伊方原発の廃炉のために

2006年から「伊方原発のプルサーマル問題」として続けてきましたが、伊方原発の廃炉のために、に15年に改名しました。

再稼働についての県議会質疑

2012-04-12 19:48:16 | 県議会

続いて阿部悦子愛媛県議の一般質問質疑より。


 伊方原発3号機の再稼働問題で伺います。

●われわれ愛媛の県議会議員はおそらく近い将来、国が運転再開を求めてくるであろう伊方3号機の再稼働について、是か非かの意思表明を求められます。今はそのための情報収集の時期です。

地元紙愛媛新聞や東京新聞を始めとする多くのメディアが、福島原発事故時や、それ以前の政府や電力会社が行ってきた数多くの誤魔化しを、今なお日々新たに報道しています。しかし、知事は「国の判断をただ白紙で待つ」とし、ストレステスト意見聴取会の慎重派の委員からの面会の希望さえ退けられました。知事に伺います。

)SPEEDIのデータ隠し、首都圏避難の最悪シナリオ隠しなどを経て今日、政府機関に対する信頼は崩壊しています。県知事が国の判断ならば信用する、国はウソをつかない、と考える根拠は何ですか。

 上甲県民環境部長答弁:

「県としましてはこれまで国の判断を信用するとも信用しないとも言っておりません、そういうことも含めて現状は白紙であると申し上げているところでございます。」

 阿部議員再質問:

 知事が白紙で、国を信用するとも信用しないとも言っていないとのご答弁がありました。大変問題だと思います。3.11が起こって1年が経ちます。この国のあり方が、システムが、パラダイムが信用できるのかどうか、そこを判断しなければ、地方分権を言っている知事の資格がないのではないか、私たちはそのことを厳しく訪わなければならないと思います。この、信用するともしないとも言っていないというお答えに、本当に私は怒りを覚えます。もう一度お答えください。

県民環境部長答弁:「この件は伊方原発三号機の再稼動問題についての知事の見解ということで、県としてはあくまで現状は白紙であると申し上げているところでございます。」

●福島の事故により「絶対安全神話」が崩壊した今、地元、立地県の知事は新たな責任を持たねばなりません。原発の過酷事故が起こることが証明された今、地元の判断で原発の運転再開を認めるということは、原発によって引き起こされる一切の災害に対して、国ばかりでなく同意する地元も重大な責任を負うということです。以前のように「絶対安全と言われたから」という言い訳はもはや通用しません。知事に伺いますが、

 )立地県知事として同意することの責任は、東電原発事故の後、変わってないとお考えですか?変わったのであれば、独自の安全性評価のための仕組みを新たに作るべきではありませんか?

  上甲県民環境部長答弁:

「原子力発電所の安全性につきましては国が一時的に責任を負っておりますが県民の安全安心を守るという県の立場は福島原発事故前後で変わるものではないと考えております。」

 

●多くの原発立地/隣接県知事はこの新たな責任について承知しており、国に対して、再稼働とストレステストに関して声を挙げ始めています。

 福井県の西川知事は、「ストレステストは机上のシュミレーションでしかなく、結果を再稼働判断にどう生かすかも不明確」であると見解を示しました。
224日には、「国が東京電力福島第一原発の事故の知見を反映した暫定的な安全基準を示し、これを基に個々の原発の安全性を厳格に確認することが大前提だ」と発言しました。
 滋賀県の嘉田知事は、京都新聞のアンケートに答えて、「条件が整えば賛成」とした上で、「絶対安全が担保され、社会的に合意できるまで安易に稼働すべきでない」とくぎを刺しました。

 京都府の山田知事は、「運転再開の判断根拠など国から明確な説明が必要」とし、「再稼働の手続きに問題がある」と京都新聞のアンケートに回答しています。

 新潟県の泉田知事は、「福島第一原発事故の検証が不十分で、運転再開を判断する材料がない」と述べ、運転再開を議論する段階にないことを強調しました。

 山形県の吉村知事は、平成24年を山形県の卒原発に向けた「再生可能エネルギー元年」と位置付け、『環境エネルギー部』を新設、82億円の予算を計上すると語りました。

 静岡県の川勝知事は、「中部電力の津波対策が完了しても再稼働の話にはならない。事故を繰り返さないためにはパラダイム(思考の枠組み)を変えるしかない」と述べています。

 そしてなによりも、東電原発事故の被害をうけ、県全体が脱原発に方針を定めた福島県のことを忘れてはなりません。福島県の佐藤知事は、すでに、年内策定予定の「県復興計画」に全原発廃炉の要求を明記する」とし、「原発の立地で得られる財政的な恩恵以上に、事故は自然、社会、教育、あらゆるところに影響を及ぼした」と述べています。また、福島県議会も昨年の9月定例本会議で、「福島の全10機の原発を廃炉にする請願」を採択しました。そこで伺います。

3)中村知事は、国の政治判断が行われる前に、立地県知事としてご自身の判断や、国がすべき実質的な対策を明言すべきと考えますがいかがですか。

上甲県民環境部長答弁:

「再起動問題につきましては立地県として責任を持ち原子力発電所の安全にかかる具体的な国の方針、四国電力の姿勢、地元の理解の三点を総合的に判断すると従来から申し上げておりまして、四国電力に対しても県独自の判断で国の基準上回る追加的安全対策を求めているところでございます。そのうち原子力発電所の安全性につきましては一時的に国が責任を負うものであることから 再起動についてはまずは国が判断し県に説明すべきであると考えております。 」

 

●未だ、福島原発事故の検証とそれに基づく再発防止策が出来ていません。現在検証作業を行っている国会の「事故調査委員会」の検証作業が終わってから、初めて再発防止策を考えることが可能になるでしょう。

この国会の「事故調査委員会」、無視するべきではありません。なぜなら福島原発事故後に立法府が作った法律に依拠するものだからです。 「東京電力福島原子力発電所事故調査委員会法」の第105には「委員会の職務」をこう記してます。

「事故調査の結果に基づき、原子力に関する基本的な政策及び当該政策に関する事項を所掌する行政組織の在り方の見直しを含む原子力発電所の事故の防止及び原子力発電所の事故に伴い発生する被害の軽減のため講ずべき施策又は措置について、提言を行うこと。 この委員会の提言を実行する前に、再稼働は出来ないはずです。

  この問題では2月20日、衆議院四国比例ブロックの永江孝子議員を含む国会議員47名が国会の事故調査委員会の報告ができるまで全国の原発の再稼働を待つよう求める有志の署名を野田首相他政府に提出しています。 またこの法律は、愛媛1区の塩崎恭久議員が提案した法律です。与野党を超えた国会議員が国としての責任を果たそうと行動をしているここ愛媛で、知事は官僚依存の従来型の政治を続けていかれるおつもりですか。伺います。

4)国の方針を待つというのなら、知事は国会の「事故調査委員会報告」を待つべきと考えますがいかがですか。

上甲県民環境部長答弁:

「県としましては原子力発電所の安全性にかかる具体的な方針につきましては福島原発事故をふまえ政府が責任をもって示すべきと考えておりましてその説明を受けたのちに伊方原発の再起動について判断することとしております。」


●さらに、原子力安全委員会の斑目委員長は、220日にストレステストの一次評価は「安全性の評価としては不十分」と驚くべき発言をしました。一次テストは炉心溶融が始まるまでだけの評価で、それ以降に起こる様々な事態への電力会社の対応策についての評価はしていないのですから、被害がどこまで拡大するのか分からず、斑目氏の発言は当然と言えば当然なのです。本来不可分なこの二次テストも完了した後、併せて国が新たに設置する規制機関に判断させるべきです。このことはEUの専門家も指摘しています。

 28日のストレステスト意見聴取会で、原子力安全保安院が、昨年末までに各電力会社に二次テストの結果を提出するよう求めていたことが明らかになりましたが、四国電力を含めてまだ一社も提出していないということでした。これは大変不自然なことです。知事に伺います。

5)知事は、四国電力に対して、すでに出来上がっているはずの「ストレステスト第二次報告書」をただちに県にも提出、あるいは公表させるよう求めるおつもりはありませんか?その中身には関心はありませんか?

上甲県民環境部長答弁:

「国はストレステスト二次評価につきましては昨年末を目途に提出を求めておりましたが先般の意見聴取会において国から評価項目の追加も含め今後の対応を検討中であるという説明がありまして、四国電力ではこれらを踏まえて対応するとしております。」

 

●まだ検証の途中ではありますが、福島原発事故では危機に対応する人間の側の機能不全が酷かったことが様々な機関を通じて明らかになりつつあります。子どもたちのために準備していたヨウ素剤すら配れなかったなど、原子力防災における危機管理が全く出来ていなかったのです。愛媛県では上手くやれるのでしょうか?これら原子力防災の責任者は知事なのです。伺います。 

6)先日の防災訓練で得た教訓は何ですか

 上甲県民環境部長答弁:

「今回の原子力防災広域避難訓練では住民の円滑な避難には陸海空あらゆる手段が必要であり また広域避難の為には市町や防災機関の連携が必要であると認識致しますとともに伊方町の住民の皆さんが冷静機敏に動かれていたことを見て訓練の積み重ねが重要であると改めて強く感じたところであります。」

 

●国の地震/原子力/複合災害に関する基本的な方針はまだ定まっていませんが、最短いつ頃、新たな愛媛県における地域防災計画ができるのですか、少なくとも工程表はできているでしょう。緊急時避難や屋内退避に掛かる地域UPZは、原発の周囲少なくとも30km圏に拡がりそうです。また、国では50km圏まではヨウ素剤を事前に家庭配布することまで検討されています。

 一方、福島第一原発から60キロ離れた福島市内の一部地域が「特定避難勧奨地点」と同レベルの汚染があるにも関わらず、国から避難勧告が出されていない現状にかんがみ、同じく原発から60km圏の県庁所在地である松山市も防災計画の対象に含めるべきと考えます。伺います。

7)知事は福島原発事故並みの過酷事故を想定したSPEEDIデータを国に公表させ、そのデータに基づいて各市町に防災計画を立てるよう伝えるおつもりはありませんか。政治的、意図的に避難対象から除外されるおそれのある県庁所在地なども含めるお考えはありませんか。

  上甲県民環境部長答弁:

「国においては福島原発事故並の過酷事故を想定した伊方発電所のSPEEDI図形は作成しておりません。なお万が一の場合に備えさまざまなパターンの予測図形を作成しておりそれらは順次公表しております。また国は防災対策地域を原発からおおむね30kmとするUPZ緊急時防護措置準備区域の考え方を防災指針の中間的取りまとめで示こととしておりこれを踏まえ県においても地域防災計画でUPZを定めることとしております。」

 

8)県では、原発震災を含む複合、または総合的な防災計画をいつ策定する予定ですか、それが策定され、訓練や対策についても、県民に納得のいくものができるまでは、原発の再稼働はあり得ないとするのが県知事の責任の責任だと考えますがいかがですか。

 上甲県民環境部長答弁:

「県では地域防災計画原子力災害対策編を平成24年度のできるだけ早い時期に改定したいと考えております。また再起動につきましては従来から国の方針四国電力の姿勢 地元理解の三条件を総合的に判断していくとの方針を一貫して示してきたところでありまして、その考えに変わりはございません。」

阿部議員再質問:
最後に、平成24年度に早期に改定すると言っていますが、改定されていないわけです。地域防災計画、原子力の防災計画が改定されていないわけですから再起動はできないはずです。お答えください。

県民環境部長答弁:

「それから防災計画の改定なしに再稼動をするのかという話につきましては 県では防災対策には終わりがないという考えのもとで陸路が遮断された場合のヘリコプターを使用した職員搬送とか海路での住民搬送、(優先けん)通信網が遮断された場合における衛星携帯電話の活用といった新たな課題に対応してそれらを盛り込んだ訓練等を行っておりまして、それと再稼動の問題とは別物と考えております。」


 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 再稼働関連:電力需給につい... | トップ | 4/15には集会へお集まりください »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

県議会」カテゴリの最新記事