ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮、同人誌の話他

史実と歴史創作と人間

2020年02月08日 | 文学・歴史・美術および書評
ヒロアカでちょっとトラブルあったの見てましたが

史実、ことに
近代史って、日本人はなかなか授業でやらないですよね…。

3学期に駆け足。幕末過ぎたらそこそこです。
私もあんまり詳しくない。
オタクだから興味持ったとこを掘るだけだし、
しかも日本人である限りある程度
「日本人に都合いい」歴史認識に溢れて生活している。
おそらくそれが日本人の都合かどうかすら、普通に生きてる限り「知らない」ですよ。
普通は教えられるから知るんですもの。
吉田茂を描いたけど
そもそもどこらへんからが歴史??
オウム真理教事件ってもう歴史…だよな?
なんてのもあります。
しかし自分はあれが起きた時代を通ってきていながら、全て真実を知り得てはいません。興味無いし。


こんな本を読んでます。一昨年前に発行された本。


もしも歴史「史実」に
完全なエンターテイメントだけを望むなら、
荒唐無稽で構わないかも。
現実逃避なのだから。

でも
フランス革命や源平は華やかな合戦で
第二次世界大戦は悲惨?
そんなこたありません。
戦のリアルなんて狂気の沙汰でしかないのよ。

この本には当時の「民衆」といいますか
人間そのものが載ってます。
官軍に死体損壊、カニバリズムがあったり
薩摩も脅して従軍させたり
レイプも横行する一方で
戦場で上手くお金儲けする人もいたり…
コロナウィルス問題になってるけど
明治10年はコレラが流行ったりしてた。
戦争の大きな流れでなく
同時多発的に発現する個人的なあれやこれや
これを踏まえて時代は動いている
という考え方をする事は今後大事なのではと思っています。


歴史「創作」に対して
完全にリアルを再現し体感させろと望むなら、それは世間知らずのサドマゾ趣味にすぎないと思うのです。

完全体感したいなら、今すぐシリアに行ってみたら?なんて意地悪は言いませんが

歴史創作はいくら史実をないがしろにしたくないと思っても
創作したりはしない人からの、まるで歴史のテストでも受けるような形の不満を聞き入れる事はないのだと思います。

なぜなら目的が違いすぎるからです。

大河ドラマや漫画に対して
創作そのものの意義を否定する人もいますが
「フィクションです」と注意書きをするのは、作者の逃げではなく
むしろ創作に対しての真摯さである
となんでわからないのやら。


創作は何が正しく何が間違いかをチェックするところではなく

それこそ、大きな歴史の流れの中で
右往左往したであろう、
非力であり、まんざら非力でもない人々の
人としてのあり方に思いを馳せる
人に対しての想像力なんではないかと思います。

何も知らない、知り得ない
自分の事すらよくわからない
でも、きっとそれを知ったり考えたり思ってみたり
どうしようもなくウロウロするのが
AIでなく人間なんだろうな。

それを楽しめたらなと思います。

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