ハニカム薔薇ノ神殿

西南戦争の現地記者の話他、幕末〜明治維新の歴史漫画を描いてます。歴史、美術史、ゲーム、特撮などの話も。

堀辰雄の書いたBL小説「燃ゆる頬」感想

2020年08月21日 | 文学・歴史・美術および書評
「エモい」という言葉のシニフィエ(言葉のもと概念)がよくわからんのですが
多分、情動的なもんだろうな〜と思ってます。
使えるのかこの言葉は。

最近買った川端康成の「文芸時評」
この中で、堀辰雄の「燃ゆる頬」、
川端康成がテンション高めに推していたので、
「青空文庫」で読んでみました。(探したらあった…)

あ、
ちなみに「文豪とアルケミスト」のアニメはまだ全部見てないです。今5話まで。
堀辰雄もイメージキャラ出てくるみたいですね。

いや、これはジブリのこれ↓より


作品からのイメージに関しては「文アル」の方がジブリの100倍くらいバッチリ掴んでるよ!という気がしますが。

堀辰雄はその「風立ちぬ」のイメージが強かったです。
少年愛モノやってたのですね。知らなんだ。


タイトル「燃ゆる頬」

寄宿舎、男子校もの。
登場人物メインはわずか3人。
森鴎外の「ヰタ・セクスアリス」思い出すけど、アレは悪文の代表みたいなもんだからな。こちらの方が読みやすいです。


そして…感想が…すいません;


「これはエモい!」
使っちゃいますよ「エモい」。(ええねんシニフィエとかもう!!)
これしか出ないです。

「エモい」使うと、その闇の中の揺らめく炎みたいなものを
どう表現するかをマネージすることなく済むからね…
使うと一言で終わってしまう、便利かつ危険な単語だな。


ストーリーとしては、先日たまたま見た映画の
「イミテーション・ゲーム」を思い出してしまいました。
しかし、GAGA制作のあの映画と決定的に違うのは
自分はゲイです異常です、とかそういう細々した「世間のルール」との板挟みで悩み悩むというものが無くてですね…
ひたすらそういうのと無縁。

川端康成がこれを
「作者の感性が少年のような清潔な裸でいることは、全く驚くべきである」
とさすがの名文で書いてました。
その通りです。

少女らを前にした時のちょっとしたすれ違いとか
自然に二人が近づいて触れて
その距離感が上手い…
堀辰雄らしく「病魔」は出てくるけども。

この作家の「美」というのは、幽玄ではないけど
生死の境だったり、エロと健全の境だったり
緊張感のある繊細なボーダーライン上にあるのかもしれない。
あやふやで曖昧で霞んでて、よくわからない所から
何か魔物っぽいものをを引き摺り出してくるんだけど
それがちっともおどろおどろせず、キラキラ綺麗に描くのですよ

堀辰雄は怖い…ほんとに怖い作家だなあ。

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