで使用するには十分になる点を見つけられました。エレメントをマーク位置より6cm延長し、ラジアルは2本伸ばした状態で1本足元に置いた状態でこのようになりました。最低のSWRは28.2596MHzで1.02243でした。これで広い10mバンドでもCW/SSBで主に使用する範囲が1.5以下になりました。
2-8 6m Band
ラジアルの2本をベランダ手するに巻き付け、残り2本は足元にまいてこのようになった。エレメントは全てを縮めて最後の先端1段のみを伸ばした後(マニュアルでの推奨)、推奨より2段目もさらに14.7cm伸ばしました。MinSWRは50.432MHzで1.26682まで下がりました。
各バンドともにスミスチャートを見ながらラジアルを張ったり、足元にまとめておいたり、先端を近くの金属手すりに接続したりしてスミスチャート上での位置の変化を追いました。はじめは計測バンド幅を大きくとってその傾向を学び、ラジアルの設置法をいろいろ工夫して、チャート上でのグラフができるだけSWR=1.0近くを通るところを見つけます。見つかったら調整したい中心周波数に対して(マーカー位置)SWRが1.0に近い周波数が高い時はエレメントをもばし、低い時は縮めることで追い込むことができます。
交信記録はまとまり次第追加する予定です。
交信実績
約2.5時間程度運用してみました。
Rig: IC705, 出力:5W、モード:FT8、40mバンド
ANTENNA:ベランダに立てたMC-750
Call |
Date |
Time |
His |
My |
Mode |
Code |
G・L |
QTH |
JA1XXX |
23/06/19 |
11:17J |
-12 |
-16 |
FT8 |
16007D |
PM96NH |
群馬県佐波郡玉村町 |
JO1XXX |
23/06/19 |
12:14J |
-16 |
-8 |
FT8 |
1023 |
PM95 |
東京都東久留米市 |
JA7XXX |
23/06/19 |
12:15J |
-17 |
-20 |
FT8 |
07017D |
|
福島県耶麻郡猪苗代町 |
JA1XXX |
23/06/19 |
12:28J |
-14 |
-13 |
FT8 |
134401 |
|
さいたま市西区 |
JA3XXX |
23/06/19 |
12:34J |
-11 |
-17 |
FT8 |
2608 |
PM74 |
和歌山県紀の川市 |
JL4XXX |
23/06/19 |
12:44J |
-7 |
-18 |
FT8 |
3110 |
PM64 |
岡山県総社市 |
SN レポートをそれぞれ平均してみたらHis:-13、My:-15とほとんど大差ないのがわかります。相手局で5W以下で出しているのがどれくらいあるのかを考えると5Wでこれだけの差しかないのであれば、充分に使用できることがうかがえました。
以上
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