命きらめいて☆馬、犬、猫など動物に関する理不尽な事件や心温まる出来事の記録

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獣医たちの責任

2016年06月03日 11時34分06秒 | 事件

メ~テレ提供写真(乾草を与えようとする乗馬クラブ関係者と取り巻く警官たち)

多くの人たちが涙を流した事件だった。バロンのニュースを見た人たちは口をそろえて、かわいそうだったと言う。現場の近くに住む友人はそれに加えて「恥ずかしかった。」と言った。自分もあの映像が世界に流れたのだとしたら、日本人として恥ずかしいと思った。あまりにいい加減で、オマヌケな捕物劇だったからだ。ネット上にも「泣いた。」などと悲しみの声があがり、チームの無能ぶりを嘆くコメントが続々と寄せられた。一方、二人の獣医はそれぞれ「初めてなのでわからなかった。」と言い訳し、悪びれもなくそうコメントする獣医たち…。医療従事者としてはずかしくないのだろうかと思った。

確かに、シマウマを捕まえることにおいては詳しくなくて当然だし、時間がかかったり手間取ることはしかたがないことだ。そんなことを責めたりする人たちよりも、真剣にやっていたかということに腹を立てる人が多かったように思う。

さらに詳しく調べて行くと、信じられないことに体重の二倍の量の薬をバロンに打ち込んだことがわかった。


NHK NEWS WEB
2016.3.23
麻酔の吹き矢は11本。獣医師が吹き矢3本を使って麻酔薬およそ300ミリグラムを打ち込みました。しかし、麻酔は十分に効かず、シマウマは逃げ回りました。このため、別の獣医師も加わって、午後0時半までにさらに8本の吹き矢を打ちました。この結果、麻酔薬合わせておよそ1300ミリグラム、通常は体重520キロの馬に効く分量が体内に入ったということです。
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160323/k10010453671000.html(リンク切れ)

NHK NEWS WEB (詳細記事)
愛知県瀬戸市の乗馬クラブから逃げ出し、隣接する岐阜県土岐市のゴルフ場で23日朝からおよそ5時間にわたって逃げ回っていたシマウマは、23日昼すぎ、池の中で動けなくなったところを捕獲されましたが、まもなく死にました。獣医師によりますと、溺れて死んだとみられるということです。
このシマウマは、22日夕方、愛知県瀬戸市の乗馬クラブ「三国ウエスト農場」から逃げ出した2歳のオスのシマウマです。



一夜明けた23日午前6時半ごろ、瀬戸市の隣の岐阜県土岐市の国道で見つかり、その後、土岐市妻木町のゴルフ場「名岐国際ゴルフ倶楽部」に逃げ込みました。シマウマは、コース内を走ったり、池を泳いだりして、5時間余りにわたってゴルフ場内を逃げ回りました。
そして、麻酔の吹き矢によって動きが鈍くなったまま池に入り、23日午後0時40分ごろ、警察官らに引き上げられましたが、まもなく死にました。
捕獲に当たった獣医師によりますと、溺れて死んだとみられるということです。

麻酔の吹き矢は11本

捕獲にあたった獣医師などによりますと、シマウマは、吹き矢で麻酔薬を打ち込み、動けなくなったところをトラックに載せて運ぶ予定だったということです。

まず、獣医師が吹き矢3本を使って麻酔薬およそ300ミリグラムを打ち込みました。しかし、麻酔は十分に効かず、シマウマは逃げ回りました。このため、別の獣医師も加わって、午後0時半までにさらに8本の吹き矢を打ちました。この結果、麻酔薬合わせておよそ1300ミリグラム、通常は体重520キロの馬に効く分量が体内に入ったということです。

捕獲にあたった岐阜県土岐市の嘱託獣医師、服部明さんは「野生のシマウマを見たのは初めてで、どんなふうにやっていいのか分からず、なかなかうまく薬が注入できなかった。麻酔が一番効いた状態でシマウマが池に入ってしまい、泳ぐことができず最悪の結果になった。何とも言いようがありません」と話していました。


メ~テレ提供写真(吹き矢を打つN獣医師と乗馬クラブ関係者)


バロンの体重は約200キロだと発表されている。つまり、合計でポニーの大きさの馬に倍以上のサラブレッドほどの馬に効く薬の量が打ち込まれたというのだ。この記事を読んで本当に驚いた。いくらシマウマが麻酔の効きにくい動物だとしても、倍の量は恐ろしすぎる。溺れる前はじっとして動かないでいることが多くなっていたにもかかわらず、7本目の吹き矢を打ちこんだのだ。それも、池のそばで池の方を向いてじっとしている時に!

これで、薬の過剰投与によるショック死という線が打ち消すことができなくなった。麻酔をかけて眠らせて捕獲するという作戦だったと言うが、これではもう、死んでもいいから捕まってくれ!とでも言うような処置ではないだろうか。

麻酔による捕獲作戦のキーマンは紛れもなく、麻酔を任されている獣医たちだったろうと思う。まだ昼過ぎで、時間はまだ十分残されていたのだ。それに、夜通し逃亡していたシマウマは薬のせいもあって動きが弱まってくる様子がニュース映像からは素人目にも見て取れていたのに…。もう少し気長に待てば薬が効いて倒れるところではなかったのか?なぜ、そんなに急いで打ちまくったのか?

他のニュースの中でも、主となった二人の獣医の実名は報道されている。後半吹き矢を担当したN獣医師は多治見市の犬猫病院の院長だ。「シマウマは初めてなので動転してしまった。」と取材で答えていたのは土岐市の属託職員のH獣医師で陶史の森公園の小さな動物園でウサギや羊たちを診ている獣医だ。背後からバロンの身体に何のためか触ろうとして、膝を蹴られていた様子が映っていたのを見て、ああ、ダメだと思った。明らかに馬を知らない行動だ。もう一人、途中から獣医師らしき若い男性が加わり、最後の場面で心臓マッサージをしていたが、麻酔が何本も打たれるのを見ていただけだった。

警察の加わる捕獲チームがシマウマや馬などに詳しい獣医師をなぜ用意しなかったか、できなかったかわからないが、あまりに人材不足で情けなく思う。麻酔が難しいと言われるシマウマなのは承知で書かせてもらう。やみくもに打つのではなくて、麻酔の量や効き具合について注意を払ってくれて、いつ、どこで、どのくらいの薬を打てば安全に眠らせることができるのかを想定し、計画できる獣医師が用意できていればと思うと残念でならない。