今日の一貫

生産調整政策見直し 農地利用自由化 規制改革会議 

規制改革の3次答申、22日公表、26日閣議決定。
わざわざ、麻生首相、規制改革の提言を重く受け止め、実行するとのメッセージを出す。
そりゃそうだ、人気がないのは改革に後ろ向きだからだ。
それにしても、今回ほど農水省交渉がスムースに動いた年はなかったのでは。

生産調整政策見直し、農地法改正の規制改革案をそっくりそのまま農水省受け入れ。
本質を担保すれば、手法はいろいろあってOK。
いろいろやれる条件作りが大事。
どちらのイニシアティブで改革答申にしたかは農水省に花を持たせるかっこうに。
農水省も、このところ食料法改正や農地法改正等の法案提出準備で元気づいているのではないか(逆に反省で意気消沈しているという情報も入ってくるが、)今年後半の政策は至極まとも。

今年このブログでもっとも受けたのが「族議員内閣制」。
農水省、「農水省改革のための緊急提言」(081127)で「族議員内閣制」への明確な決別を宣言した。

「農林水産省の政策決定プロセスは、影響力を持つ勢力との円滑な調整に重きが置かれ、不透明で閉鎖的なものになっている」とし、「調整型プロセスとの訣別と開放的な参加型プロセスへの移行」を高らかに謳った。

流れが改革に向き始めたが、しかし、今後どのようなことがおきないとも限らない。全中・族議員集団は、中川義雄、山田俊男氏ら有志の参議院議員で、新たな圧力団体「農業・農協研究会」を11月に立ち上げたという。
全中から山田議員へのお願い、という文書を机におき内閣府の職員に、全中案通りの文言の修正を要求したという。実際これとは別に自民党との折衝で文言修正があったのは微細な2-3に過ぎない。

民主党にも上記圧力団体に同調する向きがあると言うから、今後とも予断を許さないが、ただ、農業を成長させない政策はどんなに言いつくろっても良い政策ではない。
課題はたとえどんなに制度が改革されても、肝心なのは、経営者・人であり、良い人材が農業に入ってこなければ元の木阿弥になることも確かだ。農業の可能性を引き出せるか否かは、知恵を生かす構造が農業に定着するかどうか。
そうした意味では、法人の参入は是非とも必要な改革だったのだが、しかし法人だから良いわけではない。
現に家族経営でも、1億円を超える販売額をもつ経営者は多い。およそ2400戸ほどある。立花隆も、アメリカの9割の農家は家族経営だ、といって驚いていたことがある。法人化や農業生産法人の規制緩和、農地利用の自由化、生産調整の廃止は、あくまで経営でのノウハウ創出、知識創造のベースとなるのでそうした方が可能性が広がると主張しているにすぎない。

制度改革の次は人の問題だとなった時に何が課題かと言えば、その知恵の創出システムをいかにビルドインするかになる。
そのためにより広い世界に人材の供給を求めることが肝要。
農家資格者400万戸だけはなく、、全国400万有余の会社や1億の国民に期待するということだ。
実際400万戸の農家資格者と言っても、現実に農業経済活動をしている農家(販売農家)はその半分の179万戸、そのうち700万円以上の農産物販売農家はわずか20万戸でしかない。
そこで彼らのノウハウを普及するとともに、さらに、外部に人材を求める必要がある。
しかも農業を行うという一点において参加者の権利は全てイコールフィッティングでなければならない。そうした条件が少しづつ整いはじめたということが日本の農業にとっては大事なのである。
それを族議員のように押さえ込んではいけないと言うことでしかない。

農業に必要なのは、経営手法の開発、顧客対応、ビジネスモデルの開発というのはいつもも言ってること。

規制改革会議に関する23日付日経新聞記事をのっけておこう。


規制改革会議、減反、来年廃止を――第3次答申、労働者保護も言及。2008/12/23, 日本経済新聞 朝刊, 3ページ, , 760文字

 政府の規制改革会議(議長、草刈隆郎日本郵船会長)は二十二日、第三次答申を決定した。二〇〇九年中の「減反」の原則廃止など農業分野での改革に踏みこむ一方、労働分野では雇用情勢の急激な悪化を受けて労働者保護の必要性にも言及したのが特徴。政府は二十六日、答申を最大限尊重する閣議決定をしたうえで、来年三月に「規制改革三カ年計画」を再改定する。(答申の要旨5面に)
 答申は「医療」「福祉・保育・介護」「雇用・就労」など十九分野にわたる。景気後退が深刻になる中、規制緩和への取り組みは停滞感が強まっており、草刈議長は二十二日の記者会見で「規制改革が逆の方向に行っているという印象を持っている。極めて遺憾なことだ」と懸念を示した。
 労働分野では非正規労働者への雇用保険の適用拡大など安全網の拡充を提言。一方で、前回答申にあった「派遣労働の派遣期間の制限、業種の限定の完全撤廃」という文言がなくなり「(規制強化の)監視が必要」との表現にとどまった。
 インターネットによる医薬品の販売への規制強化は厚生労働省との調整がつかず、答申では言及しなかった。七月の中間報告で打ち出していた混合診療の全面解禁も明記を見送った。これまで同会議が反対を表明してきた国土交通省によるタクシーの新規参入・増車規制強化への対応も結論を先送りした。
 同会議が答申の重点分野と位置付ける農業では「減反」を原則廃止して〇九年中に生産者が自らの判断で品目や生産量を判断できる新たな需給システムを構築するよう提案。米粉用や飼料用などの新規需要米を本格生産するための体制整備を急ぐよう求めた。
 先端医療分野では(1)未承認の医療機器を臨床研究に提供するためのガイドライン作成(2)臨床研究段階での医師の立ち会いなしでの自家細胞の培養・加工の解禁――などを提言している。

二、農林水産業・地域
【農林水産業】
○個人・法人の農地利用参入を促進
○農地情報のデータベース化など農地政策改革
○農業生産法人の要件見直し
○農業委員会の農地所有○利用許可や利用調整の透明性確保
○「減反」を見直し、水田をフル活用できるコメ需給調整システム作り
○コメの品種確定にDNA鑑定を導入検討
○農業共済組合経営の透明化
○TAC(漁獲可能量)の厳正化、設定魚種の見直し

コメント一覧

ikkann
大臣がかわると政策も変わる
政治に翻弄されてきたのが農業です。大臣や政権が変わると変わってしまう可能性大でしょうね。
大臣には人を得ることが大事です。過去にあまり統治能力を持った政治家もいなかったものですから、官僚が「自分たちが」となるのは必然です。が、そこにまた日本の落とし穴があったのだと思います。
田中
質問なのですが、首相が代わって、農水大臣も代わると、こういった改革は一旦全部流れてまた元に戻ってしまうのでしょうか・・・?大泉氏の仰るとおり、農水省の改革だけはまともに進んでいるのかもしれませんが、今の内閣があまり長持ちしそうにありません・・・。
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