「人間って、死ぬもんなんだよね……」

私が明日、死ぬとわかったら「自分にも相手にも優しくなる」
人間は、いつ死ぬかわからないんだ…みんなに優しくしよう。

第二章 美は私に生命力を与えた…より抜粋、

2013-01-02 19:46:05 | 「美は世界を救うか」『美は世界を救う』
【美は世界を救う ロロ-メイ】
P.28~30
……(略) 五世紀のギリシャに起こった創造の大爆発は、私たちに無限に豊かな 美の鉱床を残してくれました。
その中で 私たちは、偉大な精神を友としながら 何時間でも何日でも すばらしい時間を過ごすことができるのです。
ギリシャの人びとは、美のためには喜んで生き、喜んで死のうとしたのです。そのことについては、また第九章で述べたいと思います。

多くの科学者たちが、ギリシャ時代からずっと、美の感覚を生かしつづけてきたことは見事なほどです。
ドイツの天文学者 ケプラー(1571-1630)は、自分の発見は 直接にピタゴラスにつながるものだと信じており、遊星が太陽のまわりを回転するさまは、ヴァイオリンの弓の絃の振動が美しいのと同じ意味で美しい、と述べております。
彼が「天体の調和」を語ったとき、「創造の神よ、あなたの創造の仕事のなかに 美を見せていただいたことを感謝します」と、喜んで叫んだというのも、ふしぎなことではありません。

ケプラーはまた、「数学はこの世の美の原型なのです」と書いております。

以上の引用のいくつかは、ウェルナー-ハイゼンベルグ(1901ー1976)の書いたものから借用しました。彼自身、彼が発見した現代物理学における「不確定性原理」の 中心に美があるのだ、と言っております。
ノーベル物理学賞受賞者であるハイゼンベルグは、物理学研究者は すばらしい美に打たれて真理を発見するのだ、と指摘しております。

美は 受身的なものだと、私たちは間違って考えてしまいます。それは疑いもなく、美の能動的な力に耳を傾ける時間のない現代文化の影響なのです。
しかし、耳を傾けることは、能動的なプロセスなのです。
プラトン以来、美は、感受性豊かな人びとによって 能動的な働きとして経験されてきたのです。
美は 真理の輝きのしるしなのであり、その輝きをとおして美は、数学者や、物理学者や、また辛抱強く耳を傾けることのできるすべての人に語りかけるのです。
ピタゴラスが 二千年も前に述べたように、「私たちが 聴く耳さえもっていれば、天の星は音楽を奏でているのです」。

プラトンの イデアの世界という考え方は、直感的なものであり、半ば無意識的な暗示なのであり、それは、聴く耳をもつ人にのみ歌いかけるのです。
私がスケッチした、野原の中に咲いていた一群のヒナゲシから、この輝きが 私に語りかけてきたのだ、とさえ私は言いたいのです。
この輝きに もっと何度も耳を傾けることができるならば、私たちは なんと美しい世界に住むことができるでしょうか!

現代の偉大な数学者である ポアンカレ(1854ー1912)は、数学上の新発見が どのように生まれてくるかと自問したとき、プラトンのような答えをしております。
彼の答えはこうですーーー。
【有用な結合というものは、まさに最も美しいものなのです。つまり、すべての数学者が知っているこの特殊な感性を、最もよく魅きつけるような結合なのです……】

彼は、無意識の深層から湧き上がってくる数学理論について述べつづけるのですが、こう付け加えております。
【その多くは、数学者の美的感性にひびいてきません。「しかし、そのあるものだけが調和をもっており、その結果、それは有用であると同時に 美しいのです」】と。
そして、こうしたものが、数学や物理学という科学のなかで、貴重なすぐれた発見となるのです。

(次回の【シラーの美の理論】につづく…)

ドストエフスキーが「美は世界を救うか」と問い『美は世界を救う』とロロ-メイが答えた……

2013-01-02 14:12:57 | 「美は世界を救うか」『美は世界を救う』
先日 アマゾンに注文していたーーーROLLO.MAY「美は世界を救う」が届いたーーー。

裏表紙には
『核爆発、地球汚染、貧富の差など、人類を破滅させかねない危機は、人間が【美】の探究を忘れて 権力や技術や利益の追求に走った結果ではないのか。

本書は「美は世界を救うか」というドストエフスキーの問いに対する 著者の答えである。

青年時代に ギリシャで神経症になり、美に目覚めてそれを克服した著者が、精魂をこめて訴える、もうひとつの名著といえよう。
著者自身の 水彩画とデッサンも光彩を添える』と記されている。


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たにぐち まさお