2024年8月のハムフェアーで10段のテレスコピックアンテナエレメントを見つけ、2本入手しました。長さは1,380mm。これでは少し足りないかもしれないと考えながらもウェッブでいろいろな情報を探していました。はじめ、デルタループも考えてみましたが、先端部の強度が心配なのでまずは移動で使えるダイポールアンテナを作ることにしました。
アンテナを自立出来るようにする為にカメラの三脚上に取り付けられるようにすることを考えました。
ダイポールアンテナを色々調べていたら、開角を120°に設定するとインピーダンスは50Ω近くになることが知られているので、取付け開角を120°に決定しました。
給電部はガンママッチとすることにして必要なデータを集めました。
まずエレメントの長さは、開角120°としMMANAで最適値を求めると1,484mmと出たので、最適値では約56mmの延長が必要でした。試しに、手元に20mm長さの長ナットがあったのでこれを延長として使用することにしました。最終的に計算値に長さを揃えるために56mmのパイプを切り出し延長することとしました。
この時のシミュレーション計算結果ではZ=52.07+j0.0515 でした。
ガンママッチの情報は1991年版のアンテナハンドブック p332-333に詳しく書かれていました。
また、FCZ誌No.113,Oct1984によると、ここにあるCの値は6mで30pF、10mで50pF、15mで70pF、20mで100pFとなっていました。
また、同軸ケーブルを使ったコンデンサ容量についても調べたところ、
50Ω系は1mあたり100pF、75Ω系は1mあたり67Ωとの事でしたので、今回は30pFを目標にして40cmの5DFBケーブルを外皮胴体まで剥離して給電部の角座のM-Jコネクタにはんだ付けしました。このケーブルにかぶせるアルミパイプは、外形8mm、内径6mm、長さ31㎝の手持ちのものを用いました。
先端部は雨水の侵入を少しでも避けるためにハンマーでつぶしました。
エレメントとの距離をパイプのセンター間で8cmとるためにアルミのアングルを用いて根元を固定しています。
10mm幅のL型のアルミレールの残渣で取り付け部を作りました。M-Jコネクタの取り付け部は10 x 50mmの不均等のL型アルミレール(2mmt)50mm長さで残っていたのをそのまま使用しました。
右端にアルミステーはカメラの三脚に取り付けるために取り付けたもので、根元にW1/4のタップを切ってあります。
組み立て後8cmの感覚を確認しました。
調整は、まずアンテナアナライザーSARK110を使って共進周波数f0を調整しました。調整するにはXs=0となる周波数を見つけ、同軸ケーブルにかぶせたアルミパイプを出し入れし、CpFを増減することでXs=0となる周波数を設定したい周波数へ調整します。
そのときのZが50Ωからずれているようであればショートバーの位置を移動して調整します。
1階の屋根上に持ち上げて測定したのがこれ、スペーサー1個のもの(エレメント長片側1,380 +200mm)、エレメント長はそれぞれ1,400mmで調整しました。
上側の図で青がSWR(1~3.5), 茶色はlZsl(20~70Ω)、下側の図で桃色がXs(-15~10),緑はRs (30~55Ω)。 測定範囲は49.5MHz~52.5MHz、マーカーM3:50.500MHz(SWR:1.15)、最低SWRは、52.230MHz, SWR:1.0613でした。
Xs(桃色)はさらに高い周波数でしか”0”には近づきませんでした。
そのときのスミスチャートがこれです。
その後、首下45mmLのねじを入手して、20㎜スペーサーを2個ずつ入れてエレメント長を1,380mm + 40mmとしました。
エレメント長を1,420mmとして調整と計測はすべて1階の屋根の上で行いました。
これでかなりXsは“0”に近づきました。
最後に最初のシミュレーションで求めた長さでどうなるのか見てみることにしました。アルミチューブで作った56mmのスペーサーを作り、これに入れ替えて、全長を1,436mmとして調整しなおしました。
長さを調整することでインピーダンスの虚数部分Xs(jX)が0に広い範囲で近づいていることがわかります。
固定のためにモノタロウで写真のようなステンキャップのM4x65ねじを入手して組み立てました。
ガンママッチの調整方法は、まず組み立てたのち、給電部のCpF(静電容量)を増減して、目標とする周波数で共振するようにします(Xsを目標周波数で“0”に近づける)。ただしエレメントが十分な長さになっていないと調整しても”0”のは近づくことはできません。調整できると実数部分がどうあれ、Xsは“0”になります。この調整の時はショートバーも勿論取り付けておき、Cを調整するときはショートバーのエレメント側の位置(エレメント上での省とバー位置)を動かさないようにしておくと変化が単純化して追いかけやすいと思います。Xsがある程度希望の周波数近くで“0”になれば、次にショートバーの位置を移動して実数部分(Rs)を50Ω近くになるように追いかけます。
変化は、スミスチャートで見ていると、それぞれの調整でグラフがどのように動いていくのが見えてわかりやすいと思いました。
最後の微調整を両方のパラメーターを変えて納得のいくまで調整して完成です。
この結果で分かったのは、エレメント長さは少しばかり短くてもマッチングの調整でSWRは下げることは可能ですが、共振
状態でなないことがわかります。MMANAの最適化で求めた最適長さにすることで、Xs=0の(共振状態)範囲が広くなり、共振状態を広い範囲に保つことができました。
追記: ショートバーと根元の固定ジグは写真のように自作しました。
固定ジグ(右)は2mm厚のアクリル板を中間に入れ、絶縁しています。取り付けは6mmの穴あきアルミ板を使って位置を固定できるようにしました。
ショートバーは1cm幅5cm長さのアルミレールと目玉クリップで移動が可能になるように作成しました。
END
Nov. 2024
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