IKUTO-bot

アッラアアア

宝島 6

2019-01-27 | 宝島 ワンダーランド
ある日トランの様子が変だった。

体が震えて何かに怯えた様だった。
いつも元気なトランが、恐怖に怯える姿に相田はとても驚いた。
そして、どの母親も我が子にそうするように、トランを抱きしめた。相田はトランを非常に心配していた。

トランは震えながら相田に抱きつき、怖い
、怖いと繰り返した。

相田は心配と共に、トランを抱きしめ、安心させようとした。そしてもし自分に子供ができたら、と想像した。

自分も子供がいてもおかしくない年であり、こんな風に抱きしめることは普通の事になっていたかもしれない、と思った。

相田に今付き合っている人はいない。
30を目前にして、周りは結婚している人が多くなっている。

この島へ来る前は、そんな、結婚の波に乗り遅れた悩みを抱えた同世代の同人種が集まった、女子会の後だった。

相田は決してモテない訳ではない。
これまでにも何度か、男性からのアプローチを受けたことがある。

それでもいつも何かしらの口実をつけて、断ってしまうのだ。
そんな相田も、もう30歳。
結婚に対する周りからのプレッシャーがとても大きくなっていた。相田自身も、焦りを感じ始めていた頃だった。


そんなことを考えながら、トランを抱きしめ、背中を撫でていると、トランが一言言った。

みんな、殺される。
コメント    この記事についてブログを書く
« 粉洗剤を洗濯物に残さない画... | トップ | 宝島 7 »

コメントを投稿

宝島 ワンダーランド」カテゴリの最新記事