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行政指導が入った天王寺動物園

2016年06月05日 16時03分51秒 | 事件
この愛護団体のさらなる活躍として、天王寺動物園からの回答書とほぼ同時に大阪市の動物愛護担当部署からも回答書を手に入れたことがあげられる。

<シマウマの死>大阪市の動物愛護行政から天王寺動物園に指導
http://animals-peace.net/law/tennojizoo-osakacity.html


動物愛護行政からの回答書には譲渡先についての団体からの抗議に対して、

「A(動物商T)がどの程度シマウマの飼育方法について未知であったかは、Aのみが知ることであり、天王寺動物園側にはわからないことですので…。」

「今回の問題点の一つに、購入者が十分にシマウマの生態、とくに跳躍力や見知らぬ人間からの逃避傾向などの逸走に関する知識を有していなかったことが挙げられるかもしれません。ただし、実際の取引現場にあっては、Aがどの程度シマウマの飼育方法について未知であったかは、Aのみが知ることであり、天王寺動物園側にはわからないことですので、実際はAの側からシマウマの飼育で不明な点について天王寺動物園に尋ねるか、あるいは、初めから流通先としてBへの引渡しが決まっていたのであれば、Bが直接天王寺動物園に説明を求めるよう、AがBに提案する方法も考えられます。ただし、説明は対面が原則ですので、Bが天王寺動物園へ来られない場合は、Aが仲立ちをすることが必要です。」

と責任転嫁のような訳の分からないことを回答として書いている。どんな場合でも条件抜きで、対面で詳しくその動物に関する説明をしなければならないはずだ。わかりにくい文面はこういった文書のお約束らしいが、結局、天王寺動物園は動物商Tにも、転売先のGにも、シマウマのバロンについて説明していなかったのではないかと自分的には解釈している。

最終的には

第八条  動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の種類、習性、供用の目的等に応じて、その適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明をしなければならない。
2  動物の販売を業として行う者は、購入者の購入しようとする動物の飼養及び保管に係る知識及び経験に照らして、当該購入者に理解されるために必要な方法及び程度により、前項の説明を行うよう努めなければならない。

という動愛法を広くとらえて、たとえ交換譲渡した動物商が転売した先であろうと新しい飼い主に対しては動物商か、動物園が対面して説明するべきだったと考えられているようだ。

ここではっきりさせたいが、天王寺動物園はバロンを交換譲渡した動物商Tにシマウマのバロンについて、しっかり説明する義務があることは間違いない。そして、それをしていたら、おそらく行政指導までは無かったのではないかと思われる。

「説明を行うこと」ではなくて「説明を行うよう努めなければならない」という表記ではやはり、強制力が弱くて断罪が難しいのかもしれないとも思う。また、飼育される施設を確認することまで、法的に求められていないことは予想した通りだった。

今回の場合は天王寺動物園において、移動動物園の輸送車への収容訓練が行われ、ここから直接、新しい飼い主がバロンを輸送して行ったことから、動物園にも説明責任があると判断されたのかもしれない。

続いて、シマウマの繁殖については「天王寺動物園のコレクションプラン」によると「シマウマは繁殖推進種であり…繁殖の目的は展示充実」であると書かれていた。計画を立てて、繁殖していると言いながら、ここでもやはり、なぜバロンがいらなくなったのかを説明はされてはいなかった。バロンの出生とともに、十分な説明責任を果たしたと言えない内容である。

また、捕獲時の援助については応援や助言の義務はないとの見解が示された。「動物の逸走防止対策を行う義務は飼養者にあるとの規定です。であっても、現実には、所有者がその動物の身体能力その他逃走を防止するのに十分な知識を有さないことが考えられますので、前述の飼養管理に必要な情報提供が行われる仕組みとなっています。」ゆえに、逃げないように飼養するための説明が譲渡する前に必要だったということだろう。しかし、義務はなくても説明不足を悔やんだのならば、普通は助言くらいはするものではないかと思う。

指導内容のまとめを抜粋してみた。

【平成28年4月11日に大阪市動物愛護相談室が天王寺動物園に立入した際に指導した内容】

① 動愛法施行規則第八条第五項のイからソの情報を十分に提供すること。
② 特に、シマウマといった一般に飼養機会の少ない動物を払出しするにあたっては、仮に相手先が類似種のウマの飼養に精通しているといった場合であったとしても、相手先に対して、野生動物と家畜の違いなど、同項ソのその他当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項を説明すること。特に、飼養及び保管が技術的に困難な販売動物に関しては、情報の提供は詳細に行うこと。
「天王寺動物園側も、指導に従い、今後は適正飼養に必要な情報提供をより十分に実施し、再発防止に努めるとのことです。」
【動愛法施行規則第八条第五項のイからソ】
五  販売業者にあっては、第一種動物取扱業者を相手方として動物を販売しようとする場合には、当該販売をしようとする動物について、その生理、生態、習性等に合致した適正な飼養又は保管が行われるように、契約に当たって、あらかじめ、次に掲げる当該動物の特性及び状態に関する情報を当該第一種動物取扱業者に対して文書(電磁的記録を含む。)を交付して説明するとともに、当該文書を受領したことについて当該第一種動物取扱業者に署名等による確認を行わせること。ただし、ロからヌまでに掲げる情報については、必要に応じて説明すれば足りるものとする。
イ 品種等の名称
ロ 性成熟時の標準体重、標準体長その他の体の大きさに係る情報
ハ 平均寿命その他の飼養期間に係る情報
ニ 飼養又は保管に適した飼養施設の構造及び規模
ホ 適切な給餌及び給水の方法
ヘ 適切な運動及び休養の方法
ト 主な人と動物の共通感染症その他の当該動物がかかるおそれの高い疾病の種類及びその予防方法
チ 不妊又は去勢の措置の方法及びその費用(哺乳類に属する動物に限る。)
リ チに掲げるもののほかみだりな繁殖を制限するための措置(不妊又は去勢の措置を不可逆的な方法により実施している場合を除く。)
ヌ 遺棄の禁止その他当該動物に係る関係法令の規定による規制の内容
ル 性別の判定結果
ヲ 生年月日(輸入等をされた動物であって、生年月日が明らかでない場合にあっては、推定される生年月日及び輸入年月日等)
ワ 不妊又は去勢の措置の実施状況(哺乳類に属する動物に限る。)
カ 繁殖を行った者の氏名又は名称及び登録番号又は所在地(輸入された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては当該動物を輸出した者の氏名又は名称及び所在地、譲渡された動物であって、繁殖を行った者が明らかでない場合にあっては譲渡した者の氏名又は名称及び所在地)
ヨ 所有者の氏名(自己の所有しない動物を販売しようとする場合に限る。)
タ 当該動物の病歴、ワクチンの接種状況等
レ 当該動物の親及び同腹子に係る遺伝性疾患の発生状況(哺乳類に属する動物に限り、かつ、関係者からの聴取り等によっても知ることが困難であるものを除く。)
ソ イからレまでに掲げるもののほか、当該動物の適正な飼養又は保管に必要な事項

「天王寺動物園側も、指導に従い、今後は適正飼養に必要な情報提供をより十分に実施し、再発防止に努めるとのことです。」

と結ばれていた。

自ら回答書で答えた通り、今回の指導の通り、天王寺動物園はこれから「譲渡先の情報収集をし、動物に関する情報提供を十分行うこと」をしっかりと守ってくれることを期待したい。

これで、バロンを繁殖し手放した天王寺動物園、譲渡された動物商T、転売先の動物プロダクションG、預託先の乗馬クラブMに動物愛護行政の立入指導が入ったことになる。短く簡単な回答書しか無いようだが、そこには人間に運命を振り回され、ついには命さえも強制終了されなければならなかった、いたいけなバロンと、動物を物のように扱う人間たちの姿が浮き彫りになっている。あとは麻酔を過剰投与した獣医師たちへの行政指導だけだが、獣医師としての社会的な悪評を受けるという制裁?で相殺されたせいで、おしまいだったのかもしれない。



天王寺動物園のサファリゾーン(Photo by TapTrip/MASAKAZU)


サファリゾーンの向こうのサブグランドにデビューしたときの小さなバロンと母ナデシコ(天王寺動物園スタッフブログより)


天王寺動物園についての当時の橋下市長のつぶやき
https://twitter.com/t_ishin/status/285225487171723264



「世界一の都市型動物園」を目指している天王寺動物園(Photo by TapTrip/MASAKAZU)

【大阪府のまちづくり】
http://www.pref.osaka.lg.jp/daitoshimachi/granddesign/nanbatennoujiabeno.html
なんば・天王寺・あべのエリア
更新日:平成27年1月20日
世界(関空)と直結、大阪らしい食の文化とにぎわいを活かす

ポテンシャル
地形が感じられる坂道、みどり、寺町等大阪らしい風景
都心のど真ん中にある動物園
新世界のにぎわい、木津市場等食関連施設
電気街、ポップカルチャー関連店舗の集積
食・アミューズメント・ショッピング等が集積した、多様なにぎわいのミナミ など

短期の取組み
日本一の近鉄ビル・あべのハルカス
周辺施設と一体となったにぎわいの創出
世界一の都市型動物園をめざす天王寺動物園
生態的展示、緑陰都市を先導する魅力ある動植物公園

短・中期の取組み
難波駅前のみどり化
南海会館の建替えと併せた難波駅前のみどり化
「なんば」から「あべの」の一体化
緑陰の道を通るLRT(次世代型路面電車)でまちをつなぐ
動植物公園を核として、エリア全体の魅力を高めるエリアマネジメント


動物園の人間たちが大きな野望を持つと、犠牲になる動物が増える気がするのは気のせいだろうか。

行政指導が入ってもこの事件はまだ終われない。プラン通り生まれてきたはずのバロンが、なぜ出園対象になったのかという肝心な質問に対して、ごまかさないではっきりと答えてほしいと思う。

天王寺動物園からの回答書

2016年06月05日 12時24分07秒 | 事件
(2014年9月2日サバンナゾーンにデビューした時のバロン)

バロンに係わってきたすべての人たちがその時々に、誰か一人でもいいから、動物愛護法を守り、その責任を果たしていれば、あの仔はまだまだ元気に生き続け、恐怖の中で死ぬことはなかった。

この問題について考える前に、まず、動物取扱業者としての義務と責任についての基本的な愛護法の条文を読んでみよう。

(動物の所有者又は占有者の責務等)
第七条  動物の所有者又は占有者は、命あるものである動物の所有者又は占有者として動物の愛護及び管理に関する責任を十分に自覚して、その動物をその種類、習性等に応じて適正に飼養し、又は保管することにより、動物の健康及び安全を保持するように努めるとともに、動物が人の生命、身体若しくは財産に害を加え、生活環境の保全上の支障を生じさせ、又は人に迷惑を及ぼすことのないように努めなければならない。

3  動物の所有者又は占有者は、その所有し、又は占有する動物の逸走を防止するために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
4  動物の所有者は、その所有する動物の飼養又は保管の目的等を達する上で支障を及ぼさない範囲で、できる限り、当該動物がその命を終えるまで適切に飼養すること(以下「終生飼養」という。)に努めなければならない。
5  動物の所有者は、その所有する動物がみだりに繁殖して適正に飼養することが困難とならないよう、繁殖に関する適切な措置を講ずるよう努めなければならない。


(動物販売業者の責務)
第八条  動物の販売を業として行う者は、当該販売に係る動物の購入者に対し、当該動物の種類、習性、供用の目的等に応じて、その適正な飼養又は保管の方法について、必要な説明をしなければならない。
2  動物の販売を業として行う者は、購入者の購入しようとする動物の飼養及び保管に係る知識及び経験に照らして、当該購入者に理解されるために必要な方法及び程度により、前項の説明を行うよう努めなければならない。



動物園の動物は愛護動物に入るので、これらの条文が全て当てはまり、どの業者も明らかに法律違反を犯していることになる。無責任な繁殖、譲渡、飼育がこの悲劇の背景に歴然と存在していたと言える。

PEACEという動物愛護団体が天王寺動物園に対する抗議書を運営する大阪市に送付し、そのことをサイトで発表していたが、6月1日、4月に送られてきた回答書についての発表があった。

天王寺動物園からの回答と動物商の問題
http://animals-peace.net/zoo/tennojizoo-ans.html






団体からの
1. 動物の放出先の選定・確認を怠ったことについて
2. 余剰動物を生むような繁殖が行われていることについて
3. 逸走したシマウマの捕獲に助言等を行わなかったことについて
の抗議書
http://animals-peace.net/zoos_and_aquariums/tennojizoo-barron
に対する回答だった。

1の動物の放出先に関する回答について
この愛護団体は天王寺動物園と動物交換を行いバロンを移動動物園を運営する動物プロダクションGへ売却した動物商Tについても、登録する名古屋市に対し質問状を送付してくれていた。動物商へはすでに行政指導が入っていたという。ここで、わかったことはこの動物商Tが取り扱ってきた動物が爬虫類などの小動物がメインで、大型の動物を取り扱うことは極まれで、シマウマについては初めてであったという。

このことから、天王寺動物園が動物商Tにシマウマの飼育方法や環境について、詳しく説明する責任が法的に生じているのかどうかが重要だ。つまり、天王寺動物園が動物取扱業者として「販売」が登録されてはおらず、「動物の販売を業として行う者」ではない。そこで、「動物交換」が交わされたのだと思うが、愛護法第八条2を守らなければならない立場なのかどうかである。

販売業者でないにせよ、動物交換は代価を払う販売行為に他ならないことから、全くその責任を免れることができるとも言えないのではないだろうか。しかし、法的には拘束されない?としたら、それを見込んでの、これからは動物の行き先についての「情報を収集し、飼い方や生態についての説明をします」ではなく「情報は可能な限り収集します」ということなのかもしれない。そういうことならば、それは法の抜け道となり、動愛法のあいまいさがまた一つ露呈されたと言える。

2の余剰するような繁殖に関する回答について
「増えるに任せての自然繁殖ではありません」と、むやみに繁殖させているわけではないと言いながら、バロンが不要となったのはなぜだろうか。その説明がなされていない。ある特定の期間だけ、ヒデヨシとナデシコを一緒にしたから繁殖したのであって、計画があってのことだったはずだ。

欲しいのは雌馬だけだったのだとすれば、つじつまが合う。そうだとしても、雄にせよ、雌にせよ、終生飼えるという引き取り手が確保されている場合のみ繁殖させるべきなのではないのだろうか。明らかに第七条の4と5に違反してはいないだろうか。

3の捕獲作業への助言もしなかったことに関する回答について
捕獲の応援をするどころか助言までしなかった理由に怒りを覚える。「広いフィールド内での地理的状況も把握していない場所」なので、助言はできなかったというのだ。正当な言い訳として到底認められるわけがない。

捕獲チームが天王寺動物園に助言を仰がなかったとしたら、それも問題だが、大型動物に対して素人に近い獣医たちに対して、麻酔の量や回数の助言さえもできなかったと言うのだろうか。朝まで飼っていたシマウマではないか。それでは道義的にあまりに非情である。



この回答からは、あのシマウマが同園にいたバロンだったことが知られないように保身のために身を潜めて、当たらずさわらずテレビを見ていただけという様子しか浮かんでこない。「転売」「二時販売先」を繰り返す文面からも、「もう、うちは関係ないからね。」という姿勢が伺える。その気持ちもわからないではないが、そうだとしたらなおさらバロンが無事捕獲されるよう協力すべきだったのだ。

天王寺動物園はこれから交換譲渡先の情報を集めるというだけではあまり変化はないのではと思う。情報を集めるだけではなくて、余剰動物を出さないように無責任な繁殖をしないこと、いい加減な交換譲渡はしないようにすることを約束してほしい。

回答書からは残念なことに、やる気はあまり感じられなかった。それは法律はあっても、捜査して追及されるほどの効力はなく、グレーなまま済ませられるという業者にとってはありがたい法律のせいもあると思う。

この国の動物たちが、外国の愛護先進国のような地位と福祉を得られるようになるのは一体いつなのだろう。ほど遠く感じられてならない。動物に対する意識が野蛮なのだろうか。民族的な違いというのもあるのかもしれない。だからイエローモンキーと呼ばれる一つの理由なのだろうか。本当に、なんとかならないのだろうか。