1,2階席は京都から来た修学旅行生の一団と、某厚生年金受給者の一団で満席でした。
定番の御家乗っ取り話ですが、軽い喜劇ですね。歌舞伎入門に適した演目です。
司会は中村隼人クン。代表的な若手俳優さんです。普段は撮影禁止ですが、この挨拶だけはOK。高校生たちに、#歌舞伎みたよ! ってSMSしてくださいとお願いしてました。
ファンを広めるため頑張ってます。
長い間投稿をさぼっていました。やはり記録していないと記憶が薄れると反省しきりです。
この数年、伝統芸能鑑賞に目覚め歌舞伎、文楽、神楽などを見歩いています。歌舞伎では芝翫、雀右衛門、勘太郎と長三郎兄弟の襲名披露が華やか に行われたところですが、チケットの入手困難で見てはいません。文楽では4月から豊竹英太夫あらため豊竹呂太夫の襲名披露公演が国立文楽劇場と国立劇場で行われます。
国立劇場の文楽のチケットはいつも早い時期に完売ですが、大阪の文楽劇場はとても入手しやすいのです。今回も座席に空きが目立ちました。大阪公演はチケットをとりやすいこともありますが、ことし2月(国立劇場50周年記念近松名作集公演)に東京で見逃した『曽根崎心中』を見たくて仕方ありませんでした。
ということで大阪までいってきました。襲名披露の口上は歌舞伎の重々しさとは異なって文楽はとても気楽な雰囲気です。ご本人は一言も語りません。豊竹咲太夫さんの重々しいなかにも優しさがこもった披露口上、鶴澤清治さんの軽妙な挨拶、桐竹勘十郎さんは長年の友人らしさを感じる挨拶を述べました。暖かさを感じます。
第一部の演目は、『寿柱立万歳』、『菅原伝授手習鑑』。茶筅酒の段、喧嘩の段、訴訟の段、桜丸切腹の段のあと『口上』をはさんで寺入りの段、寺子屋の段の構成です。寺入りの段は豊竹呂勢太夫と鶴澤清治、寺子屋の段は前:豊竹呂太夫と鶴澤清介、切:豊竹咲太夫と鶴澤燕三。主な人形は松王丸:吉田玉男、女房千代:桐竹勘十郎。
第二部は、『楠昔噺』と『曽根崎心中』。『楠昔噺』は初めて観る演目で後醍醐天皇や楠正成が登場する「太平記」を掴んでいない私には取りつきにくいお話。といっても基本は親子の情愛と武士の張り合いが軸なので、わかりやすいお話ではあります。
『曽根崎心中』 は心中物といっても、罪を犯して死を選ぶ『冥途の飛脚』とは違い、名誉を重んじて死を選ぶ徳兵衛の意地と男を慕うお初の心を描いた物語。生玉社前の段、天満屋の段、天神森の段。人形はお初:桐竹勘十郎、徳兵衛:豊松清十郎。
映像収録のカメラが3台入っていましたので、いずれNHKで放送されるかと期待しています。
昨年の4月にも大阪に行ってます。『妹背山婦女庭訓』の通し上演があり、11日に造幣局の通り抜けを見ることができました。
今年は開花が遅れたので通り抜けも1週間ほど遅くなり、最終日の17日、文楽の上演時間前にささっと通り抜けしてきました。
桜といえば吉野ですが、昨年の吉野は10日ごろまでが見頃で文楽の翌日には天気の具合が悪くて行きませんでした。ことしは18日に思い切って行ってきました。17日の夜に雨が強く降った影響を受けて上千本の桜色は薄くなっていました。奥千本はまだ蕾でした。
メモです。近鉄吉野駅から中千本公園まで路線バス、中千本公園から金峯神社前までシャトルバスがあり、一挙に奥千本まで上がることができます。金峯神社から中千本、蔵王堂、吉野駅まで1時間ほどかけてゆっくりと坂道を下ってくると楽です。竹林寺と金峯神社間のシャトルもあります。
文化の日、川崎市生田緑地にある日本民家園は無料公開日。園内にある「船越の舞台」で、秋川歌舞伎あきる野座の公演がありました。出演は5歳から中学生までの子供だが、人手が足りないところは高齢者も加わっている。
演目は、『義経千本桜 伏見稲荷鳥居前の場』。義経の家来佐藤義信(実は狐の化身)が静御前を助ける場面。義経、弁慶、狐義信、家来たち、静御前、追っ手を子供たちが、捕り手4人を大人が演じている。
藤太は長いセリフも多く、かなり名優でした。
あの忠臣蔵の全段を通しでみる機会がようやくきました。
2013(平成25)年12月の歌舞伎座 昼の部、夜の部では大部分を上演したのですがすべてではありませんでした。今回は国立劇場開場50年記念イベントとして完全版として全てをみせてくれるのです。かなりの上演時間になるので、10月から12月まで3回にわたっての上演です。きょうは11時開演-16時15分終演(途中休憩2回55分)です。
大劇場3階の3等席最後尾列の中央に席を確保できました。オペラグラスがあれば顔、視線までよく見えます。
10分前に開演を知らせるブザーが鳴りました。口上人形による配役と役者紹介です。人形浄瑠璃の慣習をもとにしているそうです。エヘン、エヘンと咳払いをして看板役者の名を呼びます。人形の動きが滑稽なので雰囲気がとても和らぎます。
木の音とともに大序「兜改め」がはじまるのですが観客席は若干ざわついています。東西東西の掛け声(場内静かにねという意味だそうです)とともに静寂になり、定式幕がゆっくり、ゆっくりと引かれていき、はじまりはじまりです。登場人物は首を垂れた人形の形であり、七五三の置き鼓、浄瑠璃で人物紹介されると息を吹き込まれ、人間になるというこの作品だけの演出だそうです。
大序:鶴ケ岡社頭兜改めの場
二段目:桃井館力弥使者の場、松切りの場
三段目:足利館門前の場(進物、文使い)、松の間刃傷の場、裏門の場
四段目:扇ガ谷塩冶館花献上の場、判官切腹の場、表門城明け渡しの場
三段目の「文使い」「裏門」は国立劇場では昭和63年以来28年ぶりの上演、四段目「花献上」は東京でも昭和50年以来の上演だそうです。
これまで、おかる勘平は悲劇=奉公人同士は恋仲になってはならないというきまりゆえの悲劇かと思っていました。三段目「文使い」「裏門」をみて二人が逃避行に至った筋がよくみえました。塩冶判官の妻顔世御前の言いつけに従わずに、勘平会いたさに高師直に手紙を早めに届けてしまい、その結果、主君の刃傷沙汰を誘発させてしまったおかると、おかるの誘いに乗って情事にふけったために城から締め出され刃傷沙汰後の主君の様子をつかめなくなり職場放棄・逃亡した勘平のオフィスラブの果てだった・・・と。江戸時代の台本なのですが現代風なストーリーでもあります。おかる勘平を悲恋に仕立てたのは昭和の時代劇映画だったのでしょうね。
本蔵の娘小浪(米吉)は美しかったなあ。11月の第二部、12月第三部は、菊五郎、吉右衛門ら看板役者の出演です。楽しみです。
川崎市にある岡本太郎美術館に行ってきました。『岡本太郎が愛した沖縄』展が開催中です(4/23⇒7/3)。
岡本太郎は画家として知られていますが、民俗学者であることはあまり知られていないようです。もう一つの顔は写真家でもあります。この企画展は岡本太郎が1959年と1966年に撮った写真(静止画)を200点近く展示しています。
1966年には久高島のイザイホーを取材しています。イザイホーとは沖縄本島の東南にある小さな島・久高島において12年に一度行われる女性だけによる神事。岡本太郎は民俗学者として強い関心をもったのでしょう。その記録は「忘れられた日本-沖縄文化論」として発表されています。
イザイホーは後継者が絶えたために1978年を最後に行われていません。映像記録として貴重なものです。企画展では東京シネマ新社が撮影した動画(30分程度に抜粋)も上映しています。イザイホーの様子がよくわかります。なおこの映像は、インターネットでもみることができます(科学映像館HP)。
この企画展で展示されている画像のほとんどは無料で配布されている出品リストに掲載されています。
リストの写真は、写真集『岡本太郎が愛した沖縄』に掲載されたものと同じと思われます。無料の出品リストはたいへんに有難いものです。企画展のチラシ(下記)は写真集の表紙を模したものです。
渋谷のアプリンクでは『久高オデッセイ 第三部風章』が上映されています(4/16~4/29)。
朝日新聞で紹介されたので観てきました。イザイホーの映像はありませんでしたが、久高島で神事が継承されてきたことがわかるような気がしました。
海に囲まれて暮らす日本人は、潮の流れに支えられて生活してきたことを都会で暮らしてきた私たちにも思い起させます。