
評価★★★★☆【4.5点】(12)
若い母親が少しずつ成長していく姿に応援しまくり。
◆
古びたクリーニング店を営むサンヒョン。
借金に追われる彼は、“赤ちゃんポスト”を運営する施設で働く
若い男ドンスと手を組み、赤ん坊をこっそり連れ出しては、
新しい親を見つけて謝礼を受け取る違法な商売をしていた。
ある時、赤ん坊を連れ出した2人の前に、
思い直して戻ってきた若い母親ソヨンが現れる。
ちゃんとした養父母を見つけるためと言い訳した2人に、
自分も同行すると言い出すソヨン。
こうして思いがけず赤ん坊の母親と一緒に
養父母探しの旅に出るハメになったサンヒョンとドンス。
そして、そんな彼らの行動を、現行犯で逮捕しようと目論む
2人の刑事が執拗に監視していたのだったが…。
<allcinema>
◆
雨の深夜、黒いフードを目深にかぶった若い女性が
雨雫に濡れながら教会へ続く長い階段をゆっくりと上がっていく。
両腕に抱えたバスケットには、暖かそうなおくるみに包まれた赤ん坊。
ワタシは、冒頭のこのシーン、女性の後ろ姿でいきなり惹きこまれた。
スタイルの良さはもちろん、細目な大腿部からのふくらはぎと足首に
薄幸な雰囲気が漂いイッキに釘付けとなる(変態か)
ま、それはさておき
韓国映画でお馴染みの闇を表現する暗く冷たいこの景観そのものが
愛する我が子を仕方なくポストに置く母親の心情を見事に表現する。
帰路の途中、思い直した母親が赤ん坊を引き取りに戻るところから
それぞれの人物が絡み合い物語がスタートする。
ポストから赤ん坊を連れ出し闇商売で生計を立てているブローカー。
そんなブローカーにも辛い背景があるが、それを敢えて口にはしない。
この若い母親は、誰にも言えない過去を持つヤングケアラーだ。
事の成り行きからブローカーたちと一緒に養父母探しの旅に出る母親。
その頃、そんな彼らを監視し闇取引の現場を抑えようとする刑事の姿。
この映画は、ブローカーたちの目線、刑事目線それぞれが描かれ
彼らを監視、尾行するなか刑事の心に少しずつ変化が現れる。
いつしか、そんな彼らを救う方向に手を差し伸べてしまうから凄い。
全員他人にもかかわらず幸せを絵に描いたような家族のようだ。
初めこそ尖っていた母親も、彼らに対し素直になり笑顔まで見せはじめ
特に、洗車場と観覧車のシーンは本作品中で最も秀逸でキモとなる。
ある養父母が、この子に母乳を飲ませてもいいですかと母親に尋ねる。
当たり前のような言葉だが、母親はここでハッと息を呑む。
ここなんですよ!産んでから一度も母乳という発想がなかったことに
一瞬見過ごしてしまいそうなシーンだが母親が初めて気づきを受けます。
是枝監督にかかると疑似家族が本物よりも幸せに見えてしまう。
そして、監督の要望に対しこれだけ完璧にキャラを演じ切る俳優らも
今さらながら、重量級の韓国俳優は凄い!と改めて感銘を受けてしまう。
◆
【今週のツッコミ】
・母親を演じたイ・ジウンがワタシ的に本作のMVPである。
この人物にどれだけ感情移入できるかで作品評価が決まるだろう。
・もちろん、ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォンも安定の演技。
だが彼らは本作品ではバイプレイヤーなのだ。
・養父母探しに勝手に参加してきた男の子。この子のおかげで道中が
本物の仲良し家族のようになった、ある意味人間潤滑剤みたいな。
・終盤で家族のような5人(赤ん坊含め)で一緒に暮らそうと言い出した。
母親が「誰が誰の父親?」このセリフに吹いてしまった。
・もしも、本作品を日本の俳優で演じるなら母親役は松岡茉優で決まり。
・ちなみに疑似家族とはいえ、ここには夫源病という病はない。
旅道中で男も赤ん坊の世話をし、ワンオペ育児がないから当然か。
・不思議と赤ん坊の眉毛の薄いことを気にするすべての養父母たち。
ワタシ的にそこの重要性がイマイチわかりませんが。
お国柄でいろいろな神話があるようですが。。。何かのゲン担ぎ?
---------------------------------------------------------------------------------------------
監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
音楽:チョン・ジェイル
出演:ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォン
『ベイビーブローカー』

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若い母親が少しずつ成長していく姿に応援しまくり。
◆
古びたクリーニング店を営むサンヒョン。
借金に追われる彼は、“赤ちゃんポスト”を運営する施設で働く
若い男ドンスと手を組み、赤ん坊をこっそり連れ出しては、
新しい親を見つけて謝礼を受け取る違法な商売をしていた。
ある時、赤ん坊を連れ出した2人の前に、
思い直して戻ってきた若い母親ソヨンが現れる。
ちゃんとした養父母を見つけるためと言い訳した2人に、
自分も同行すると言い出すソヨン。
こうして思いがけず赤ん坊の母親と一緒に
養父母探しの旅に出るハメになったサンヒョンとドンス。
そして、そんな彼らの行動を、現行犯で逮捕しようと目論む
2人の刑事が執拗に監視していたのだったが…。
<allcinema>
◆
雨の深夜、黒いフードを目深にかぶった若い女性が
雨雫に濡れながら教会へ続く長い階段をゆっくりと上がっていく。
両腕に抱えたバスケットには、暖かそうなおくるみに包まれた赤ん坊。
ワタシは、冒頭のこのシーン、女性の後ろ姿でいきなり惹きこまれた。
スタイルの良さはもちろん、細目な大腿部からのふくらはぎと足首に
薄幸な雰囲気が漂いイッキに釘付けとなる(変態か)
ま、それはさておき
韓国映画でお馴染みの闇を表現する暗く冷たいこの景観そのものが
愛する我が子を仕方なくポストに置く母親の心情を見事に表現する。
帰路の途中、思い直した母親が赤ん坊を引き取りに戻るところから
それぞれの人物が絡み合い物語がスタートする。
ポストから赤ん坊を連れ出し闇商売で生計を立てているブローカー。
そんなブローカーにも辛い背景があるが、それを敢えて口にはしない。
この若い母親は、誰にも言えない過去を持つヤングケアラーだ。
事の成り行きからブローカーたちと一緒に養父母探しの旅に出る母親。
その頃、そんな彼らを監視し闇取引の現場を抑えようとする刑事の姿。
この映画は、ブローカーたちの目線、刑事目線それぞれが描かれ
彼らを監視、尾行するなか刑事の心に少しずつ変化が現れる。
いつしか、そんな彼らを救う方向に手を差し伸べてしまうから凄い。
全員他人にもかかわらず幸せを絵に描いたような家族のようだ。
初めこそ尖っていた母親も、彼らに対し素直になり笑顔まで見せはじめ
特に、洗車場と観覧車のシーンは本作品中で最も秀逸でキモとなる。
ある養父母が、この子に母乳を飲ませてもいいですかと母親に尋ねる。
当たり前のような言葉だが、母親はここでハッと息を呑む。
ここなんですよ!産んでから一度も母乳という発想がなかったことに
一瞬見過ごしてしまいそうなシーンだが母親が初めて気づきを受けます。
是枝監督にかかると疑似家族が本物よりも幸せに見えてしまう。
そして、監督の要望に対しこれだけ完璧にキャラを演じ切る俳優らも
今さらながら、重量級の韓国俳優は凄い!と改めて感銘を受けてしまう。
◆
【今週のツッコミ】
・母親を演じたイ・ジウンがワタシ的に本作のMVPである。
この人物にどれだけ感情移入できるかで作品評価が決まるだろう。
・もちろん、ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォンも安定の演技。
だが彼らは本作品ではバイプレイヤーなのだ。
・養父母探しに勝手に参加してきた男の子。この子のおかげで道中が
本物の仲良し家族のようになった、ある意味人間潤滑剤みたいな。
・終盤で家族のような5人(赤ん坊含め)で一緒に暮らそうと言い出した。
母親が「誰が誰の父親?」このセリフに吹いてしまった。
・もしも、本作品を日本の俳優で演じるなら母親役は松岡茉優で決まり。
・ちなみに疑似家族とはいえ、ここには夫源病という病はない。
旅道中で男も赤ん坊の世話をし、ワンオペ育児がないから当然か。
・不思議と赤ん坊の眉毛の薄いことを気にするすべての養父母たち。
ワタシ的にそこの重要性がイマイチわかりませんが。
お国柄でいろいろな神話があるようですが。。。何かのゲン担ぎ?
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監督:是枝裕和
脚本:是枝裕和
音楽:チョン・ジェイル
出演:ソン・ガンホ、ペ・ドゥナ、カン・ドンウォン
『ベイビーブローカー』

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少なくとも「万引き家族」よりは心動かされました。
あのブローカー自身もポスト出身(←ちがうから)というところが泣かせますよね。
日本もこういう福祉関係を見直さないと、国費17億円の件もちょっと考えモノです(笑)
是枝監督の色がよく出ていた作品だったと思いました。
でもさぁ、子供は愛されて育てられてナンボだから、私はブローカー自体はあまり否定的ではないんですよ。
是枝監督の演出に拍手です。
赤ちゃんポストって日本にも2か所ほどあるそうですね。
ただ、先進国の中ではまだまだ子育て支援の面で
遅れているようです。
「捨てるなら生むなよ」と刑事がボソッと言った言葉が
未だに心に残っています。
さすがです。深いですね。
刑事が赤ちゃんを育てているシーンで
養子にしたのかと思ったら、ただ預かってるだけ。
いずれは、最後の夫婦が養父母になるんだろうというところでした。
韓国はそういうことも可能なんだろうなんでしょうね。
テレビから流れるニュースでマフィアの死体と4千万ウォンって言ってましたね。
あれは、間違いなくサンヒョンが殺めたなと思いました。
現金を残したことでウソン売買の交渉中だったという証拠もないから、
その後にマフィアから狙われることもないということでしょう。
ラストの二つのプリクラ写真で思ったのは、出所しガソリンスタンドで働くソヨンと
行方不明だったサンヒョンはすでに連絡を取り合ってる仲で
クリーニングバンでソヨンを拾って行くんだなと思いました。
噂では、バンのフロントガラスに希望に満ちたソヨンの姿が映っていたとか。。。
ラスト10分は結構な駆け足だったのでワタシも置いて行かれそうになりましたよ。
最後の方でサンヒョンが行方不明になり、ニュースで「マフィアの死体と4千万ウオンが発見された」と
出ましたよねえ。
サンヒョンが殺したの?
ラストシーンで、5人の写真が揺れていたのはサンヒョンの車だったのでしょうか?