県議会のホームページに掲載されている議事録
http://www.kensakusystem.jp/ehime/
より、2年近く前からのプルサーマル問題に関する愛媛県議会本会議での質疑内容を紹介しておきます。
●平成16年 第289回定例会 (第2号 9月22日)No.5 清家俊蔵議員(自民党)
次に、伊方原子力発電所におけるプルサーマル計画についてお伺いいたします。
去る9月4日、県からの要請に応じて、四国電力の主催による伊方町及び近隣の市や町を対象とした住民説明会が開催され、経済産業省からも国の基本方針等についての説明が行われたところです。この説明会には、プルサーマル計画への賛否を問わず、応募者全員が参加でき、参加者からの質問に対してもすべてに回答がなされたとのことでありまして、大変意義のある説明会であったと評価しております。
説明会での質問内容につきましては、危険性はないのかとか、プルサーマル用燃料は大丈夫か、資源の乏しい我が国ではやむを得ない政策と思うが、既設の原子炉で安全か等々、とにかく安全第一に取り組んでほしいとの強い要請の声であったと聞いております。また、世界的にプルサーマル廃止に向いているときになぜ計画したのか等の質問があり、経済産業省からは、資源に乏しい我が国のエネルギー事情や、これまで海外9カ国で約4,000体の安全な使用実績があること、今後、中止予定の国もあれば再開予定の国もあることなどが説明されたと伺っております。
申し上げるまでもなく、プルサーマルを初めとする原子力政策は、それぞれの国が、自国のエネルギー安全保障の観点から、国策として推進されるものであり、脱原発政策で知られるドイツにおいても、プルサーマルの実施が、現在法律で義務づけられているなど、プルサーマルの安全性が国際的な問題となっているわけではないのであります。
県では、既に伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、専門技術的な観点はもとより、各分野の県民代表の視点から、プルサーマルの基本的な安全性等について確認されており、また、今回の住民説明会では、地域住民のプルサーマルに対する理解が深まったものと認識しております。
我が党としても、原子力政策は安全の確保が大前提と考えております。このため、プルサーマル計画については、基本的な安全性だけでなく、伊方3号機への導入について、個別具体的に国の安全審査を受け、法に基づく安全性の確証を得ることが第一であると考えるのであります。そして、事前了解願いに対する判断は、その上で改めて慎重に議論すべきでありまして、当面の原子炉設置変更許可申請の取り扱いについては、県としての判断を下すべき時期に来ているのではないかと思うのであります。
そこで、お伺いします。
先般、四国電力による住民説明会が開催されましたが、県としては、今後、プルサーマル計画の事前了解願いにどのように対応していくのか、今後の対応方針をお示し願いたいのであります。
No.9 加戸守行知事
次に、プルサーマル計画の事前了解願いに今後どう対応していくのかとの御質問でございました。
プルサーマル計画の事前了解願いに対しましては、安全性の確保と住民の理解が大前提と考えております。したがいまして、プルサーマルの基本的な必要性や安全性、さらには、伊方3号機の個別炉としての安全性等について段階的に確認いたしますとともに、各段階で地元の意向や県議会での議論を十分に踏まえて慎重に判断する必要があると考えております。
このため、これまで伊方原発環境安全管理委員会において基本的な安全性等を確認いただきますとともに、国及び四国電力に説明会の開催を求めておりましたところ、先般、公開の場で直接住民への説明や質疑がなされましたことから、当面、伊方3号機の安全審査の前提となる原子炉設置変更許可申請の取り扱いについては、判断すべき時期が近づいているものと認識いたしております。
伊方町におきましては、本日、議員全員協議会等を開催し、町としての取り扱いを協議すると聞いておりますので、その意向や今県議会での議論を踏まえて判断することといたしたいと考えております。
●平成16年 第289回定例会 (第2号 9月22日)No.26 高橋克麿議員(社民党)
さて、美浜原発事故により、関西電力では、プルサーマルの議論などどこかへ行ってしまったかのような状況にありますが、四国電力や九州電力はプルサーマルの実施に向けて突き進んでおります。
6月議会での私の質問に対する答弁では、プルサーマルの安全性について、国の安全審査を信頼するとの趣旨でありましたが、加圧水型原発を実際に動かしているのは三菱重工であります。今回の美浜原発事故で同社に対する信頼は完全に崩壊しており、果たしてこのまま任せられるのでしょうか。
また、国政レベルでは、原発の使用済み核燃料のバックエンドコストをめぐり、直接処分するのと再処理してプルトニウムを取り出して利用するのとではどちらが有利か問題になっております。国際的には、既に直接処分が有利との結論が出ている状況ですが、唯一日本だけが全量再処理に固執し、再処理工場の建設を進めてまいりました。
しかし、先ごろ、日本でも直接処分が有利という試算結果が1994年に出されていたことが明らかになりました。国会で社民党の福島党首の質問に、直接処分を検討したことがないとの答弁でありましたが、新聞社の取材により虚偽が発覚したもので、経済産業省や電力会社は、試算結果を隠して、我々に直接処分は検討の必要なしと説明し続けてきたこととなり、国や電力会社に対する信頼も揺らいでいるのであります。
今、国の原子力研究開発利用長期計画で全量再処理と直接処分とのコスト比較の試算を進めていますが、伊方原発プルサーマル計画導入の是非については、この試算が出された後に判断をされても遅くはないと思うのであります。
さらに、原子力委員会でプルサーマルの問題を検討している山地憲治東大教授が、9月8日の日経新聞紙上において、コストが2倍も3倍も高いプルサーマルに今わざわざ突き進む必要性はなく、核燃料サイクルの技術開発はゆっくり行えばよいという意見を展開されています。その上、プルトニウムの価格はマイナス、つまりごみ以下の逆有償になっていることも紹介されております。
しかしながら、これまでの議会答弁や一連の対応を見ますと、当面の必要性もなく経済的な意義すらも見出せない一方で、伊方原発の周辺住民だけでなく、県民さらには四国や対岸の九州、中国地方の人々にまでリスクを負わせるプルサーマルに、県は形式的な手続で承認を与えようとしていると思うのであります。9月4日の伊方町での不十分な住民説明会で事足れりとする四国電力の姿勢、9月9日以降、知事へ提出された県内や四国を中心とする約5万3,000人ものプルサーマル反対署名、これらを見て、加戸知事には、いま一度熟慮願いたいのであります。
そこで、2点お伺いいたします。
1点目は、安全性の面から、福島県や新潟県で行ったように県の中に原子力専門家の調査組織を設け、四国電力や三菱重工からデータを提出させて検証作業を行うべきと思いますが、御見解をお聞かせください。
2点目は、後世に禍根を残さない選択を行っていただきたいのでありますが、直接処分に関する試算隠しの問題も踏まえ、御所見をお聞かせ願いたいのであります。
No.36 石川勝行県民環境部長
次に、プルサーマル問題について、原子力専門家の調査組織を設け、四国電力や三菱重工からデータを提出させて検証作業を行うべきと思うがどうかとの質問でございました。
お話の福島県や新潟県の調査組織は、東京電力の不正問題を契機として、発電所への立入調査等を実施する際に、本県の伊方原発環境安全管理委員会と同様の委員会のメンバーの中から、専門家委員の立ち会い、指導を求めて検証作業を進めたものであります。
本県におきましても、従来より、環境安全管理委員会に原子力関係分野の専門家による技術専門部会を設置しており、必要に応じて伊方発電所への立入調査に立ち会いをいただくほか、伊方原発の安全管理全般について、技術的、専門的な指導、助言をいただいております。
今回のプルサーマル計画に関しましても、本年6月に技術専門部会を開催し、四国電力から安全解析データ等を含む資料を求めて審議をいただきました結果、基本的な安全性は認められるが、伊方3号機の個別炉としての安全性は、国の安全審査結果を踏まえて改めて審議する必要があるとの報告を受けたところでございます。
最後に、直接処分に関する試算隠しの問題も踏まえ、後世に禍根を残さない選択を行ってほしいがどうかとのお尋ねでございました。
プルサーマル計画の事前了解願いに対しましては、午前中に知事から清家議員にお答えいたしましたとおり、安全性の確保と住民理解を大前提として、各段階で厳正に安全性等の確認を行うとともに、地元の意向や県議会での議論を踏まえて慎重に判断したいと考えております。
なお、国等が過去に実施しました直接処分のコスト試算につきましては、いずれも当時厳正なコスト比較は困難と結論づけられたものとはいえ、これまで未公表であったことは、公開を原則とすべき原子力行政にとって大変残念なことであると思っております。
原子力政策は、コスト面だけでなく、エネルギー安全保障等総合的な観点から検討される必要がありますが、次期原子力長期計画におきましては、適正なコスト試算に基づく確かな方針を打ち出し、国民の信頼のもとに推進されるものと考えております。
以上でございます。
●平成16年 第289回定例会 (第5号 9月28日)No.53 今井久代議員(共産党)
第2の質問は、プルサーマルについてです。
四国電力は、現在の原子力発電でもプルトニウムが発電に寄与しており、プルサーマルは安全だと主張しています。しかし、プルトニウムは放射能毒性が強く、事故の場合の被害はウランの比ではありません。また、従来の発電に寄与するプルトニウムの比率は1%にすぎませんが、プルサーマルでは、初めから最高13%ものプルトニウムを加えており、同列には論じられません。
四国電力は、プルサーマルが世界に豊富な実績を持つと言いますが、原子力発電所のある30カ国のうち、プルサーマルを一度もやったことのない国が21カ国、一度やったがやめている国は5カ国、合わせて9割近くが現在プルサーマルをやっておらず、豊富な実績どころか世界的にもごく少数にすぎません。
このように見解が正反対に分かれるもとで、県が一方の見解を丸のみにすることはできないはずですし、国への申請に同意すべきではないと私は考えますが、御見解はいかがでしょうか。
四国電力が伊方町で開いた説明会は、地元への事前周知が不十分、説明会参加者には四電の関係者が多かったと耳にしたなど、問題の多いものでした。9月9日の記者会見で加戸知事は、賛否にかかわらず公正かつ真摯に説明や質疑が交わされる機会の確保が重要と語っていますが、そうはなりませんでした。
八幡浜の地元紙は、次のように紹介しています。
説明会は、四電社員、愛媛県警機動隊員など、合わせて200人を超える大規模な警備体制が敷かれた。会場から歩いて約10分の伊方サービス事務所には制服警官数十人が待機。同社駐車場には、特徴のある機動隊のバスや警察車両があった。場内には、案内係などの腕章をつけたネクタイ姿の男性が、ステージに向かって参加者席、傍聴者席の左右、後方に座り、警戒。説明中トイレに行こうと参加者が立ち上がろうとすると、すぐ駆け寄り、どうしました、トイレですかと声をかけていた。開始前、乗用車で乗りつけた参加者やマスコミ関係者の車は4~5人が取り囲みチェックする警戒ぶりだった。
こんな雰囲気では自由な討論は期待できません。住民へのプルサーマル説明会は、県が主催して、自由な討論を保障すべきではないでしょうか、お尋ねします。
旧通産省は、1994年に、使用済み核燃料の再処理に比べて直接処分のコストは4分の1で済むとの結論を得ていました。原子力委員会も、旧動燃も、電気事業連合会も、皆、直接処分の方が安いとの試算を行い、それを隠してきました。去る6月議会の佐々木議員の質問に、プルサーマルとウラン燃料単独の経済性に大きな差はないと答弁していますが、これが誤った答弁であることは明白であり、取り消し訂正すべきと考えますがどうですか、お答えください。
No.60 石川勝行県民環境部長
次に、プルサーマルについて、プルサーマルの危険性をめぐって正反対の評価があることへの見解を問うとの御質問でございました。
プルサーマルについて賛否両論の評価があると承知しており、県といたしましては、双方の評価を十分に踏まえながら、科学的、技術的な根拠をもとに公正に検討、評価を進める必要があると考えております。
このような観点から、これまでの技術専門部会や環境安全管理委員会での審議におきましては、四国電力の安全解析データはもとより、危険性に関するさまざまな主張も委員に提示した上で、科学的、技術的かつ公正な立場から審議をいただいたところでございます。
なお、世界各国でのプルサーマル実施の有無は、それぞれの国のエネルギー事情等によるものと理解しております。
次に、住民へのプルサーマル説明会は県が主催して自由な討論を保障すべきでないかとのお尋ねでございました。
プルサーマルについての説明責任は、第一義的に事業主体である四国電力及び原子力政策の責任者である国にあると考えております。県といたしましては、四国電力等に対して、賛否にかかわらず公正かつ真摯に説明や質疑が交わされる機会の確保を要請してきたところでございます。先般の説明会はこの要請を受けて開催されたもので、案内状を全戸に送付し、希望者全員の参加のもと、すべての質疑に回答するなど、一定の意義があったと評価をしておりますが、今後とも、さまざまな方法で住民への説明に取り組むよう働きかけてまいりたいと考えております。
最後に、プルサーマルとウラン燃料単独の経済性に大きな差はないとの答弁の取り消し、訂正を求めるがどうかとのお尋ねでございました。
6月県議会では、その時点で公式に認められた国のコスト等検討小委員会の報告書や国際機関であります経済協力開発機構原子力機関の報告書をもとに答弁をしたものであり、取り消しや訂正を行う必要はないと考えております。
なお、お話のコスト試算につきましては、その報告書で、いずれも当時見積もりが不透明で両者を比較することが困難と結論づけられたものであり、経済産業省も現在これまでの見解を見直す考えはないとしているところでございます。
以上でございます。
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http://www.kensakusystem.jp/ehime/
より、2年近く前からのプルサーマル問題に関する愛媛県議会本会議での質疑内容を紹介しておきます。
●平成16年 第289回定例会 (第2号 9月22日)No.5 清家俊蔵議員(自民党)
次に、伊方原子力発電所におけるプルサーマル計画についてお伺いいたします。
去る9月4日、県からの要請に応じて、四国電力の主催による伊方町及び近隣の市や町を対象とした住民説明会が開催され、経済産業省からも国の基本方針等についての説明が行われたところです。この説明会には、プルサーマル計画への賛否を問わず、応募者全員が参加でき、参加者からの質問に対してもすべてに回答がなされたとのことでありまして、大変意義のある説明会であったと評価しております。
説明会での質問内容につきましては、危険性はないのかとか、プルサーマル用燃料は大丈夫か、資源の乏しい我が国ではやむを得ない政策と思うが、既設の原子炉で安全か等々、とにかく安全第一に取り組んでほしいとの強い要請の声であったと聞いております。また、世界的にプルサーマル廃止に向いているときになぜ計画したのか等の質問があり、経済産業省からは、資源に乏しい我が国のエネルギー事情や、これまで海外9カ国で約4,000体の安全な使用実績があること、今後、中止予定の国もあれば再開予定の国もあることなどが説明されたと伺っております。
申し上げるまでもなく、プルサーマルを初めとする原子力政策は、それぞれの国が、自国のエネルギー安全保障の観点から、国策として推進されるものであり、脱原発政策で知られるドイツにおいても、プルサーマルの実施が、現在法律で義務づけられているなど、プルサーマルの安全性が国際的な問題となっているわけではないのであります。
県では、既に伊方原子力発電所環境安全管理委員会において、専門技術的な観点はもとより、各分野の県民代表の視点から、プルサーマルの基本的な安全性等について確認されており、また、今回の住民説明会では、地域住民のプルサーマルに対する理解が深まったものと認識しております。
我が党としても、原子力政策は安全の確保が大前提と考えております。このため、プルサーマル計画については、基本的な安全性だけでなく、伊方3号機への導入について、個別具体的に国の安全審査を受け、法に基づく安全性の確証を得ることが第一であると考えるのであります。そして、事前了解願いに対する判断は、その上で改めて慎重に議論すべきでありまして、当面の原子炉設置変更許可申請の取り扱いについては、県としての判断を下すべき時期に来ているのではないかと思うのであります。
そこで、お伺いします。
先般、四国電力による住民説明会が開催されましたが、県としては、今後、プルサーマル計画の事前了解願いにどのように対応していくのか、今後の対応方針をお示し願いたいのであります。
No.9 加戸守行知事
次に、プルサーマル計画の事前了解願いに今後どう対応していくのかとの御質問でございました。
プルサーマル計画の事前了解願いに対しましては、安全性の確保と住民の理解が大前提と考えております。したがいまして、プルサーマルの基本的な必要性や安全性、さらには、伊方3号機の個別炉としての安全性等について段階的に確認いたしますとともに、各段階で地元の意向や県議会での議論を十分に踏まえて慎重に判断する必要があると考えております。
このため、これまで伊方原発環境安全管理委員会において基本的な安全性等を確認いただきますとともに、国及び四国電力に説明会の開催を求めておりましたところ、先般、公開の場で直接住民への説明や質疑がなされましたことから、当面、伊方3号機の安全審査の前提となる原子炉設置変更許可申請の取り扱いについては、判断すべき時期が近づいているものと認識いたしております。
伊方町におきましては、本日、議員全員協議会等を開催し、町としての取り扱いを協議すると聞いておりますので、その意向や今県議会での議論を踏まえて判断することといたしたいと考えております。
●平成16年 第289回定例会 (第2号 9月22日)No.26 高橋克麿議員(社民党)
さて、美浜原発事故により、関西電力では、プルサーマルの議論などどこかへ行ってしまったかのような状況にありますが、四国電力や九州電力はプルサーマルの実施に向けて突き進んでおります。
6月議会での私の質問に対する答弁では、プルサーマルの安全性について、国の安全審査を信頼するとの趣旨でありましたが、加圧水型原発を実際に動かしているのは三菱重工であります。今回の美浜原発事故で同社に対する信頼は完全に崩壊しており、果たしてこのまま任せられるのでしょうか。
また、国政レベルでは、原発の使用済み核燃料のバックエンドコストをめぐり、直接処分するのと再処理してプルトニウムを取り出して利用するのとではどちらが有利か問題になっております。国際的には、既に直接処分が有利との結論が出ている状況ですが、唯一日本だけが全量再処理に固執し、再処理工場の建設を進めてまいりました。
しかし、先ごろ、日本でも直接処分が有利という試算結果が1994年に出されていたことが明らかになりました。国会で社民党の福島党首の質問に、直接処分を検討したことがないとの答弁でありましたが、新聞社の取材により虚偽が発覚したもので、経済産業省や電力会社は、試算結果を隠して、我々に直接処分は検討の必要なしと説明し続けてきたこととなり、国や電力会社に対する信頼も揺らいでいるのであります。
今、国の原子力研究開発利用長期計画で全量再処理と直接処分とのコスト比較の試算を進めていますが、伊方原発プルサーマル計画導入の是非については、この試算が出された後に判断をされても遅くはないと思うのであります。
さらに、原子力委員会でプルサーマルの問題を検討している山地憲治東大教授が、9月8日の日経新聞紙上において、コストが2倍も3倍も高いプルサーマルに今わざわざ突き進む必要性はなく、核燃料サイクルの技術開発はゆっくり行えばよいという意見を展開されています。その上、プルトニウムの価格はマイナス、つまりごみ以下の逆有償になっていることも紹介されております。
しかしながら、これまでの議会答弁や一連の対応を見ますと、当面の必要性もなく経済的な意義すらも見出せない一方で、伊方原発の周辺住民だけでなく、県民さらには四国や対岸の九州、中国地方の人々にまでリスクを負わせるプルサーマルに、県は形式的な手続で承認を与えようとしていると思うのであります。9月4日の伊方町での不十分な住民説明会で事足れりとする四国電力の姿勢、9月9日以降、知事へ提出された県内や四国を中心とする約5万3,000人ものプルサーマル反対署名、これらを見て、加戸知事には、いま一度熟慮願いたいのであります。
そこで、2点お伺いいたします。
1点目は、安全性の面から、福島県や新潟県で行ったように県の中に原子力専門家の調査組織を設け、四国電力や三菱重工からデータを提出させて検証作業を行うべきと思いますが、御見解をお聞かせください。
2点目は、後世に禍根を残さない選択を行っていただきたいのでありますが、直接処分に関する試算隠しの問題も踏まえ、御所見をお聞かせ願いたいのであります。
No.36 石川勝行県民環境部長
次に、プルサーマル問題について、原子力専門家の調査組織を設け、四国電力や三菱重工からデータを提出させて検証作業を行うべきと思うがどうかとの質問でございました。
お話の福島県や新潟県の調査組織は、東京電力の不正問題を契機として、発電所への立入調査等を実施する際に、本県の伊方原発環境安全管理委員会と同様の委員会のメンバーの中から、専門家委員の立ち会い、指導を求めて検証作業を進めたものであります。
本県におきましても、従来より、環境安全管理委員会に原子力関係分野の専門家による技術専門部会を設置しており、必要に応じて伊方発電所への立入調査に立ち会いをいただくほか、伊方原発の安全管理全般について、技術的、専門的な指導、助言をいただいております。
今回のプルサーマル計画に関しましても、本年6月に技術専門部会を開催し、四国電力から安全解析データ等を含む資料を求めて審議をいただきました結果、基本的な安全性は認められるが、伊方3号機の個別炉としての安全性は、国の安全審査結果を踏まえて改めて審議する必要があるとの報告を受けたところでございます。
最後に、直接処分に関する試算隠しの問題も踏まえ、後世に禍根を残さない選択を行ってほしいがどうかとのお尋ねでございました。
プルサーマル計画の事前了解願いに対しましては、午前中に知事から清家議員にお答えいたしましたとおり、安全性の確保と住民理解を大前提として、各段階で厳正に安全性等の確認を行うとともに、地元の意向や県議会での議論を踏まえて慎重に判断したいと考えております。
なお、国等が過去に実施しました直接処分のコスト試算につきましては、いずれも当時厳正なコスト比較は困難と結論づけられたものとはいえ、これまで未公表であったことは、公開を原則とすべき原子力行政にとって大変残念なことであると思っております。
原子力政策は、コスト面だけでなく、エネルギー安全保障等総合的な観点から検討される必要がありますが、次期原子力長期計画におきましては、適正なコスト試算に基づく確かな方針を打ち出し、国民の信頼のもとに推進されるものと考えております。
以上でございます。
●平成16年 第289回定例会 (第5号 9月28日)No.53 今井久代議員(共産党)
第2の質問は、プルサーマルについてです。
四国電力は、現在の原子力発電でもプルトニウムが発電に寄与しており、プルサーマルは安全だと主張しています。しかし、プルトニウムは放射能毒性が強く、事故の場合の被害はウランの比ではありません。また、従来の発電に寄与するプルトニウムの比率は1%にすぎませんが、プルサーマルでは、初めから最高13%ものプルトニウムを加えており、同列には論じられません。
四国電力は、プルサーマルが世界に豊富な実績を持つと言いますが、原子力発電所のある30カ国のうち、プルサーマルを一度もやったことのない国が21カ国、一度やったがやめている国は5カ国、合わせて9割近くが現在プルサーマルをやっておらず、豊富な実績どころか世界的にもごく少数にすぎません。
このように見解が正反対に分かれるもとで、県が一方の見解を丸のみにすることはできないはずですし、国への申請に同意すべきではないと私は考えますが、御見解はいかがでしょうか。
四国電力が伊方町で開いた説明会は、地元への事前周知が不十分、説明会参加者には四電の関係者が多かったと耳にしたなど、問題の多いものでした。9月9日の記者会見で加戸知事は、賛否にかかわらず公正かつ真摯に説明や質疑が交わされる機会の確保が重要と語っていますが、そうはなりませんでした。
八幡浜の地元紙は、次のように紹介しています。
説明会は、四電社員、愛媛県警機動隊員など、合わせて200人を超える大規模な警備体制が敷かれた。会場から歩いて約10分の伊方サービス事務所には制服警官数十人が待機。同社駐車場には、特徴のある機動隊のバスや警察車両があった。場内には、案内係などの腕章をつけたネクタイ姿の男性が、ステージに向かって参加者席、傍聴者席の左右、後方に座り、警戒。説明中トイレに行こうと参加者が立ち上がろうとすると、すぐ駆け寄り、どうしました、トイレですかと声をかけていた。開始前、乗用車で乗りつけた参加者やマスコミ関係者の車は4~5人が取り囲みチェックする警戒ぶりだった。
こんな雰囲気では自由な討論は期待できません。住民へのプルサーマル説明会は、県が主催して、自由な討論を保障すべきではないでしょうか、お尋ねします。
旧通産省は、1994年に、使用済み核燃料の再処理に比べて直接処分のコストは4分の1で済むとの結論を得ていました。原子力委員会も、旧動燃も、電気事業連合会も、皆、直接処分の方が安いとの試算を行い、それを隠してきました。去る6月議会の佐々木議員の質問に、プルサーマルとウラン燃料単独の経済性に大きな差はないと答弁していますが、これが誤った答弁であることは明白であり、取り消し訂正すべきと考えますがどうですか、お答えください。
No.60 石川勝行県民環境部長
次に、プルサーマルについて、プルサーマルの危険性をめぐって正反対の評価があることへの見解を問うとの御質問でございました。
プルサーマルについて賛否両論の評価があると承知しており、県といたしましては、双方の評価を十分に踏まえながら、科学的、技術的な根拠をもとに公正に検討、評価を進める必要があると考えております。
このような観点から、これまでの技術専門部会や環境安全管理委員会での審議におきましては、四国電力の安全解析データはもとより、危険性に関するさまざまな主張も委員に提示した上で、科学的、技術的かつ公正な立場から審議をいただいたところでございます。
なお、世界各国でのプルサーマル実施の有無は、それぞれの国のエネルギー事情等によるものと理解しております。
次に、住民へのプルサーマル説明会は県が主催して自由な討論を保障すべきでないかとのお尋ねでございました。
プルサーマルについての説明責任は、第一義的に事業主体である四国電力及び原子力政策の責任者である国にあると考えております。県といたしましては、四国電力等に対して、賛否にかかわらず公正かつ真摯に説明や質疑が交わされる機会の確保を要請してきたところでございます。先般の説明会はこの要請を受けて開催されたもので、案内状を全戸に送付し、希望者全員の参加のもと、すべての質疑に回答するなど、一定の意義があったと評価をしておりますが、今後とも、さまざまな方法で住民への説明に取り組むよう働きかけてまいりたいと考えております。
最後に、プルサーマルとウラン燃料単独の経済性に大きな差はないとの答弁の取り消し、訂正を求めるがどうかとのお尋ねでございました。
6月県議会では、その時点で公式に認められた国のコスト等検討小委員会の報告書や国際機関であります経済協力開発機構原子力機関の報告書をもとに答弁をしたものであり、取り消しや訂正を行う必要はないと考えております。
なお、お話のコスト試算につきましては、その報告書で、いずれも当時見積もりが不透明で両者を比較することが困難と結論づけられたものであり、経済産業省も現在これまでの見解を見直す考えはないとしているところでございます。
以上でございます。
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