【将棋】山田定跡をひたすら称賛するブログ

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【局後反省】▲4五歩早仕掛けvs△四間飛車(その2)

2024-01-14 09:30:25 | 将棋

前回の投稿で、私は序盤上達法のスパイラルモデルなる大層なものを、チャート図でお示ししました。

実はこれ、学校の勉強方法を少し暗黙知に寄せただけです。なので、ウケは悪いはずです。

 

そういえば、又吉直樹氏の著書「夜を乗り越える」にもこんな一節がありましたね。

「「ガリ勉」とか「文化人」と呼ばれる人やそれに類する人を馬鹿にしていいという社会通念はなんなのでしょう。僕は創造性の高い表現にもっと触れていたいので、そういう人達が生き難い世界は嫌なんです。」

(又吉直樹、「夜を乗り越える」、小学館よしもと新書、2016年、p.80)

 

しかしそれは、又吉氏には恐れ多いのですが、もし「文化人」を馬鹿にしなければ、逆にそちらの人達の方が実社会で生き難くなるからだ、と私は考えます。

どの学問も多かれ少なかれ、仮説や信念などの基礎から出発して、合理的な推論によりその内容を豊かにしていくという要素を持っています。

しかし一方で、実社会は「合理的」でしょうか。むしろ、「非合理的(不条理)」だからこそ、カミュの「異邦人」[2]がベストセラーとなったのだと思います。

非合理的の例としては、「暴力」、「同調圧力」、「権威主義」、「プロパガンダ」などが挙げられます。

それらを受け入れた人々が「文化人」を馬鹿にしたくなるのは、人間の感情としては自然だと思います。

 

以上の考察より、私が示した序盤上達法のチャート図は、プロモーションの観点からは未熟と言わねばならないでしょう。

 

おしゃべりが長くなってしまいました。今回は、4五歩早仕掛けの変化を取り上げます(2回目)。題材はネット対局の一戦です。

△1四歩は、この局面ではあまり役に立たないと思いますが、だからといって咎めるのも難しいんですよね。将棋はなんて不条理なんだ(笑)。

以下、▲2四歩、△同歩、▲4四歩、△同銀、▲4五歩、△5三銀、▲3三角成、△同桂、▲2四飛、△4五桂、▲同桂、△同飛、▲2一飛成、△4四歩となりました。

手順中、▲4五歩に対して定跡は△同銀ですが、相手方はそれを外して△5三銀を選択されました。

△4四歩には、△3八角~△4七歩成からの2枚替えのネライがあります。

なので私は▲2三角と打ち、次に▲3四角成で飛車をいじめようとしましたが、相手方に△2五飛と先にかわされちゃった。

以下、▲1二竜、△2九飛成、▲5九香、△1九香成、▲3四角成となりました。手順中、▲5九香に替えて▲3四角成と指す勇気はありません(△8六桂~△8七角のヨリ筋のため)。

仕掛けで得られた成果が、馬を作っただけなのでは見合わないです。

山田道美将棋著作集によれば、振飛車の△4六歩に対しては、▲3七桂が本手とのことでした[3]。

以下、△4二飛、▲3三角のような展開が考えられます。

△3八角に対しては、▲4五歩で。振飛車が何もしなければ、▲4七歩以下で4筋を抑え込む方針で。

この局面では、後手の飛車の働きが悪いので、安易に飛角交換しない方が良いですね。

 

【参考文献】

[1]又吉直樹、「夜を乗り越える」、小学館よしもと新書、2016年、p.80

[2]カミュ著、窪田啓作訳、「異邦人」、新潮文庫、1954年

[3]山田道美将棋著作集、大修館書店、第二巻、p.112、1980年

 



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