伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

愛媛県議会での論戦(H16年6月議会その3)

2006-04-20 14:59:14 | 関係資料
県議会のホームページに掲載されている議事録
http://www.kensakusystem.jp/ehime/
より、2年近く前からのプルサーマル問題に関する愛媛県議会本会議での質疑内容を紹介しておきます。


●平成16年 第287回定例会 (第5号 6月18日)No.9 田中多佳子環境保健福祉委員長
委員会報告
(拍手)報告をいたします。
 当委員会に付託されました議案の審査結果は、お手元に配付されております委員会審査報告書のとおりでありまして、いずれも原案のとおり可決決定されました。以下、審査の過程において論議された主な事項について、その概要を申し上げます。
 まず第1点は、伊方原発におけるプルサーマル計画についてであります。
 このことについて一部の委員から、プルサーマルの必要性についての見解はどうかとただしたのであります。
 これに対して理事者から、使用済み燃料に残っている資源の回収・再利用がプルサーマルであるが、国のエネルギー政策として核燃料のリサイクルを進めており、県としても政策そのものは現実的かつ妥当なものと考える旨の答弁がありました。
 また、このことに関連して一部の委員から、MOX燃料は安全性等の問題もあり、再処理方法も確立していないため、早く結論を出すのではなく、情報をオープンにして、住民が十分に理解し、本当に安心・安全と思える状況にすることが必要だと思うがどうかとただしたのであります。
 これに対して理事者から、県民の安全・安心にかかわる重要な問題であるため、技術専門部会や環境安全管理委員会の意見を踏まえ、より詳細な住民への説明が必要であると考えている旨の答弁がありました。


●平成16年 第287回定例会 (第5号 6月18日)No.44 村上要議員
反対討論
(拍手)請願第31号伊方原発プルサーマル計画に関する公聴会開催および伊方原発環境安全管理委員会委員の公募枠を求めることについてを不採択とする委員長報告に対し、反対の立場から討論を行います。
 元来、核燃料サイクルの中心に位置づけられた高速増殖炉サイクルは、技術面、経済面の理由から、欧米諸国で計画断念、撤退が相次ぎ、最後まで残っていたフランスのスーパーフェニックス、日本のもんじゅ計画もとんざし、高速増殖炉構想は、世界的に挫折したといってもよい状況にあります。そこで、余剰プルトニウムの利用先として脚光を浴び始めたのが、通常の原発でMOX燃料を利用するプルサーマル計画なのであります。
 先日、四国電力本社への申し入れの際に、私はこの点を指摘したところ、四電から、そうではなく当初からプルサーマル計画が存在していたとの答えがありました。納得いかないことから、帰って再度文書で照会したところ、プルサーマル計画は昭和36年の原子力長期計画で位置づけられ、高速増殖炉は、その前の31年長計で、原子燃料資源の有効利用の観点から我が国の国情に最も適するものとして位置づけられているとの回答がありました。
 また、本会議でも発言がありましたが、プルサーマル計画は石油ストーブにガソリンを利用するものだとの不安を訴えたところ、四電担当者は、その例えは余りにも極端過ぎ適切ではない。私流に例えるなら、1.5ボルトの電池に10ボルトの電池を並列につなぐようなもので問題はないと説明してくれました。
 この点についても私は疑問を持っています。PL法・製造物責任法が制定されていることは御案内のとおりです。電池の正しい安全な使い方として所定の規格の電池を使用することはもちろん、新しい電池と使用した電池を混ぜて使用しないようになどの警告や注意が表示されています。四電のこのような認識でプルサーマル計画が推進されることは到底理解できませんし、この説明によってもプルサーマル計画に危険が伴うもの、あるいは増大することは明らかと言わざるを得ません。
 一方、識者の中にも、原発は賛成だが、プルサーマル計画については一度立ちどまって慎重に検討しなければならないとの指摘もあります。
 請願者の趣旨は、こうした疑問にこたえるためにも、県民に責任を持つ立場、中立的立場にある県が主催して公聴会あるいは説明会を開催するよう求めているものであり、ごく自然な要請であると考えるものであります。
 また、伊方原発環境安全管理委員会委員の任期が本年7月31日となっていることから、新たな選任に当たり、さまざまな立場の方かつ広範な意見が反映され、より活発な議論がなされることが県民理解にもつながるとの考え方から公募枠を求めているものであり、これまた正当なものと考えるものであります。
 県議会常任委員会での請願審査に当たって、高度な専門性、中立、公平性が求められることから公募はなじまないとの意見があったと伺っておりますが、専門家の方には技術専門部会で意見を求めることはもちろんですが、現状においても、各団体の代表として就任願っている県民の方もおいでになります。公募枠で選任された委員が、県民、住民の目線で、その代表として議論に参画していただくことは、何ら問題が生じるものではないと考えるのであります。
 一方、先日、国の長期計画策定会議のメンバーに脱原発を訴えてきた専門家2名が加わるとの報道もあります。
 何よりも安全性を重視し、県民の十分な理解を得るべきとする請願の趣旨を忖度いただき、議員各位の御賛同を賜りますよう訴え、請願に賛成する立場からの討論といたします。
 ありがとうございました(拍手)

No.48 阿部悦子議員
反対討論
(拍手)プルサーマル関連の請願第32号を不採択とした委員会決定に対し、反対の立場から討論を行います。
 知事は、先日の佐々木議員の一般質問に対し、現在の国の原子力政策は、現実的かつ妥当なものと答弁しておられます。それでは、国の原子力政策はどのようなものでしょうか。
 相次ぐ原発関連施設の深刻な事故や不正の発覚、経費の増大あるいは西欧諸国における脱原発への政策転換などに直面しながら、日本政府は原子力に偏重したエネルギー政策を推し進めています。核燃料サイクルを確立するため、原発から出た使用済み燃料を化学処理することによって新しくできたプルトニウムを取り出し、従来のウラン燃料に混ぜて使用するプルサーマル計画を推進しようとしています。
 しかし、核燃料サイクル計画で重要な位置を占めていた高速増殖炉もんじゅは、ナトリウム漏れ火災事故により破綻、さらに、我が国初の六ケ所村再処理工場の建設も相次ぐ事故により、いまや大きなリスクを抱えています。
 また、使用済み燃料の再処理を40年行ってきたイギリスやフランスでは、再処理工場周辺で白血病や甲状腺がんが多発し、人と環境に対する放射能汚染が進んでいます。日本でも同様の事態が発生することは明白です。
 国は、青森県六ケ所村の再処理工場を2006年7月から操業するとしています。しかし、その再処理工場が1日動くと原発1年分の放射能が出ると言われています。働く人を被曝させ、日常的に地域を放射能で汚染し、一たん大事故が発生すれば地球規模の被害をもたらします。
 また、再処理された使い道のないプルトニウムをためておけば核拡散の危険を招きかねません。事業費と後処理費を含め19兆円とも試算されている再処理工場は、経済性をも失っており、工場の建設は将来に禍根を残します。また、このようなプルサーマルを含む核燃料サイクル計画は、自民党の環境部会長河野太郎議員を初め、多くの学者が中止を求めています。
 日本の原子力政策は以上のものであり、知事の御答弁のように現実的で妥当なものでは決してありません。時代は、脱原発へ道を歩み始めています。
 さて、請願第32号は、伊方原子力発電所環境安全管理委員会委員の公募を求める内容となっています。
 先日の安全管理委員会を傍聴したマスコミや請願者によりますと、委員会は終始単調な質疑応答に終わり、深い議論もなく低調であったと聞いています。これは当委員会が行政の追認機関になっていることに起因するものと思われます。
 また、安全管理委員会の委員構成を見ますと、四国電力がスポンサーになっている業界関係者もあり、いわゆるあて職で任命され、有識者とも専門家とも言えない人もいるようです。また、例えば、国立大学関係者である委員は、国から研究費を支給されている立場で国策に対して毅然とした発言ができるでしょうか。
 今回の請願は、それらのことを危惧する人々によるものであり、特にプルサーマル計画の審議に当たっては、反対の立場の専門家や知識の豊富な市民を公募により選任することで、高度な議論のできる第三者機関的性格を持つ委員会を実現すると考えます。県民の人々を委員会メンバーに含めることで慎重で深い議論が可能となり、問題の本質が明らかにされ、正しい意思決定に至る可能性が高まるものです。
 以上のように、本請願の趣旨は、原発の立地県民として痛みを持って理解できるものであり、この県民の心情は、我々議員一人一人のものであるはずです。
 以上で本請願の不採択についての反対討論を終わります。(拍手)


No.52 高門清彦議員
賛成討論
(拍手)請願第31号及び請願第32号の伊方原発プルサーマル計画に関する公聴会を県が主催をして開催すること及び伊方原発環境安全管理委員会委員の公募枠を求めることについてなどの請願を不採択としたことにつきまして、賛成の立場から討論をさせていただきます。
 まず、公聴会の開催については、伊方3号機でのプルサーマル計画は国のエネルギー政策に沿って計画をされているものであり、一義的な説明責任は、実施主体であります四国電力はもちろん、エネルギーや原子力政策を所管する国にあると考えるものであります。
 このため国において、我が国の将来にわたるエネルギーの安全保障を図る立場から、プルサーマル計画推進の理由や背景等について直接住民に説明がなされるべきであり、安全性についても法令に基づく一元的な規制権限を有する国の責任として、科学的根拠等をも明示した説明がなされるべきであります。
 なお、県におきましても、この際、国のエネルギー政策を踏まえて、県として、伊方原発へのプルサーマル導入の必要性について、県民にわかりやすい形で十分に論議をしていかなければならないと考えるのであります。その上で、伊方での実施については、安全性を十分確認するとともに、地元の意見や県議会の議論、伊方原発環境安全管理委員会の意見等も踏まえ、総合的に判断をしていただきたいと思います。
 また、県におきましては、今後、地元の要望等を踏まえ、国や四国電力に対して、マスコミ等で指摘をされております問題点等につきましても、科学的、客観的な根拠やデータを明示した説明会やシンポジウム開催の要請を検討すると聞いているところであり、本件を不採択としたことは適正であると考えております。
 次に、伊方原発環境安全管理委員会への公募制の導入についてでございますが、この委員会の任務は、県民の生命、財産の安全や安心に直結をする伊方原発の安全確保にかかわる事項について検討、評価し、知事に必要な意見を述べることであります。
 このため委員には、十分な識見を持って、公平で厳正な視点から、学識経験者あるいは地域住民や関係団体の代表として責任のある意見を述べ、判断を下していただかなければなりません。
 県では、委員会、審議会への公募制度の導入を積極的に進められ、可能なものについては既に実施をされておりますが、本委員会は、広く政策提言を求めるような性格の委員会ではなく、公募制度には全くなじまないと考えるものであります。
 また、現在の委員は、原子炉工学や原子燃料工学等の専門家を初め、地元自治体、医療団体、農水産団体、報道機関の代表など、学識経験者や各界各層の代表者が適正に選任をされていると聞いております。もちろん、必要に応じ、現在の委員の拡充あるいは委員の皆さんがより幅広い意見を聞く機会を持つことは重要であると考えますが、いずれにしても、委員そのものを公募するという考えは、会の性格上なじむものではないと思うのであります。
 委員の皆様には、大変重要な議題でありますので、より慎重にかつ十分論議を尽くされ、的確な意見を取りまとめていただきますよう、この際お願いを申し上げておきます。
 以上のような観点から、これらの請願の不採択に賛成をする私の考えに御賛同を賜りますよう、お願いを申し上げまして、私の討論といたします。(拍手)

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討論後の採決の結果、委員会提案(不採択)通りとなりました。
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