今日の一貫

農林水産資源の小利用国 日本

昨日中にどうやら原稿を書き上げ、今朝出版社に送付。
その一部(4分の1)は、「国内資源を利用できない日本」
省資源利用国日本、、だ。

以下
日本の農業が縮小し、国際競争力がなく、結果として生産制限が必要だという言説がまかり通るのはなぜか?

常識的には価格が低迷したためといわれている。
しかし、それも結局のところどうなのか?

本来なら成長するはずの1次産業を衰退させてしまう社会構造が我が国に根強くあるためと考えた方が良いと私は思っている。

その構造を、一言で言うと、我が国の資源利用に対する考え方と、それに基づく制度の有り様だ。
少ない資源を最大限利用するより、所有することを優先させる社会構造であり、戦後はその傾向を特に強くした。
我が国は小資源国と言われている。
だから加工貿易国として発展していくのがいいというのが、これまでの我が国の基本的戦略だろう。
資源が本当に少ないのかはともかく、小資源利用国であるのは確かである。
農地も465万haもありながら、生産性の低い作物でカバーされ、耕作放棄地が埼玉県や滋賀県と同じ広さあるというのだから。
森林資源も、間伐もせずに放置され、海外からの輸入に頼っている。
世界有数の海岸線を持つ国でありながら、近海漁業も細々としたものでしかない。
我が国が小資源利用国となったのは、
①資源小国といった既成概念から海外依存を高めたことや、
②生産物の内外価格差のせいにされることが多く、
逆に資源小国だから、少ない資源を最大限使うという発想にはならなかったのが大きい。

資源を有効に使わないから、生産性も低く、我が国の1次産品の価格は相対的に高いものとなる。
海外の農産物価格や、外国産木材、海外水産物が安いから、我が国の1次産業は衰退し、農地利用率は下がり、耕作は放棄され、国内林業や水産業も衰退する。
1次産業が衰退するからますます海外依存度を高める。
こうした循環構造が我が国1次産業の実態である。多くの国民はこうした状況を「しょうがないこと」、と受け止め、我が国の常識としている感がある。
海外の事例も参考にすれば、我が国の1次産業の課題は明白で、資源利用小国であり、最大限に利用すると言ったところに視線がいかない。

その元凶を探れば、
①資源を利用するより、所有することを優先する所有優位の思想があり、
②農林水産省の法律や制度も、すべからく所有維持の思想に基づいて構築されている点が上げられる。
我が国の1次産業は、利用を重視する発想が構築されず、低利用が促進されているため、生産性が低く、国際水準のコスト競争に負けているのである。
それを自然や風土条件に運命的づけられたものとして、我が国の農業には国際競争力がない、といった言説になって流布しているだけではないのか?
必要なのは、利用を大切にする意識を醸成し、せめて制度や仕組みだけでも利用本位の構造に作る変えることである。
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